キヤノンの小型ミラーレス一眼「EOS Kiss M」のレビュー
キヤノンから今年 3 月に発売された EOS Kiss シリーズ初のミラーレス機「EOS Kiss M」のレビューをお送りします。
購入したのは数ヶ月前のことですが、未レビューだったので本記事でそれを行いたいと思います。
EOS Kiss M はボディだけで 387g と従来の EOS Kiss より 100~200g ほど軽く、片手で楽にシャッターを切れる超コンパクトなミラーレス一眼レフカメラです。
EOS Kiss のシリーズ全体がキヤノンのエントリーラインなので EOS Kiss M のメインターゲットも一眼レフ初心者だったり機種や性能にあまり拘らない層だったりしますが、ボディはデュアルピクセル AF、秒間 10 コマの高速連写、最新の DIGIC 8 搭載、4K 撮影対応(24fps ですが)と、一部にハイエンド機を凌ぐスペックを有していることから、かなり使える一台だと私は見ています。
カメラの種類に拘らないでそこそこ安くて良いカメラが欲しいという方には間違いなくおすすめできます。
私は外出時にカメラをよく持ち歩くので出来れば小型軽量の機種を選びがちです。
この考え方に基づき EOS Kiss M のスペックを見たとき、自分のニーズにピッタリだと思ってポチリました。
数ヶ月の使用期間を歴ても、私の EOS Kiss M に対する満足度は今だに高いままです。
しかし EOS Kiss M はエントリー機なので弱い部分も多々あります。
その代表例がレンズの選択肢が少ない点とカメラの操作系がハイエンド機と比べて貧弱な点でしょう。
この弱点は EF-M マウントを採用した小型軽量ボディであるが故の宿命のようなものですが、使っていくとやはりネックだと感じる部分でもあります。
こういうふうに考えるのには実用性が高いからこそ多くを望んでしまう人の欲を掻き立てる性格を持っているとも言えます。
これから EOS Kiss M の購入を検討される方は今挙げた点をよく吟味してニーズに適しているのかを判断するべきでしょう。
「キットレンズをずっと使う」という方ならこの弱点はあまり気にならないと思いますけどね。
私が購入したのは EOS Kiss M のボディのみで、レンズは EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM を別途中古で購入しました。
EOS Kiss M はエントリー機でありながら 2018 年に発売された最新 APS-C 機で、ボディの性能や写真・動画の画質はなかなかのものでした。
たぶん入門用として購入すれば長期間使えるでしょうし、プロの方々の予備機としてもその役割を十分に果たしてくれると思います。
EOS Kiss M は APS-C サイズの 2,420 万画素 CMOS イメージセンサーを搭載しており、比較的新しい AF 技術「デュアルピクセル AF」に対応している為、AF はとても速く AF ポイントも広範囲です(使用レンズや AF モード等によって多少変わってきます)、レンズは基本的に EF-M マウント用を使用しますが、APS-C 用に設計された EF-S レンズやフルサイズ用の EF レンズも使用可能です。
ただ、EF レンズを使用した場合、AF スピードが EF-M や EF-S レンズを使った時よりも若干遅い気がするので、カメラの性能をフルに発揮させたいのであれば EF-M レンズか EF-S レンズを使用することをおすすめします。
私は EF マウントと EF-M マウントを変換するマウントアダプタを使用しており、普段は EF レンズを付けています。
EF レンズでも特に大きな問題は感じていません。
ただ、ボディが小型軽量なので、焦点距離が長いレンズ、口径が大きいレンズ、500g を超えるレンズを取り付けると、ボディとレンズの荷重バランスがとても悪くなり使用するレンズによっては手持ち撮影で苦労します。
そういう時には三脚か一脚を使用するべきです。
フルサイズ機ならこのように感じることはないでしょう。
私が普段使用しているレンズは、EF24-105 F4L IS USM と EF70-200 F4L USM の 2 本です。
どちらも 500g を超える為、片手グリップで持つとレンズの先端が垂れ下がる感じになりますが、いつもは両手でカメラを持ち撮影しているので、このレンズも実用的の範囲内だと思っています。
EOS Kiss M が対応している AF フレームの選択肢は「顔 + 追従優先」、「ゾーン」、「1 点 AF」のみですが、瞳 AF やタッチ & ドラッグ AF には対応していますし、ボタンカスタマイズで「親指 AF」も使えます。
AF については最低限以上のスペックを有していると考えています。
連写機能では、秒間 10 コマの Hi モードと秒間 6 コマの Lo モードを使用することができ、Hi モードでは野球選手のバッティングシーンを 6~8 コマ数で捉えることができます。
また Lo モードでスピードを下げればステージで披瀝されているダンスを様々なモーションやポーズで捉えることができ、EOS Kiss M の連写機能は使い方次第で出来る限り多くの素材を確保できます。
連写モードで撮影したわけではありませんが、EOS Kiss M の作例としてサンプルをいくつかご紹介します。
EOS Kiss M はエントリー機ということで、「クリエイティブアシスト」、「クリエイティブフィルター」、「スペシャルシーンモード」といった初心者でもワンタッチでいい画になる機能を搭載しています。
「クリエイティブアシスト」は、明るさ、コントラスト、背景のぼけ具合、鮮やかさ、色合いといった分かりやすい表示で画質を調整する機能です。
これらの組み合わせをプリセットとしてカメラに記憶させることができます。
普段はシーンインテリジェントオートで撮影しているという方であってもカメラの仕組み気にすることなく被写体やシーン、ユーザーの好みに応じた画質で撮影できる機能です。
「クリエイティブフィルター」は、スマホの写真アプリでもよくあるフィルター機能です。
EOS Kiss M には、例えば「HDR 絵画調」、「HDR 油彩調」、「HDR ビンテージ」、「HDR グラフィック」、「トイカメラ」、「水彩画風」、「魚眼風」等のフィルターが搭載されています。
HDR 系のフィルターが多いのが特徴です。
「スペシャルシーンモード」は、カメラの基本である露出の意味が分からなくても被写体やシーンに適したな露出設定で撮影できるようアシストする機能です。
例えば、「スポーツ」を選択するとシャッタースピードを短く設定して撮影し、「クローズアップ」にすれば開放 F 値で撮影し、背景がよくぼけるようにしてくれます。
モードは他にも「自撮り」、「美肌」「HDR 逆光補正」、「手持ち夜景」、「流し撮り」といった分かりやすい名前のモードが多く搭載されています。
結構便利なのでいつもはマニュアル撮影している方でも頼ることがあるかもしれません。
このスペシャルシーンモードの中には「サイレントモード」もあり、このモードにすると無音でシャッターを切ることができます。
やはり EOS Kiss M のコンパクトさや携帯性は素晴らしいです。
EOS Kiss M で 30 分を超えるステージを撮影したこともありますが、全く苦痛は感じませんでした。
EOS 80D 程度のサイズなら途中で腕がプルプルしてくるところ EOS Kiss M でこういう苦痛を感じることはありませんでした。
こんな小ささと軽さなので、お散歩撮影中に自撮りする時も楽でしょうね。
EOS Kiss M は小型軽量ボディのエントリー機ということもあり、ボタンやダイヤルの数がミッドレンジ ~ ハイエンド機に比べて簡素です。
また MENU で選択できる項目ももかなり少ないので、ハイアマチュア ~ プロの方々からすれば、露出の変更、カメラ設定の微調節、ボタンのカスタマイズといった面で苦労し不満を抱くでしょう。
ボディ全体を見たところ、EOS Kiss M は基本的なマニュアル撮影ができる程度のカメラでしかないので、ハイアマチュアやプロの方々が不満を持つのはごく自然なことです。
そういう見方は正しいと思っているので、あくまでもプロにとっては予備機にしかなりえないと思っています。
EOS Kiss M の動画撮影機能では、モードを「自動露出調節」と「マニュアル露出(M モード)」の 2 つから選択できます。
ハイエンド機に見られる P / Tv / Av モード、またカスタム設定の C モードはありません。
でもまあ M モードが付いているのでこれで十分でしょう。
EOS Kiss M にボディ内手ブレ補正機能はありませんが、動画電子 IS を利用すると映像はクロップされますが、ある程度の手ブレを軽減できます。
EOS Kiss M で記録する映像はどのフォーマットもクロップされるので IS を利用すると映像はさらに狭い画角になります。
動画サイズは、4K@24fps、1080@24/30/60fps、720p/24/30/60fps から選択できますが、いずれもビットレート設定は「標準」のみとなっており、ハイエンド機に見られる「編集用」は選択できません。
動画の画質は、使用するレンズや露出設定、画角、ピクチャースタイル等の様々な要素で変わってきますが、「さすが一眼レフで撮影しただけのことはある」と感じるものでした。
また、開放寄りの F 値や望遠レンズで撮影すると背景が程よくぼけて一眼レフならではの質感を得られます。
ちなみに EOS Kiss M に LOG 撮影機能はありません。
次のサンプル動画は EOS Kiss M + EF-S50-250mm IS STM の組み合わせで撮影したものです。
三脚は使用せず手持ちで撮影しています。
また EOS Kiss M は「スマホ自動転送」に対応した数少ない機種の一つなので、撮影した写真や動画をスマホに自動転送したいという方に EOS Kiss M はおすすめです。
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