映画『リメンバー・ミー』の名ゼリフ「チャンスを掴め!」は英語で何という?

映画『リメンバー・ミー』の名ゼリフ「チャンスを掴め!」は英語で何という?

『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)『TOEIC最強の根本対策』シリーズ(実務教育出版)など数々の英語学習に関する著書を出されている西澤ロイさん。英語の“お医者さん”として、英語学習の改善指導なども行っている西澤さんに「正しい英語学習の方法」についてお話しいただくこのコーナー。第17回目の今回は、「海外アニメ映画に学ぶ英語フレーズです。今回は今話題の映画「リメンバー・ミー」を題材にしたいと思います。

プロフィール

西澤ロイ(にしざわ・ろい) イングリッシュ・ドクター

英語の“お医者さん”として、英語に対する誤った思い込みや英語嫌いを治療し、心理面のケアや、学習体質の改善指導を行なっている。英語が上達しない原因である「英語病」を治療する専門家。ベストセラーとなっている『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)や『TOEIC最強の根本対策』シリーズ(実務教育出版)他、著書多数。さらに、ラジオで4本のレギュラーがオンエア中。特に、木8の番組「めざせ!スキ度UP」が好評を博している。

海外のアニメ映画は、英語学習の題材として、とてもオススメできます。映画「リメンバー・ミー」を題材にして、実際に登場した英語表現を味わってみましょう。

映画「リメンバー・ミー」を吹替ではなく字幕版で見てきました

ピクサーの映画「リメンバー・ミー」はご覧になりましたか? 私ロイも観ましたよ。もちろん、英語で。

大抵の映画館では、アニメ映画は通常「吹替版」が上映されます。おそらく、親子で楽しめるように……という配慮なのでしょうか。しかし、英語学習者としては、吹替音声ではなく英語音声で楽しみたいところです。

地方在住だとなかなか厳しいかもしれませんが、東京近郊にお住まいであれば、新宿や渋谷、有楽町などで字幕版の上映がありますので、チェックしてみてはいかがでしょうか(また、DVDが出たらそれで繰り返しお楽しみください)。

「リメンバー・ミー」の英語でのタイトルは?

そもそも、「リメンバー・ミー」の英語版での題名はご存知ですか? 「Remember Me」ではありません。それは映画中に出てくるヒット曲のタイトルですね。映画のタイトルとしては「Coco」です。主人公ミゲル(Miguel)のひいおばあちゃんの名前ですね。

海外の映画は、このように元のタイトルを知っておくことが非常に大切です。そうしないと、外国人と映画の話をしようとしても通じなくて困ってしまうかもしれないからです。

例えば、海外のアニメ映画のタイトルを挙げるなら「アナと雪の女王」「美女と野獣」「レミーのおいしいレストラン」。逆に、日本から海外に輸出された映画であれば「君の名は」「千と千尋の神隠し」「となりのトトロ」。これらの英語でのタイトルが分かりますか?

・アナと雪の女王(アナ雪) - Frozen

・美女と野獣 - Beauty and the Beast

・レミーのおいしいレストラン - Ratatouille

・君の名は - Your Name

・千と千尋の神隠し - Spirited Away

・となりのトトロ - My Neighbor Totoro

なお、「レミーのおいしいレストラン」のタイトルに関して1点だけ補足しておきます。フランス料理の「ラタトゥーユ」の正しいスペルは「Latatouille」ですが、ネズミのratに引っかけてあり、「Ratatouille」(発音は「ラタトゥーイ」)になっているのです。

英語のままのニュアンスを味わおう

英語で映画を見るということは、英語(原語)のままのセリフを味わえる、ということです。これは、英語を学んだ人だけが味わえる特権のようなものです。

さて、映画「Coco」には、エルネスト・デラ・クルス(Ernest de la Cruz)という伝説のミュージシャンが登場します。彼が繰り返し言うセリフが以下です。 「チャンスを掴め!」

さて、これは英語でどのように表現されていると思いますか?(ぜひ考えてみてください)

例えば「Catch the chance.」などと考えた人もいるかもしれません。まあ、それも間違いなく通じますし、そうやって自分の頭を使って考えることがとても大切です。

では、「答え」と言いますか、映画の中で使われていた表現を発表します。 Seize your moment.

seizeとは「ぎゅっと握る」動作を表します。要するに「今だ!」と思った時に、「そのmoment(一瞬)を掴んでものにしろ」ということですね。

ロイが思わず関心した英語表現

この他にもいろいろと、味わい甲斐のある表現が登場していましたので、いくつかご紹介したいと思います。 1.This is my life. You already had yours.

映画「Coco」で描かれているのは、家族との葛藤です。音楽をやりたいミゲルと、それを禁止する家族。上のセリフは、既に亡くなった家族(先祖)に対して、ミゲルが言った言葉なのです。

通常の会話であれば

This is my life. Not yours.

(これは僕の人生なんだ。あなたのじゃない)

くらいの言い方が一般的じゃないかと思うんです。でも、ミゲルはこう言ったんです。

This is my life. You already had yours.

(これは僕の人生なんだ。あなたのはもう終わったでしょう)

相手はご先祖ですから、「life(命)」はもう終えてしまっているわけですね。 2.I’m being forgotten.

この表現は、耳に入ってきた時に「おぉーっ」と思いました。文法的にちょっと難しいと感じる人もいるでしょうが、受動態(受け身)の現在進行形になっているんです。

受け身の進行形自体は、時々使われるので珍しいわけではありません。例えば、お店で店員さんが

May I help you?

と言いますよね。「お手伝いしましょうか?」的な発言ですが、もうすでに別の店員さんが対応してくれていた時には

I’m being helped, thank you.

のように返すことがあるのです。「今もうhelpされている」ということで、受け身&現在進行形になります。

さて、上記の表現の面白いところは、動詞がforgetだからなのです。まさか受動態の現在進行形でお目にかかるとは……というのが、私が「おぉーっ」と思った理由です。

映画「Coco」では、死者の国において、生者から忘れ去られた者は2度目の死を迎えることになります。上の表現は、Hector(日本語では「ヘクター」という表記になっていますが、発音は「ヘクトール」)という登場キャラクターが、消え去りそうになった時に言ったセリフです。

I’m being forgotten.

(俺は忘れ去られかけている)

現在進行形というのは「最中である」ことを示す表現ですから、ここでは「忘れ去られかけている」ことを表しています。

アニメ映画は英語学習にとてもオススメ

今回ご紹介したような、日本語には訳しづらい(訳せない)ニュアンスが分かるようになることは、英語ができる醍醐味と言えます。

そこまで到達するのは大変に思えるかもしれませんが、まずは好きな映画を英語で楽しむところから始めてみてはいかがでしょうか。

特にアニメ映画は、聞き取りやすい発音がされているケースが多いです。アクション映画やサスペンス映画などと比較して、ずっと英語学習に向いていると言えます――。セリフを覚えてしまうくらい、ぜひ何度も何度も観て、楽しみながら英語を学んでいくと良いでしょう。

プロフィール 詳細

英語の“お医者さん”として、英語に対する誤った思い込みや英語嫌いを治療し、心理面のケアや、学習体質の改善指導を行なっている。英語が上達しない原因である「英語病」を治療する専門家。

TOEIC満点(990点)、英検4級。

獨協大学英語学科で学んだ言語学に、脳科学や心理学も取り入れ、英語流の「発想」や「考え方」を研究、実践することで、大人だからこそ上達する独自のメソッドを確立する。

暗記の要らない英会話教材「Just In Case」、正しいリスニング方法が身につくトレーニング教材「リアル・リスニング」も好評を博している。ベストセラーとなっている『頑張らない英語』シリーズ(あさ出版)や『TOEIC最強の根本対策』シリーズ(実務教育出版)他、著書多数。さらに、ラジオで4本のレギュラーがオンエア中。特に、木8の番組「めざせ!スキ度UP」が好評を博している。

西澤ロイ 公式サイトはこちら

<参考図書>頑張らない英語学習法

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