ごはん、読書、書道…いま「意識ゆるい系」交流会が活況な理由とは?

ごはん、読書、書道…いま「意識ゆるい系」交流会が活況な理由とは? 異業種交流会や勉強会は、意識高すぎて苦手……というビジネスパーソンの皆さん、いま「意識ゆるい系」のイベントが、ジワジワ人気を上げているようです。

無理に背筋を伸ばすことのない、ゆるく交流できるイベントはテーマもさまざま。今回は「ごはん」「読書」「書道」をフックにした「ゆるい」会の主宰者たちに、ぞれぞれの実態を聞いてみました。

[CASE1]

ごはんを作りたい人と、食べたい人を

マッチングする「キッチハイク」

料理を「作る人」と「食べる人」をマッチングするイベントを開催しているキッチハイク社。初対面同士で食事を楽しむ会ってどういうこと?

Q1:イベント企画のきっかけは?

キッチハイクの語源は「キッチン + ヒッチハイク」。当初は、旅先で料理を振る舞ってくれる人を探すサービスでした。2016年から国内で日常の食事を「作りたい人」と「食べたい人」をマッチングするコミュニティサイトへとシフトチェンジしました。日常の食事を誰かと一緒に楽しみたいという利用者のニーズに応えるようになってから、利用者数が拡大していきました。

Q2:どのような職業・立場の方が参加していますか?

職業・立場は様々ですが、イベントは平日夜と土日開催が多いため、その時間に気軽に参加ができる、会社勤めで単身の方が多いです。年齢は30代を中心に、20代~50代と幅広く参加しています。

雰囲気はイベントにより異なります。「初めまして」同士が多いと最初は緊張感がありますが、食事が始まると30分くらいで打ち解け、いつの間にか盛り上がります。どの現場でも目にする光景で、何度見ても面白い現象だと感じます。

どのイベントにも共通して言えることは、参加者全員が「食べることが大好き」ということ。「あのお店がおいしくて」「そこ、気になってた!」という話題は尽きません。リピーター率は8割で、月に15回以上参加する方もいます。日常の食事をキッチハイクで探す人は、どんどん増えていますね。

Q3:イベントではどのような交流が生まれていますか?

参加者同士で食べ歩き仲間が見つかることが多いです。特にジビエや海外料理などマニアックな料理を楽しむイベントに参加すると、必然的に食の趣味が近い人と出会えます。

キッチハイクで出会ったメンバー同士で飲みに行ったり、別のイベントに一緒に参加する人も多いです。これは、主催同士も同じ。お互いの長所を生かしたコラボ会の開催も盛んに行われ、とても人気です。

Q4:イベントによって生まれたコミュニティ(交流)に、どのような効果・効能を感じていますか?

現代ではすべてが最適化されて、予定調和な生活を送らざるを得ないような仕組みになってきています。そんな中、キッチハイクを通してごはんを食べると「出会う機会のない人に出会える」「家族や知り合いとは違う新しいコミュニティがある」という予想できないワクワク感があります。おいしいだけではない感動と喜びがあり、そこにハマるリピーターの方も多いです。「キッチハイクのお陰で共有の趣味を持つ友達が増え、人生が楽しくなった」と感謝の声をいただくこともあり、運営としては感慨深いです。

きっかけさえあれば、誰かと食事をする行為の楽しさや、自然さに気づく。その瞬間が「人生が変わった」というポイントなんでしょう。その仕組みとして、キッチハイクが機能しているのは非常に喜ばしいです。

https://kitchhike.com/

[CASE2]

読んでなくてもOK!? 意識ゆるい系・本の交流会

2人の女性が主催する「根津ブック倶楽部」は、好きな本を紹介しあう交流会。持ち寄る本はマンガから写真集まで書籍であればなんでもOKなんだとか。

Q1:イベント企画のきっかけは?

発起人の小谷真結美(写真左)と鈴木幾久美(同右)は、ふたりとも書籍・雑誌の編集者なのですが、日常的に読書する習慣から自分たちが離れつつあることに「やばいな」と思っていました。

世の若者の読書離れを防ぐ前に、まず自分たちの読書離れを防がなくては……という思いから、定期的に本の紹介をするイベントを開催することにしたのです。「読書会」というと、純文学小説や自己啓発本を読み合わせる「意識高そう」な雰囲気がでてしまうため、なるべく参加ハードルを下げ「意識ゆるい系・本の交流会」というスタイルにしました。紹介する本はマンガ、ライトノベル、絵本、写真集、電子書籍などなんでもOKです。読了していなくても、なんならジャケ買いしたばかりの本でもOKというゆるさです(笑)。

Q2:どのような職業・立場の方が参加していますか?

月に1回、平日の夜に都内のカフェで開催しているので、仕事帰りの会社員が多いです。告知はFacebookイベントページのみで行ってきたため主催者の知人・友人関係が多いですが、最近は「Facebookのサジェスト機能でイベントを見かけて」とか「読書会を検索していたら偶然ヒットして」参加する人も増えてきています。

Q3:イベントはどのような雰囲気ですか?

コーヒーやビールを飲みながら、あるいは夕食やお菓子を食べながら、自分の好きな本を7~8分ずつ紹介していくのが基本スタイルです。

本のあらすじを紹介する人、読後感を語る人、その本と出会ったきっかけを話す人など、紹介の仕方はさまざまですね。他の参加者からは「その本が好きなら、あの本も良いかも」「ドラマ版(映画版)もあったよ」など、さらなる知的好奇心を刺激する会話が繰り広げられます。

Q4:参加者の満足度、リピート率は?

毎回、参加人数は6~8人程度。そのうち3~5人はリピーター(主催者含む)です。

本に興味を持ってもらい、読書習慣をつけてもらうことが当イベントの主な目的なので、リピーターにはラジオ体操出席カードのような「スタンプカード」を発行しています。3回以上、6回以上参加した人には「ごほうび」として図書カードを贈呈しています。これまでに通算で約30回開催していて、10回以上参加しているヘビーリピーターも数名いますね。

Q4:イベントによって生まれたコミュニティ(交流)に、どのような効果・効能を感じていますか?

主催の2人は、とりあえず読書習慣を取り戻せました(笑)とある参加者は「読書は苦手だが、マンガでもOKなら……」というところからブック倶楽部に加わり、リピート参加していくうちに、エッセイや小説に興味が広がっていきました。

また別の参加者は、当初「本屋にいくと、本が多すぎて選べない!」と言っていましたが、「ブック倶楽部で勧められた本なら、手にとりやすいし、読後感を共有できる相手がいるので、読書モチベーションが生まれやすい」と話していました。

https://www.facebook.com/hbc2015/

[CASE3]

墨の香りに ほっこり「書道のゆるい会」

現在インターン中の学生・鈴木真由子さんが主催する「書道のゆるい会」。かしこまったイメージの強い書道を自由に楽しむ会として最近スタートしたばかりですが、SNSを通じて幅広い年代の参加者が集まっているようです。

Q1:イベント企画のきっかけは?

「自分が久しぶりに書道をしたかった」というのが一番強い動機です。せっかくやるなら誰かと一緒に楽しみながら書道をしたいという気持ちがあり、イベントとして企画しました。「ゆるい会」と名付けたのは、「物事のハードルを下げて、主催者も参加者も気軽に会に参画していこうよ。もっとたくさんのことに興味を持って体験して人生を豊かにしていけたら素敵だし、人生もっと楽しめそうじゃない?」と、自分自身そう思っているからです。

Q2:どのような職業・立場の方が参加していますか?

筆・紙・墨・硯といった書道用具は主催側で用意し、体ひとつで参加してもらえるようにしました。集客はFacebookのイベントページで行い、それをたまたま見かけたという20代の男性とはイベントで初対面。そのほか私のインターン先のサービスつながりで参加した40代の男性や女性など、幅広い年代からの参加がありました。

Q3:参加者の満足度は?

「中学生ぶりの書道だ〜」などと言いながら思い思いに楽しんでいました。

誰もが気軽に物事を発信し、参加できる社会になれば、普段接点を持てないようなバックグラウンドが異なる方と知り合える機会が増えていきます。そして考え方も多様になって、個性が尊重される誰もが生きやすい世の中になるのではないかと思っています。

私自身「みんなが友だちになれる社会づくり」をしたいと思っているので、会のハードルを下げることでいろいろな方がお友達になるきっかけになれば、とても嬉しいです。

Q4:イベントによって生まれたコミュニティ(交流)に、どのような効果・効能を感じていますか?

皆さんが書道を自由にのびのびと、まさに「ゆるく」楽しんでくださる姿を見て、開催してよかったと思いました。開催側も気構えることなく、一緒に楽しみながらでも会を運営することは可能だということも、身をもって実感できました。また、書道というコンテンツを通して参加者同士がつながるきっかけを作れたこともとても嬉しかったです。

これから回数を重ねていく上で、この「ゆるい会」で新しくお友達ができたり、この会をきっかけに趣味を見つけたり、参加してくださる方の人生が、より豊かになっていってほしいと思っています。

そしてもっと「ゆるい」という概念が広まり、「誰もが、気軽に新しいことを楽しく始めることができる場やイベントをオーガナイズできる」世の中になっていくきっかけのお手伝いができたら、とても嬉しいです。

まとめ

「好きだから」「なんとなく、気になったから」というきっかけでも、新鮮な出会いから知的好奇心が刺激され、視野が広がる体験をしている人が多いようです。SNS等を利用して、手軽に参加できる点も特徴的。

また家や会社から離れ、肩書のない自分として他人と向き合う新鮮な機会は、ハマる人が多いのもうなずけます。どんな広がりを得るかはあなた次第。まずはゆるく、気になったイベントに足を運んでみてはいかがでしょう。 取材・文:伊藤七ゑ 編集:鈴木健介

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