キヤノンの「EOS R」でフルサイズ機デビューしました
今年の 10 月下旬にキヤノンから発売された EOS 初のフルサイズミラーレス一眼レフカメラ「EOS R」を私もようやく入手することができたので本記事では主に EOS R をフルサイズ入門機として購入した場合の感想をお伝えしたいと思います。
私はおよそ 6 年前から一眼レフカメラを使用しているので一眼レフカメラの操作には慣れているつもりですが、プロでもカメラに詳しい・上手いわけでもないただの素人なので、EOS R の画質や他の機種あるいは他社の機種と比較して優劣を語ることは出来ません。
過去には EOS Kiss X5、EOS 80D、EOS Kiss M と、主に APS-C 機を何台か乗り継いでいるので、私と同じように、EOS R でフルサイズデビューしたい方が APS-C 機からフルサイズ機にステップアップする先として EOS R を選択したらどう感じたのか、EOS 80D クラスの機種から EOS R に乗り換えた場合にどんな所に違いを感じたのか、そういう部分を中心にあくまでも個人的な感想を紹介したいと思います。
まず始めに、私がなぜ初のフルサイズ機なのに従来のデジタル一眼レフをすっ飛ばして EOS R にしたのかを説明します。
そろそろフルサイズ機種にステップアップしたいと思っていた所に新しい EOS R が登場したので良いきっかけだったという理由とは別に、比較的速い連写コマ数(航空機や野鳥を撮影するので)、DIGIC 8 世代(EOS Kiss M を使ってしまったので)、充実した動画機能(動画をよく撮影するので)、そしてボディの軽さを重視したからです。
この条件に見合う機種はもう EOS R しかありませんでした。
また、少なくとも今後 2~3 年は EOS R を使用することを計画したので、20 万円を超える製品であっても十分に元はとれるだろうと割り切れており、これらの理由から購入を決断しました。
ここからは実際の EOS R を開封しながら中身を見ていきましょう。
箱のデザインは私の知るキヤノンカメラのものとは異なり、ブランドカラーの黒で統一されており、新しさを実感します。
今回購入したのは、EOS R ボディとコントロールリング無しの EF レンズアダプターです。
EOS R の事に触れる上で RF レンズは絶対に欠かせないのは分かっていますが、まだ高くて手が出せませんでした。
EF レンズと RF レンズの大きな違いは口径や電子接点の拡充といった基本設計、コントロールリングの有無といったところです。
EF レンズを使用するよりも RF レンズを使用したほうが良いことは承知していますが、今は EF レンズのみで使用しています。
ボディの同梱品は、EOS R ボディ、バッテリー(LP-E6N)、バッテリーチャージャー(LC-E6)、ストラップ、インタフェースケーブル、ケーブルプロテクター、取説と保証書になります。
上記はよく見るセット内容だと思いますが、この中でも断然目を引くのが「EOS R」のロゴ刺繍の入ったストラップですね。
このストラップを付けていれば一目で EOS R オーナーだと気づいてもえます。
EOS R のボディは従来のフルサイズ機と比較して軽量且つコンパクト。
背面の操作パネルも簡素化されています。
カメラのサイズ感は APS-C 機の EOS 80D よりも小さくて軽いと実感したほどです。
サイズ感はどちらかといえば EOS Kiss シリーズに近い印象でした。
EOS Kiss よりも一回り大きい感じといったところです。
。
従来のフルサイズ機は、比較的ボディが大きく重量感もあり、操作ボタンやコントロール機能も EOS R より多く備わっています。
そういうカメラに慣れた方が EOS R に触れると、「物足りなさ」を感じるかもしれません。
ただ、マルチファンクションバー(M-Fn バー)やコントロールリングという新しい操作インタフェースが導入されており、EOS R を使い慣れると従来機と遜色ない感じで使用できると見方を変えるかもしれません。
液晶はもちろんタッチパネル付きで、タッチ & ドラッグ AF にも対応しています。
バリアングル液晶なので自撮りではライブビューを確認しながら撮影できたり、ハイアングル / ローアングルでの撮影も簡単でしょう。
ボディの右肩には、主電子ダイヤル、Mode ボタンと一体化されたサブ電子ダイヤル、少し小さいですがモードやパラメータの表示パネル、マルチファンクションボタン、マルチ電子ロックボタン、動画撮影ボタンが付いています。
左肩のダイヤルは単なる電源スイッチです。
レバーは付いていないので、レバーを折ってしまうことはありません。
また、アクセサリーシューはありますが、内蔵フラッシュはありません。
外部インタフェースは、リモコン端子、USB Type-C のインターフェース端子、HDMI 出力端子、マイクとイヤホンの端子があります。
EOS R の機能詳細については製品マニュアルを参照していただければと思います。
私が思うに、EOS R の機能や MENU 上で選択できる設定項目は EOS のハイエンド機と遜色ないほど充実しており、EOS R の外観は小ぶりのミラーレス機で操作性に多少の物足りなさを感じるかもしれませんが、中身は結構本格的なので EOS R 流の使い方に慣れると、プロやカメラ上級者でもそれなりに満足するのではないかと思っています。
また、少し見方を変えると、EOS R は一眼レフの中でもコンパクトで操作ボタンも少ないことから、フルサイズ入門機にも適していると思っており、以上の理由から EOS R は思ったよりも幅広いユーザー層のニーズを満たす一台になるんじゃないかと評価しています。
EOS R から導入された「コントロールリング」と「マルチファンクションバー(M-Fn バー)」のうち、コントロールリングはまだ RF レンズを持っていないので感想を述べることは出来ませんが、M-Fn バーについては改良の余地が大アリだと思いつつも、とても可能性を感じる部品だと思いましたね。
レンズのコントロールリングには、ISO 感度、シャッタースピード、絞りの変更機能を割り当てることができ、ズームリングやフォーカスリングと同じ感覚で露出を調節できると思います。
仕組みはとても単純です。
おそらく、コントロールリングは直感的に露出を変更できて実用性が高いと思います。
一方、マルチファンクションバー(M-Fn バー)は電子ビューファインダーの右側に備えられた横長のタッチパッドのことです。
M-F バーは左右へのスライド操作と左半分または右半分のタップ操作の合計 3 つのタッチ入力に対応しており、カメラにプリセットされた機能セットから使用するものを割り当てるか、ユーザーで各入力操作に好きなアクションを割り当てることmできます。
また、撮影時と再生時で異なる機能セットを設定できます。
次の写真はプリセットの「ISO 感度」を割り当てた時の設定内容です。
スライド操作でダイヤルと同じように ISO 値を変更でき、左右のタップでは一段または 1/3 段ずつ ISO 値を変更できます。
プリセットは他にも、ホワイトバランス、AF フレーム、ピント・情報表示、動画撮影など数種類が用意されており、ボタンやダイヤルと同じ感覚でカメラのパラメータ設定を変更できます。
M-Fn バーをカスタマイズするというのは、スライド、左右のタップに一つずつ機能を割り当てることを言います。
例えば、スライド操作には ISO 値を、左タップには「ISO 100」を、右タップには「ISO Auto」を割り当てることができるということです。
選べる機能は 10~20 種類と意外と多いので、ユーザーの使い方に合う組み合わせがきっと見つかると思います。
M-Fn バーはミラーレス機のコンパクトなボディの狭いスペースに 3 つものボタンを持つことができる、という点において素晴らしいアイデアだと思っていますが、個人的に、EOS R の M-Fn バーは未熟で実用性に欠けます。
その理由を説明します。
理由の 1 つ目は、音や振動といったフィードバック機構が無く、操作の手応えが感じられません。
機能しかたどうかは画面の表示を見るしかないのです。
そのため、知らずうちに操作してしまうんじゃないかと不安になり、その結果、普段は機能を切ってしまい使いません。
EOS R には左の長タップで一時的に M-Fn バーの ON / OFF を切り替える誤操作防止機能も備わっていますが、それでも ON の時の操作が心配なので常に OFF という場合が殆どです。
理由の 2 つ目は、M-Fn バーに割り当てられる機能や項目のチョイスが従来の考え方のままで、タッチパッドの特性や欠点があまり考慮されていない内容となっており、使える機能が少ないことです。
最初のフィードバックについては直感的にお分かりになると思います。
2 つ目の理由を詳しくご説明します。
M-Fn バーに割り当てられる機能や項目が意外と多いのは確かなのですが、現時点で EOS R に搭載されている選択肢の殆どが本来ならダイヤルやボタンのような入力インタフェースに適したものであって、その多くがタッチパッドにも適しているわけではないと思うのです。
例えば、M-Fn バーに ISO 感度を設定したとしましょう。
スライドまたは左右のタッチで ISO 値を上げ下げできるのですが、M-Fn バー上を指スライドすると ISO 値がスマホで画面を強くスクロールするときと同じように大きく変化してしまいます。
ISO 値は一段または 1/3 段ずつ変更したいものです。
それは M-Fn バーの左または右をタップすればできることなのですが、M-Fn バーにフィードバック機構は備わっていないため、ダイヤルを回した時のような確実な手応えがなく、結局、使わないことになってしまいます。
タッチパッドの操作は EOS R を何ヶ月感も使用すれば慣れるでしょうけど、個人的に M-Fn バーがこのまま変わらないとなると、たぶん今後も使うことはありません。
今使っているのは再生モード中にスライドで画像を切替る機能だけなんですよね。
間違いなくスライドやタップに適した機能や項目はあるはずなので、そういうのをもう一度見直して改良して欲しいと思います。
今後、EOS R にフィードバック機構が追加されることはないと思いますが、例えば、ダブルタップ操作を追加すればシングルタップやスライドよりも確実に誤操作を減らすことができ、今よりかは実用性が増すはず。
以上のような理由を根拠に私は、M-Fn バーが未熟だと評価しています。
しかし、登録可能な機能等はファームウェアアップデートでいくらでも追加できるはずなので、今後に期待したいところです。
M-Fn バーの良さを活かせる機能や設定項目というのは、例えば、既に備わっている「ISO 100」や「ISO Auto」に一発で変更する、といったショートカット的なものだと考えています。
露出や AF 関連、ホワイトバランスといったものはダイヤルにまかせて M-Fn バーは新しい機能やショートカットを割り当てられるようになれば良いと思っています。
他にも、M-Fn バーのタッチ領域をスクエア型に変更(縦軸のスライドも可能にする)してファインダー内で AF フレームをドラッグできるようにすればジョイスティックの欠如を補えるのではないでしょうか。
画面タッチ & ドラッグでもいいのですが、カメラを構えていて画面のタッチはし辛い。
私から見て EOS R はフルサイズ入門機としても、また、プロやカメラ愛好家さんたちにとっての次世代メイン機にもなり得るポテンシャルを持ったオールラウンダーです。
従来のフルサイズ機と比較して、EOS R のボディは軽量且つコンパクトで、操作ボタンも簡素化されているため、従来のフルサイズ機の操作に慣れ親しんでいる方々にとっては多少の物足りなさを感じる仕上がりだと思いますが、EOS R のソフトウェア機能はおそらく従来のフルサイズ機と同等レベル以上でしょうし、動画モードにおいては意外と機能が充実しています。
さらに、マルチファンクションバーやコントロールリングといった新しい操作インタフェースも導入されており、これらの新しい要素の便利さを知ると従来のフルサイズ機に近い操作性を提供する、軽量コンパクトながらも実力は高い、そんなポテンシャルの高い一台だと見方を変えるかもしれません。
ネックなのが価格ですよね。
ボディだけで約 24 万円というのは EOS R のスペックからすると若干高い。
たぶん EOS 6D 相当の価格設定が妥当なんじゃないかと思っていますが、新しい EOS R システムを採用した最初の機種ということで、余分の開発コストのことを考慮すれば、まあ仕方ないかなと思うところです。
実力的には EOS 6D ~ EOS 5D 相当でしょうから価格については納得します。
EOS R で使用できるレンズは何も RF レンズだけではなく、従来の EF レンズや APS-C機用の EF-S レンズもマウントアダプターを介して取り付け可能です。
ただ EF-S レンズの場合、静止画は APS-C サイズにクロップ(1.6 倍)され、動画モードでも映像はクロップされるなど機能は少し制限されますが、EF-S レンズも正式にサポートしているレンズなので、今のレンズ資産はほぼフル活用できると思います。
EF-S レンズを取り付けた場合、EOS R は APS-C 機のように振る舞うと思えばいいです。
また、そうした場合、撮影時の画角は普通の APS-C 機と同じように望遠気味になるので、例えば 200mm 程度の望遠レンズを使ったとしても換算約 320mm の望遠となり、撮影対象によってはこちらの方が被写体を大きく鮮明に捉えられる場合があります(注意:静止画クロップ時の画像サイズは最大 1,200 万画素。
RAW も撮影可能)。
EOS R が発売される前、EOS R に 5 軸ボディ内手ブレ補正が無い点を大きな評価ポイントとする口コミをいくつか目にしましたが、私の場合、ちゃんと動画を撮ろうとすれば三脚や一脚、スタビライザーを使いますし、EOS R にも「動画電子 IS」と呼ばれる EIS が付いているので対策できる話となります。
また、EOS R の EIS を通常の「する」から「強」に上げると、その時の映像は大きくクロップされてしまいますが、手ブレ補正がかなり効きます。
その効果は例えば、Sony カメラでいうところの「アクティブ」〜「インテリジェントアクティブ」に匹敵するほどです。
手持ちで走っている時にカメラのブレは目立ちますが、静止している時や歩いている時の手ブレなら殆ど減らせます。
つまり、手持ち撮影でもなんとか対処できるので、ボディ内手ブレ補正を搭載していないことは特に大きな弱点ではないと見ています。
さらに、EOS R にはビットレート別に、「簡易 / 標準 / 編集」の映像フォーマットが用意されており、4K@30fps での撮影、フル HD までの HDR 動画撮影、ダイナミックレンジの広いカラープロファイル Canon Log での動画撮影、4K@30fps での Canon Log HDMI 出力等にも対応しているなど、業務レベルの用途にもそれなりに耐えられる機能を有しており、クリエイターから見れば EOS R の優れた動画機能の方に様々なメリットを感じるはず。
ボディ内手ブレ補正はそれほど大きな要素ではないと見ています。
ただし、4K 撮影には SanDisk Extreme Pro 相当の高速なメモリカードが必要になる(「編集用」モードの場合)、使用するレンズやカメラの設定内容によっては EIS や HDR 動画撮影が選択できない、60fps を選択できない等の制限が発生しますので、その点は注意する必要があります。
それでも、フル HD@30fps までなら殆どのオプションは有効にできます。
気になる既存の EF レンズとの相性やレンズとボディの荷重バランスについて。
ボディが軽量且つコンパクトなので、従来のフルサイズ機よりもレンズが前のめりになってしまうことが多いと思いますが、手元にある EF70-200mm や EF70-300mm といった望遠レンズを付けたところでは、グリップを握って片手持ちした場合でも楽にカメラをホールドすることができ、おそらく 1kg 程度のレンズまでなら荷重バランスが気になることは少ないと思います。
レンズの重さがそれ以上になると、アンバランスさを感じることが多くなるでしょう。
FE / EF-S レンズとの相性については、全てのレンズでテストしたわけではないので全く触れられませんが、試したレンズの中だと AF は十分に速く、レンズの手ブレ補正もしっかりと効いていました。
EOS R はデュアルピクセル AF に対応しているので、広い範囲にピントが当たっていました。
ただ、EF50mm F1.8 単焦点レンズの絞りが F1.8 ではなく、F2.8 スタートだったことが若干気になりましたね(これはよく起こることなのでしょうか?)当初、EOS R に対して価格の割りに大した機種ではないというイメージを持っていましたが、実際に購入してしばらく使ってみると、徐々にその良さを知り、結果的にフルサイズ入門機に選んで良かったと思いました。
EOS R と同時に RF レンズも導入された事実を踏まえれば、今後、EOS R はシリーズ化されるはず。
キヤノンが従来の EOS と同じモデル展開を計画しているなら、今後はおそらく、EOS 5D ~ EOS 1D グレードの機種や、EOS R より安くて購入しやすい低価格モデルが投入されると予想しています。
APS-C 機はどうでしょうか? このカテゴリには既に EOS M シリーズがありますし、EOS R は単純な設定変更で APS-C 機と同じように振る舞うので、APS-C サイズの EOS R は作られないと思います。
もし、APS-C サイズの EOS R が出たら、それは EOS M シリーズを食うことに繋がりかねないので、たぶんそれはしないでしょう。
今後はプロユースのハイエンド機と真の入門機がそれぞれ別で登場すると見ているわけです。
長くなりましたが EOS R の購入レポートは以上になります。
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