広告会社で使われる、アイデアを広げる言葉とは

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広告会社で使われる、アイデアを広げる言葉とは

 華やかな業界の代名詞でもある“広告業界”。クリエイターたちが集っているその現場では、どんな会議が行われているのか、興味を持っている人は多いのではないでしょうか。

 どんな言葉が飛び交っているのか、どんな風にアイデアを広げているのか、チームとしてどうアイデアを具体化していくのか。博報堂 研究開発局が著した『気づく仕事』(集英社/刊)では、博報堂の社員たちの仕事の基本である“気づく”ことにフォーカスし、チームとしてどう「気づき」を共有し、広げていくのかが分析されています。

 では、実際に博報堂の打ち合わせではどんなことばを使っているのでしょうか。それらは「ことば自体は平凡なもの」でありながらも、いずれも人と人の間に立ち、機能することばです。

■共同脳を回すことば・・・「おもしろいね」「それ、なんかありそうだね」「へえ、そうなんだ……。ところでさあ」「あ、それで思い出したんだけど」「別の言い方をすると」等
 これらは個人と個人を接合、あるいは触発し合って志向空間を広げ、個を超えた「第三の発想」を生み出すためのことばです。お互いがお互いの思考に解釈を加え、参加者全体の思考をつくり直していきます。

■個人脳を働かせることば・・・「よくわからないんだけど」「そういえば、昨日うちのカミさんがね」「たとえば」「ということは」「腹落ちしないなあ」等
 共同脳をしっかり駆動させるためには、個人脳が活発に動くことが前提となります。活発に個人脳が動いているからこそ、他の人への刺激が増し、他の人たちの個人脳も活発になるのです。「直観をことばにする」「体験で語る」「「具体」と「抽象」の思考を往復させる」といったやり方があり、アイデアの種である「気づき」を得るために重要です。

■問い直してみる・・・「それって、そもそもどういう意味?」「本当にそうなの?」「それって実際にあり得ることなの?」「それってそもそも何が目的なんだっけ?」等
 個人脳と共同脳は、ことばのキャッチボールをするための方法。仮にキャッチボールが上手くなったとしても、うっかり他のスポーツのボールを使って硬式野球の練習をしていては甲子園には出られません。キャッチボールが正しく成果を上げられるように、自分たちが使っているボールやルールという前提部分を問い直すことばを、打ち合わせ内で使い、つど確認しなければいけないのです。

 この他に「俯瞰して関係を探ってみる」「構成してみる」ためのことばや、「○○部の立場から言うと」(立場語)「それはいわゆる○○理論のことですね」(既成語)など、打ち合わせ中に言うと共同脳の回転を停めてしまうネガティブワードなどが紹介されています。

 本書の冒頭には「博報堂の打ち合わせは7割が雑談?」と書かれていますが、それぞれの体験や考えを醸成し、生活者の欲望に彼らよりも先に「気づく」ためには、「雑談」のような自由な会話が重要であることが本書を通して分かるでしょう。
 仲間たちと「気づき」よりよいアウトプットを生み出していくことはどの企業も同じ。クリエイティブ畑に限らず、様々な業界で使えるノウハウであるはずです。
(新刊JP編集部)



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