「心理テスト」は「科学」それとも「統計」?心理学とは何なのか
イングランドは心理テストでPK戦のトラウマを打破した?
サッカーワールドカップロシア大会で、5大会ぶりの優勝を果たしたフランス代表の選手たちがパリ中心部のシャンゼリゼ通りでパレードを行い、詰めかけた大勢のファンから祝福を受けました。
今回注目するのは、そのフランス…ではなく、イングランドのチームについてです。指揮を執るのはサウスゲート監督でした。「PKは運が左右するものではない。重圧の中、どう技術を発揮できるかだ。」とPKについては、イングランドに長年まとわりつく”PK戦の呪い”というものがあったのです。そのトラウマと22年、誰よりも向き合ってきたのがサウスゲート監督なのです。
自分自身も、1996年の欧州選手権のPK戦にもつれた準決勝のドイツ戦で、当時25歳の選手だった監督は、6人目のキッカーで登場しましたが、シュートはGKに防がれ、敗戦の責任を背負い込みました。そして、今大会、ロシアに旅立つ前、イングランドでは代表選手に心理テストを実施したといわれています。それによってPKの適性を見極め、PKの順番を決めたのです。心理テストの効果とはどのようなものでしょう?
「心理テスト」と「心理検査」は異なるもの
私たちは、自分を知りたい、自分をして欲しいという欲求を持っています。自分を知ることはアイデンティティの確立につながりますし、相手に知ってもらうことは、承認欲求や神話欲求を満たすことになります。
なので、SNSには多くの人が、占いなのか心理テストなのか微妙なものの結果であっても、その結果を見てくれと言わんばかりに投稿しているのを見かけますよね。
心理テストは「ポピュラー心理学」
厳密に言えば、心理テストと心理検査は住み分けされており、心理テストはポピュラー心理学ともいわれるものによるもので、当たるも八卦、当たらぬも八卦なのかもしれません。
心理検査は「被験者の結果から構成された検査」
心理検査では、事前にどんなものかちゃんと説明がされていたり、被験者と検査者の間に信頼関係があったり、実施する部屋の環境を整えたりしながら実施をすることが望まれています。そして、信頼性や妥当性を得るために、1000人から5000人程度の被験者の結果によって標準化されているのです。
心理検査は社会のさまざまな場面で役に立っている
心理検査というのは、どんなことに役立つのでしょう?心理検査にはさまざまな種類があり、以下のような検査がよく活用されています。
知能検査・発達検査・性格検査…発達障害や性格バランスなどを検査します。
行動・社会検査…社会(集団)のなかで、どのような立場や行動をとりやすいか検査します。
職業適性検査…どのような職業が合っているかを検査します。
進路適性検査…どのような進路、指導が合っているか検査します。
人間というのは、同じ人間でも個性は全く違いますよね。その個性を理解したほうが、断然生きやすくなります。私も、企業様の入社診断などをしますが、仕事なども個性に合った職務に就いた方が、パフォーマンスが上がりますよね。
心理テストも自分を知ることに役立つ
自分が心理テストなどを活かすには、どのような活かし方があるのでしょうか。前述しているように、自分のことを知ることは、自分の方向性にとても役立ちます。心理学では思春期から30歳くらいまでの期間を「人生のモラトリアム期間」といい、「私は何者か?」というアイデンティティを確立していきます。
しかし、自分を理解したり、自分に向き合う時間が少なく、その必要性が就活期間くらいしか求められない世の中では、モラトリアム期間がどんどん延びていると言われています。「自分さがし」なんて言葉は、30歳を過ぎても容易に使われることが多いです。
自分を知ることは、自分の生きやすさ(※楽をするという意味ではありません)につながります。自分が生きやすければ、周囲に貢献することになります。当たっていれば、そうだなと自覚し、違うと思えば、じゃあどうなのかと考えることで、心理テストも自分を知ることに役立ちますね。
(青柳 雅也/心理カウンセラー)
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