「料理×SNS」血の通った“やりとり”こそが、場所も互いの立場も超える。――「クッキングラム」成長の秘訣とは?
日本最大級の料理インスタグラマーコミュニティ「クッキングラム」。2018年6月現在、公式インスタグラムアカウントのフォロワー数は約16.3万人。約1万人の登録メンバー「クッキングラマー」による月間総リーチは3億を超えます。右肩上がりの伸長を続けられる秘訣をひも解きます。
※本記事は、「PR Table」より転載・改編したものです。
新たなターゲットは、より“カジュアルに発信したい”層
▲クッキングラム プロデューサー大田祥子
クッキングラムとは、インスタグラムで料理写真や動画の投稿と、それらを通じてコミュニケーションを楽しむ方々を「クッキングラマー」と名づけてネットワークしているコミュニティです。
同じ事業部の「レシピブログ」はレシピを投稿する方々のコミュニティであるのに対し、料理の「写真」でよりカジュアルに発信したい方々が潜在的にたくさんいるのではないかと仮説を立て、その層の方々に楽しんでいただこうと、2015年7月にスタート。
当初、レシピブログ上でクッキングラマーさんを募集したこともあり、約半数はレシピブログにも登録しているブロガーさんでした。しかしローンチから3年が経過した現在、クッキングラム登録メンバーのうちブロガーさんは2割以下。新しい層を対象にするという目的は、十分に達成できていると言えるでしょう。
2016年4月にアイランドに入社した大田祥子は、直後にクッキングラムのプロデューサーと、レシピブログや姉妹サイトの朝時間.jpのマネタイズを手がける商品企画チームのプロデューサーを兼任することになります。
ユーザーに向き合うポジションと、クライアントのニーズにこたえ、施策効果を追求するポジションの兼務はかなり大変そうに見えます。しかし彼女は、「ユーザーさんに楽しんでいただくことと、クライアントさまに成果を還元することは実際のところ表裏一体なので、その両方を同じ人間が手がけることはとても効率的だし、私自身ネットコミュニティが大好きなので、むしろ幸せ」と言います。
大田 「『インスタグラムは写真だけだから情報拡散力に優れている』などといわれますが、そもそもインスタグラムは『写真だけ』などではなく『好きなものが共通している方同士のコミュニケーションの場』なんです。
普段から好きなものを共有し、いいねやコメントで頻繁に交流していることでお互いの発信に共感しやすい土壌ができます。こういった環境で『コレがすごくおいしかったよ』などと発信するからこそ情報が拡散・浸透しやすく、マーケティングにも向いているのです」
実際クッキングラムは数カ月で事業化し、急成長。
クライアント企業さまにもご活用いただいており、年単位でリピートいただけることも徐々に増えてきました。
血の通ったコミュニケーションと戦略的なハッシュタグが高い施策効果を生む
▲「#クッキングラム」の投稿数は270万件を突破(2018年7月現在)
大田は毎日4000~7000件程度もある「#クッキングラム」のハッシュタグ付き投稿から、いくつかをピックアップしてクッキングラムの公式インスタグラムアカウントでリポストしています。
聞いただけで腱鞘炎になりそうな作業ですが、「クッキングラマーの皆さんが大好きなので、楽しくて仕方ない」と大田は笑います。
リポストする際には、写真自体だけでなく、クッキングラマーさんたちの日々のことがつづられたキャプションにまで寄り添うコメントをするようにしています。このような「血の通ったコミュニケーション」を通して、運営側からの呼びかけに対する「受信感度」が高い状態を保っているため、クライアントさま商品のモニター募集をすると、1日足らずで600人以上の応募が来ることも。
また、編集部では毎月ハッシュタグを設定して投稿企画も実施しています。同じハッシュタグで投稿する機会をつくることで、相互フォローが発生しやすくなります。すると何かキャンペーンがはじまったときに、クッキングラマーさんたちのタイムラインに大量に同じハッシュタグの投稿が流れ込むため、目に留まりやすくなり、施策効果につながりやすいというメリットが生まれます。
また、タイアップ企画を盛り上げるうえでハッシュタグが肝になることが多いため、大田は営業やディレクションの担当者と一緒にハッシュタグを考えたり、提案に同行したりすることもあります。
ハッシュタグによって、投稿写真のクオリティと何を投稿してほしいかのコントロールができると大田は言います。
例えば、雪印メグミルクさまのカッテージチーズのタイアップ企画では、「手軽に使ってほしいので、サラダの上に散らした写真を投稿してほしい」というご要望がありました。
しっかり投稿内容を指定しないと、サラダ以外の料理が投稿される可能性もあります。そこで大田は「#カッテージチーズで華サラダ」というハッシュタグを考えました。ハッシュタグに「サラダ」と入っていればケーキの写真を投稿することは少ないでしょうし、「華」とつけることで「華やかにしよう!」と意識しやすく、結果的にクオリティコントロールにもなります。
大田 「クライアントさま側でハッシュタグが決まっている場合はそれを尊重しますが、ご相談いただいた場合は施策の目的に合わせて戦略的に考えてご提案します」
100人の「クッキングラム・アンバサダー」とクッキングラムを盛り上げる
▲クッキングラム・アンバサダー限定のスペシャルイベント
クッキングラマーさんの中でも、特に影響力が強い方々には「クッキングラム・アンバサダー」にご就任いただいています。2016年度に38人からスタートし、2018年度は100人。
単にフォロワー数が多いということではなく、投稿写真とキャプションの内容、フォロワーさんたちとのコミュニケーション、いいね数などから総合的に判断して、選出させていただいています。
クッキングラム・アンバサダーの方々には、クッキングラム自体の盛り上げをお手伝いいただくほか、タイアップ企画の際にさまざまなお仕事をお願いすることもあります。例えばタイアップ商品を使ったお料理フォトを先陣を切って投稿いただくことで、一気に拡散のベースづくりができます。
大田 「ご協力いただいている感謝を込めて、年に 2回ほどクッキングラム・アンバサダーさん限定のスペシャルなイベントも開催しています。アンバサダーさん同士のつながりを楽しんでいただける場をご提供することはもちろん、運営側としても皆さんとの信頼関係が築けるので、今後も続けていきたいと考えています。
ネットを介しているとはいえお互いに人ですし、運営者とユーザーという立場であっても、この広い世の中でせっかく出会ったからには良い関係を築きたいと思って。なので、アンバサダーさんに限らず、すべてのクッキングラマーさんに対して『なるべく近い距離でいたい』と考えています。それぞれの方の好きなこと、苦手なこと、ときには家族構成や最近の出来事まで認識しています」
普段から密にコミュニケーションをとっていることで、下の名前で呼んでくださるような方もいらっしゃいますし、プライベートな集まりに声をかけていただくことも。
大田 「皆さんを見守っていると、なんだか『おかん』のような気持ちになってしまうんですよね。年上の方もいらっしゃるのですが、我が子のようにかわいいです」
最新機能も取り入れつつ、ただユーザーの楽しみ方に寄り添っていく
▲チームメンバーとともに今後もユーザーに寄り添ったコミュニケーションを目指す
社内で最もインスタグラムをチェックしている大田が、注目しているのが「ストーリーズ機能」。(※2018年6月現在)
2017年にリリースされたこの機能は、24時間で投稿が消えるため、完成度にこだわることなく、より気軽にリアルタイムを伝えるのに適しています。
リリース当初こそユーザーの反応は決して良いとは言えなかったものの、今では非常に盛り上がっており、直近半年のインスタグラムの新機能はストーリーズに関するものが大多数を占めました。クッキングラムでもストーリーズを活用するマーケティング商品をリリースしました。
大田 「例えば『今この料理をつくっているので、後で投稿するね』という実況中継など、上手に活用する方が増えてきました。インスタグラムは、もともとコミュニケーションが活発な場でしたが、ストーリーズの盛り上がりによって、そこへのフォーカスがより強まったように思います」
最後に、クッキングラムのさらなる成長に向けて、大田の思いを聞いてみたところ「何も変わらず、ただユーザーさんにとっての『インスタグラム』という場がより素敵になるよう、お手伝いしていくだけ」と言います。
大田 「クッキングラマーさんたちがインスタグラムを楽しんでいれば、私たちは何かより楽しくなるような仕掛けをつくっていく。インスタグラム側の戦略を見据えつつ、クッキングラマーの皆さんに寄り添っていくだけです」
2017年は早々に目標を達成することができ、2018年はさらに大きな目標数字を会社から任されている大田ですが「大変なんですよ」と笑うその表情にはワクワク感と充実ぶりがにじみ出ています。
会社説明会では語られない“ストーリー“が集まる場所「PR Table」
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