女性の人生は、長期戦。100人100様、皆違って皆いい。――女性リーダー採用・活躍支援プロジェクト(RCAジョカツ部)特集【前編】
スーパーウーマンだけが企業では「リーダー」として評価されがちだった過去から、今では働き方の価値観も多様化し、復職や共働き、働くママのキャリアアップも当たり前の時代になっています。
国は民間企業の女性課長職割合を2020年に30%という目標から修正し、15%という目標を掲げているけど、「本当に私にも管理職になんてなれるの?」「ずっと、私らしく働いちゃだめなの?」そんな漠然とした不安をもっている働く女性も多いのではないでしょうか。
無理せず、誰かのまねではなく、自分らしいリーダーシップを発揮できたら、長く、幸せに働きつづけられそうですよね。そんな「働く女性の当たり前」を、皆さんと一緒に創る、プロジェクト推進チーム「RCA(リクルートキャリア)ジョカツ部」が、キャリアだけではなくライフにも注目した特集記事を連載でお届けして参ります。
先日、RCAジョカツ部メンバーで行った座談会の模様を通して、
前編では、ジョカツ部メンバー個々人のライフスタイルの節目とキャリアの変遷のリアルな事例と、「女性およびワーキングマザー就業の今」を通して、女性の管理職30%が意味すること、自然体の女性がリーダーシップを発揮することについて。後編では、「結婚・出産・両立がゴールではない…幸せに働く60歳の私のイメージ」について、みなさんと一緒に考えていければと思っています。
関連記事:女性の人生は、長期戦。100人100様、皆違って皆いい。後編
座談会 参加者紹介 ※2018年9月現在のRCAジョカツ
森本さやかさん(1児の母 ジョカツ部 部長職・事業責任者)<写真右>
夢はお嫁さん…から、倒産で、自分と子供を守れる経済力は必要と思い会社員に。
内田怜七さん(2児の母 ジョカツ部 渉外職)<写真真ん中>
25歳で結婚しすぐに子供が生まれ「私のキャリアは終わった」と思った。
中野裕子さん (1児の母 ジョカツ部リーダー 企画職)<写真左>
子供を抱えてフルタイムで働く不安に30代前半は無我夢中だった。
スーパーウーマンではない、“自然体”で働ける女性が多数活躍する時代へ
今回登場するメンバーの3人は、会社員として働きながら、結婚、出産、育児、昇進、独立などライフイベントの節目で自分の生き方、働き方を模索し、自分なりの道を見出してきた経験をもちます。
まずは、自己紹介とキャリアの変遷についてそれぞれ語っていただきました。
夢はお嫁さん…から、倒産で、自分と子供を守れる経済力は必要と思い会社員に
まずは、1児の母であり部長職を務める森本さやかさん。
森本「もともとはわたしは、“お嫁さん”になるのが夢でした。大阪の中小企業の娘として生まれ、自営業でサラリーマンがいない環境で育ったため、将来は自分も経営者と結婚して旦那さんの会社のお手伝いをするイメージをもっていました。
ですが、就職活動前に不況により自営業倒産を目の当たりにし、『なにかあったときに、自分と子供を守れるくらいの経済力は必要』だと痛感。“生きていく力”を身に付けたいと思い、リクルート(当時)に入社しました。営業をやりたかった訳ではなかったんですが、泥臭く自分の足で動くことと頭でっかちにならず人に頭を下げることを覚えることが社会人として生きていく基礎力だと当時思っていて、営業はそれの最たる仕事。『生きていく力=営業』だと思い、日焼け防止に日傘を差しながら営業に行っていました。日傘営業の先駆けはわたし、ですね(笑)。その後、結婚を機に東京へ。企画職へ異動したいと2年間訴えつづけ異動が叶い、出産・復職を経て、1児を育てながらマネージャーへ。その時は相当悩みましたが、マネジメントもスキルだと思ってやってみようかなと。現在は部長を務めています。」
25歳で結婚しすぐに子供が生まれ「私のキャリアは終わった」と思った
2児の母である内田怜七さん。
内田「入社して、仕事は楽しかったんですが、TV番組などで情報を集めるうちに『わたしは早いうちに子どもを産みたい!』と思い、25歳で結婚を決意。すぐに子供にも恵まれました。
結婚、出産は望んでのことでしたが、同期入社の仲間がMVP(最優秀賞)をとり表彰される姿や、海外旅行を楽しんでいる姿をSNSで見ては、取り残されたと感じる日々。地元の広島から東京に出てきていたので、友達もおらず、孤独な子育てはとっても辛かったです。育児休暇を通じて、『働きたい』という気持ちが強くなっていきました。」
営業として復職してから初めて「働く」ことに正面から向かい合った…。スキルも実績もなく不安な復職だったが、上司の計らいもあり変わらずやりがいのある仕事を続けることができ、会社や環境への感謝が生まれた…。
現在は2児を育てながら仕事をしています。
子供を抱えてフルタイムで働く不安に30代前半は無我夢中だった
1児の母であり、ジョカツ部のリーダーである中野裕子さん。
中野「1社目を1年で辞め、その後1年間デジタルデザインの専門学校に通いました。ほぼ実務経験もないので、半年間ほど再就職活動をしましたが、なかなか思うようには進まず。友人の紹介でリクルートに入り、できることを増やしたくてがむしゃらに働いていて、気付いたら29歳でした。
もともとずっと働き続けたかったんです。手に職をつけたいな、そうすれば子育てしながら家で仕事ができるし…と、30歳でやめようと思っていた矢先に妊娠が発覚。まだ独立していないですし、一度出産で離職すると正社員に戻りにくい時代だったので会社にいさせてもらうしかなくなって、産休育休を経て復帰しました。でも、苦手な家事とはじめての子育てをしながら子供がいない時と同じパワーで働くなんていったいどうすれば…?30代前半は本当に先が見えなくて、ただただ必死、不安な日々でした。
面白い仕事がしたかったので、当時はサポート業務が中心だった時短勤務ではなく、フルフレックスでのフルタイムを選んだため、業務量は多少の配慮はあれど他の人と同じ。厳しくも理解のある上司に恵まれ、仕事を続けていればなんとなかなるともがいていました。今の後輩から見たら信じてもらえないかもしれませんが、よく夜中に泣いてましたよ(笑)。30代後半になると2次曲線的に力がついたと実感するようになり、会社を辞めても何か仕事はできるくらいにはなったと感じました。現在は小学生となった1児を育てながら仕事を続けています。」
女性活躍推進とはまさに今、現場でリアルなモデルケースが生まれはじめている段階と言えます。
女性およびワーキングマザー就業の今
さて、ここで働く女性のマーケットに触れておきましょう。女性の就業者数は、右肩上がりで上昇しています。2007年からの10年間で見ると、男性の就業者数は3%減少し、女性は7%増加していて、女性の伸びが大きくなっています。
出典:総務省統計局 労働力調査(基本集計) 平成29年(2017年)
そして、 女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合)は,結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し,育児が落ち着いた時期に再び上昇するという,いわゆるM字カーブを描くことが知られており,近年,M字の谷の部分がゆるやかになっています。つまり、近年では、結婚・出産を経ても働きつづける人の割合が増えているということです。
出典:男女共同参画白書(概要版) 平成29年版
就業継続に最も影響のあるライフイベントと言われている出産後も働く、ワーキングマザー (18歳未満の子どもを持つ母親)については、平成29年(2017年)には、18歳未満の子どもをもつ母親が仕事をしている割合が、初めて7割を超えました。また、正規社員の割合も、平成16年(2004年)の16%から、24%と、増加しています。
出典:厚生労働省「国民生活基礎調査の概況 – 厚生労働省」
つまり、子どもをもつ母親の4人に1人が正社員として働く時代であり、「時間的制約」をもって働く人は、特別な存在ではなくなりつつあるということです。
30代以上の読者のみなさんなら、子ども時代に持っていた「ワーキングマザー」のイメージとは、変化していることを実感するのではないでしょうか。
内田「私が中学生のときは、女性は会社に入ったら数年で辞めるか、子どもができたら辞めるかのどちらかが当たり前だと思っていました。
26歳で子どもができたとき、私は周囲から『会社は辞めるの?』と言われたけど、今は、子どもができた人は、周囲に『続けるよね?』と言われています。」
働く女性を取り巻く周囲の意識も変わり始めています。
内閣府の調査によると、2010年〜2014年では、出産前有職者の第1子出産後の就業継続率は53.1%、残りの46.9%は出産退職をしています。ただ、雇用形態を変えながらその後も就業する女性がいるため、ワーキングマザーの割合は70%に。
出典:内閣府「第1子出産前後の女性の継続就業率」の 動向関連データ集
中野「もはや、結婚よりも、出産が就業の継続に影響のあるライフイベントになっています。また、世代によって、出産後仕事を続けるかどうかの意識も異なり、多数お会いしてきた女性会社員の方の話を聞いていると、20代半ばの人たちは、『出産後も、仕事は続けるつもりです』と言っているのに対して、30代の人たちは、『できれば働き続けたいけれど、パートナーや職場環境、子供次第』という発言が多いように思います。」
様々なタイプの女性が多数活躍する世の中に
2015年政府が閣議決定した第4次男女共同参画基本計画では、第3次の「2020年までに指導的な役割における女性の割合を30%」にするから、「中央省庁の課長・室長職で7%、2020年の民間企業の女性課長職割合を15%」と大きく引き下げられました。
ただし、内閣府男女共同参画曲が実績として発表した、「第4次男女共同参画基本計画における成果目標の動向」平成29年の最新値では、民間企業の各役職段階に占める女性の割合が、「係長相当職」18.4%、「課長相当職」10.9%、「部長相当職」6.3%。
目標には程遠い進捗のようです。
中野「多くの企業さんから、管理職をやりたいと言う女性社員が足りず困っているというご相談を頂きます。平成30年の総務省「労働力調査」を見ると、管理職に従事する女性は、約17万人(男性120万人)。国が言っている『女性の管理職30%』は、人数にすると約41万人。
今の職場の体感値の、倍どころではなくて、3倍(!)なんです。女性の正規雇用は約36%で、さらに女性が多数就業している業界や職種には偏りがあるため、製造業や通信業などそもそも女性比率が低い業界は、今正社員の女性全員を管理職にしても、もしかすると足りない数字なのではないでしょうか…。
一方で、別に管理職になりたいわけではなくとも、働き続ける女性の数は増えています。でも、AIも伸長する中、40代50代60代と働き続けるためのスキル習得や、時代に合わせたバージョンアップって、できているんでしょうか…?
私達の世代は、いずれ両親の介護も総出で対峙しないといけないですよね…。
これは壮大な話だなぁと。もちろん、仕事上のリーダーになるかならないかは国がいくら目標を立てようと、個人の選択です。ただ、私は、“強気のバリキャリ”ではないが仕事ができる女性を沢山見てきていて、その人たちが活躍していないと見なされるのは、何か変だなと。『私なんて、リーダーは無理』と前例や固定概念にとらわれて過剰に自己評価を低くみたり、『私には関係ない。きっと誰かが解決してくれるでしょ…?』と他人事や受け身のままでは、今後の社会変化に対応しづらくなりそうですよね。ですから、今は、自分は特に秀でたこともないし…と感じているかもしれないけれど、女性が主体的に、『自分次第であの仕事もできるかもしれない』『強くなくても、自分なりのリーダーシップを発揮していければいいのかもしれない』と前向きな気持ちでキャリアを考えたり行動したりするためのサポートができたらと、と思い、ジョカツの活動を始めました。」
10年前までは、女性が第一線で働くにも、「仕事に家庭の事情を持ち込むな」というムードがあった。育児をしながら職場で活躍する女性もいるにはいたが、特別な存在。いわゆる「スーパーウーマン」でした。
中野「私も『あんなスーパーウーマンにはなれない。』と他人事のように捉えていたこともありました。ただ、もはやスーパーウーマンでないと生き残れない時代ではないですよね。
女性活躍の道を切り開いてくれた先輩には感謝しながら、もし、少しでも自分が主体者となって何かをしたい気持ちがあるなら、わたしたちのような普通の人たちが、できることをやって、みんなで自分が良いと思う形でリーダーシップを発揮してみようよという思いで活動しています。」
普通の女性が、自然体でいながら仕事も育児もできるようにならなければ、日本の少子化も止まりようがないのが現実でしょう。
「女性はすでにがんばっている」。だからこそ今、「がんばる」ことよりも、「仕事、家庭、子どもを持って働くことが特別なことではない社会をつくる」ことをみなさんと一緒に、真剣に考えていければと思っています。
後編では、
結婚・出産・両立がゴールではない…幸せに働く60歳の私って、どんなイメージだろう?をテーマにお届けして参ります。
関連記事:女性の人生は、長期戦。100人100様、皆違って皆いい。後編
リクルートキャリア(RCA)「ジョカツ部」(女性リーダー採用・活躍支援プロジェクト)
復職、共働き、そしてキャリア構築が当たり前の時代へ。
働く女性にとって、無理すぎず、誰かのまねでなく、自分らしいリーダーシップを発揮するチャンスが増えています。これからの当たり前を、私達だけでなく皆さんと一緒に創る、プロジェクトです。
今後もさまざまな切り口での女性活躍に関する情報発信等を予定しています。女性のライフ&キャリアのヒントを得たい方は、ぜひフォローしてみてください。
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EDIT&WRITING:飯沼暢子
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