家庭菜園好き必見!美味しい野菜づくりのコツとは
野菜作りは全ての作業が成果物の良し悪しに直結します。だからこそ、スタートのこの時期に計画をしっかりたてて、育てるポイントをおさえておくことが重要。長年親しんでいるベテランもこれから始めるという方も、おいしい野菜をたくさん収穫するために知っておいてほしい“コツ”を集めました。
「計画」「土作り」「管理」がおいしい野菜づくりのコツ
栽培を始める前にやっておきたいのが、まずは菜園プランを立てること。広さや日当たりなどを考えて、プラン図を作りましょう。
また、同じ「科」(分類上のグループ)の野菜を同じ場所で続けて育てると、連作障害で特定の病害虫の被害を受けやすくなるため、野菜選びはどんな科に属するか意識して。
次に大切なのが、野菜を健康に育てる土台となる土づくり。野菜は種類ごとに、よく育つ土のPH値や必要な肥料の量が異なります。
石灰や肥料は、適正量を散布しましょう。同時に堆肥も投入すると、土がふかふかになり、水はけや水もちもよくなります。その結果、野菜の根の張りがよく茎や葉も丈夫に育ちます。
石灰は栽培開始のか月前、肥料と堆肥は週間前までにまくこと。そして成長のタイミングに合わせて、野菜ごとに適切に管理を。
定期的に追肥するほか、草丈が高くなる野菜は支柱を立ててこまめに誘引する、タネから育てる野菜はタイミングよく間引くなど手をかけて。忙しい人でも、月に1回の手入れで育つ野菜を選べば十分に育てられます。
【Point1】
土作りをおろそかにしては、野菜は育ちません。
最初に石灰、堆肥、肥料でしっかり土づくりをしましょう。特に、初めての畑では丁寧に。
【Point2】
野菜には、初心者でも失敗しにくいものと、経験者でなければうまく育てられないものがあります。
まずは、育てやすい野菜を選びましょう。
【Point3】
たくさん収穫したいと、欲張って育てるのはNG。
成長後をイメージし、最適なレイアウトで。その方がのびのび育ち、収穫量も増えます。
初心者でも育てやすい野菜を教えてください
育てやすいのは、トマトなら、大玉トマトより実が小さいミニトマト。レタスは、玉にならないリーフレタス。初めて耕す畑では、堆肥を使って土をふかふかにしてから苗を植えましょう。
また、植えつけ直後に気をつけたいのが、根づいていない苗への風の影響。虫よけだけでなく、風よけの効果もある防虫ネットをトンネルがけして保護するとよいでしょう。
人気のミニトマト&キュウリ+丈夫なエダマメ&リーフレタス
手がかからない野菜4種類を育てるプラン。夏野菜0.9mのなかでは、ミニトマトとキュウリがおススメ。草丈が高くなるので北側に配置し、菜園全体の日当たりを確保しましょう。
手前で育てるのは、丈夫なエダマメとリーフレタス。植えつけ直後は防虫ネットをかけて風に弱い苗を保護。2週間後、苗が根づいたらネットを外し、ミニトマトとキュウリに支柱を立てます。
ミニトマトとキュウリは、0.9m四方の区画に1株ずつ。支柱をピラミッド式(支柱を3本、三角すいを作るように立てる)で立て、ループ状に誘引して収穫量アップ。
エダマメは株間・列間30cmでタネまき。リーフレタスは、株間40cmで苗を植えます。
1坪プランに丈夫な野菜を加えて、種類も豊富に
1坪プランで取り上げた野菜に、生育が旺盛で放っておいてもよく育つゴーヤーとシシトウ、丈夫で育てやすいジャガイモなど6品目をプラス。欲張らずに8〜10種類の野菜にしぼると、管理が行き届いて失敗が少なくなります。
堆肥をしっかり投入してふかふかの土作りをし、根がよく張るようにして育ちをよくします。
作付け後は定期的な追肥で肥料ぎれを防ぐほか、草丈が高くなる野菜は支柱を立てて株を支えてあげましょう。
株が大きく育つミニトマト、ナス、シシトウ、ゴーヤー、キュウリは2×1mに2株ずつ。
ジャガイモは株間30cm、リーフレタスは株間40cmで5株ずつ。
エダマメとダイコンは株間30cm×2列で10株ずつ。
長ネギは、株間5cmで苗を植えます。
日当たりがあまりよくない環境では、どうすればいいですか
日当たりが悪くても育つ野菜はショウガやミツバ、サトイモ。また、コマツナなどの葉もの野菜は、生育スピードは遅くなるものの、葉が柔らかくなります。
日陰は水はけが悪くなりがちなので、硬い土はていねいに耕し、堆肥でふかふかにしておきましょう。
資材もうまく活用したいものです。石灰は、苦土石灰を選ぶこと。成分のマグネシウムが、光合成する葉緑素の生成を助けてくれます。ポリマルチ(ポリフィルムのシート)を使って地温を上げると生育もよくなりますよ。
日当たりのよい場所では夏野菜、日陰ではショウガとミツバを
菜園の南側半分の日当たりが悪いと想定。日当たりのよい北側に、太陽を必要とするミニトマトとキュウリを配置します。
日陰になる南側で、ショウガとミツバを栽培。日当たりの悪さはマルチを張り、地温を上げて生育をサポートしましょう。
また、湿気で病害虫が発生しやすくなるのも気をつけたいポイント。株の間隔をきちんと空け、風通しよく育てて。
ミニトマトとキュウリは、菜園の北側0.9m四方の区画に1株ずつ。ピラミッド式で支柱を立ててループ仕立てにし、1株当たりの収穫量を増やします。
整枝で茎葉をすかし、風通しをよくして病害虫を防止。ショウガとミツバは株間30cm×2列で6株。
草丈の高い夏野菜とサトイモで葉ものとショウガを挟む
南側半分の日当たりが悪いと想定。日当たりのよい北側には、日光を好むトマトやキュウリなどを配置。最も南側では、日陰でも育つサトイモを育てます。
このように、背が高くなる北側の夏野菜と南側のサトイモの間で、あえて草丈が低い葉ものとショウガを栽培。日光の抜け道を作り、太陽が必要なナスとピーマンへの日当たりを確保するためです。
南側半分の区画には全面にポリマルチを張り、地温を上げて生育を促します。
トマト、キュウリ、ナス、ピーマンは2×1mに2株ずつ。エダマメは株間30cm×2列で10株。南側半分にはマルチを張ります。
ルッコラ、コマツナ、ミツバ、ショウガの畝には15cm間隔×5列の穴開きマルチ、サトイモの畝には穴なしマルチが◎。
忙しくて頻繁には手入れできないんです……
月に1回でも菜園に足を運べれば、家庭菜園は楽しめます。ただし、手間のかからない野菜を選ぶことと、育てる品目数をしぼることが大切。
おススメなのは、収穫まで数回の手入れで済むジャガイモやサトイモなどのイモ類と、長ネギ、ラッカセイ、ニンジン。
雑草防除のため、日光を遮る黒色のマルチを張れば、除草の手間を省けます。
さらに通路に防草シートを張れば、通路の除草までも不要に。追肥の手間が面倒なら、肥料成分が長く効く緩効性肥料が便利です。
あれもこれもと欲張らず、育てる野菜を限定して
育てる野菜はラッカセイ、ニンジン、ジャガイモの0.9m3種類に。ラッカセイはタネまきから収穫までに約半年、ニンジンとジャガイモは約3ヵ月かかる野菜。月に1回手入れをすれば十分です。
ただし、ニンジンは発芽するまで乾燥は厳禁。雨の後にタネをまく、タネまき後に、保湿効果のある不織布で畝を覆い、上からたっぷり水をやるなど乾燥を防ぐ工夫を。
北側のラッカセイとニンジンの区画には、15cm×5列の黒い穴開きマルチを張って除草の手間を省きます。
ラッカセイは、5列マルチの中央の列に、30cm間隔で3株。ニンジンは5×5列で25株育てます。
南側に配置したジャガイモは、株間30cmで5株。
一つの区画を広くとって育てる野菜は5種類に
1坪の野菜に加えるのは、月に1回の手入れで育つ長ネギとサトイモ。一つの区画を広く使い、野菜の種類を限定して管理の手間を減らします。
さらにニンジン、ラッカセイ、サトイモの区画には、雑草防除のため黒色のマルチを張るとよいでしょう。
長ネギは月に1回、収穫までに計4回、株の周りに土寄せすると、白い部分が長くまっすぐに育ちます。
菜園を訪れたら、病害虫が発生していないか、全ての野菜を葉の裏まで観察して。
長ネギは5cm間隔で苗を植えます。ニンジンには、15cm×5列の穴開き黒マルチを。ラッカセイは穴なし黒マルチを張り、株間30cmで10株。
ジャガイモはマルチなし、株間30cmで10株。サトイモは穴なし黒マルチを張り、株間40~50cmで6株。
いかがでしたか?
菜園をする際にぜひ参考にしてくださいね。
加藤正明
練馬区の農業体験農園「百匁の里」園主。NHK Eテレ「趣味の園芸やさいの時間」では栽培管理や講師を務める。著書に『加藤流絶品野菜づくり』(万来舎)がある。
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