かつて、テリー伊藤も乗っていたアルファスパイダー。「これに乗る女性を見るとゾクゾクします」
▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!
映画『卒業』を見て以来、忘れることができない存在に
今回は、「コレツィオーネ(COLLEZIONE)」で出合ったアルファ ロメオ スパイダーについて、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。
~語り:テリー伊藤~
金曜日の夜10時過ぎ。
美しい女性が運転する真っ赤なアルファ ロメオスパイダーが、首都高速5号線から外環自動車道、そして関越自動車道を幌を開けて走り軽井沢の別荘に向かう。
きっと軽井沢には初老の恋人が待っているのでしょう。週末を2人だけで過ごし、月曜の早朝にまた東京へと帰ってくる。
スパイダーを見るだけで、僕はそんな男と女のラブストーリーを想像してしまいます。今はストーリーを感じさせる車が少なくなりましたね。そんな中、スパイダーはとても貴重な存在です。
▲色気のあるエクステリアやインテリアがいろいろなことを妄想させます!
僕は、20代で初代スパイダーを手に入れました。
18歳の時に好きな女の子と行った映画『卒業』に出てきた、ダスティン・ホフマン演じるベンジャミンが乗る真っ赤なボートテール(シリーズ1)のアルファロメオ スパイダー。
一緒に『卒業』を見た女の子は、その夜にレコード店でサウンドトラックを買い、2日後には映画の中で流れるサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」の歌詞を全部覚えて僕に歌ってくれました。
▲初代アルファスパイダー(シリーズ2)
結局僕は映画を見てすぐにその子にフラれちゃうのですが、そのときの残像が残っていて、いつかスパイダーに乗りたいと思い続けていたんです。
これは買ってからわかったことですが、僕のスパイダーは見た目こそキレイだったけれど中身はボロボロ。でも幸いなことに大きな故障はせずに乗れました。
晴れた日に幌を開けて、イタリア音楽を聴きながら鎌倉に向かう。そんな、とても優雅な時間を過ごしました。
▲輸入車の楽しみのひとつが、運転しながら異国の雰囲気を味わうこと。生産国の音楽をかけながら走ると気持ちいいですよ
映画『卒業』を一緒に見た女の子や鎌倉への道は、一生忘れられない思い出です。
そしてスパイダーも僕にとって、すべての世代が生涯特別な存在であり続けるでしょう。
テリー伊藤なら、こう乗る!
今回出合ったスパイダーは程度もよく、とても魅力的なものでした。
「このまま乗って帰っちゃおうかな」なんて話していたら、お邪魔したコレツィオーネの成瀬社長がスッと近づいてきて、軽い商談タイムがスタートしちゃったくらいです(笑)。
この世代は赤ではなく黒かシャンパンゴールドに乗りたいので購入には至りませんでしたが、気持ちはかなりぐらつきました。
▲アルファならではのサウンドが心地いいエンジン
今、僕がこの赤いスパイダーを買ったら、やっぱり素敵な女性を隣に乗せて鎌倉を走りたいです。
ちょうど大学院に通っていることもあるし、学生たちと合コンをして「赤いオープンカーでドライブしよう」と誘っちゃうかもしれません。
でも残念ながら、今どきの女の子は真っ赤なオープンカーでドライブと言ったら絶対についてこないでしょうね。
むしろ「そんな車に乗ってるの??ダサイ……」と嫌われてしまうかもしれません。
昔は「オープンカーでデート」が若者の憧れでしたが、今は目立つのが嫌だと考える子が多いようです。
オープンカーということでマイナス、しかも赤で目立つことでマイナス……。確かに僕が街でスパイダーを見かけたら、「どんな女性が乗っているんだろう」と絶対に目で追いますからね。
そうなると女性は車に乗るときはいつでも化粧をしないといけなくなるし、化粧をしたらしたで「何キメているんだよ」となってしまう。
▲歴代スパイダーでは、このカタチが一番好き。でも、女の子は興味をもってくれないんですよ
だからこそ、冒頭の話ではありませんが赤いスパイダーに1人で乗っている女性を見るとゾクゾクします。
だって、男たちの視線、そして嫉妬をすべて受けて立つ気でいるのですから。
ファッションはタイトスカート。そして車から降りるとハイヒールに履き替えてさっそうと歩いてほしいですね。
こういう派手で遊んでいる感のある車に乗るうえで求められるのは『鈍感力』です。人目を気にせず、ただ屋根を開けて走るのが気持ちいいと思えるか。
多くの人が週末の疲れと1週間が始まるという憂鬱さで下を向きながら歩いている月曜日の朝に、何も考えずに真っ赤なオープンカーの屋根を開けて走れる鈍感力。
きっとこういう力を持った人が仕事で成功するんだろうなと思いますね。
▲車が醸し出すストーリーを感じながら乗りたい希有なモデルです
アルファ ロメオ アルファスパイダー(3代目)
アルファ ロメオのオープンモデルとして1966年にデビュー。今回取材した3代目はブレラのオープンモデルという位置付けで、2006年10月に日本デビューした。エンジンは2.2L直4と3.2L V6の2種類。2.2Lには6MTとセレスピード、3.2Lは4WDで6MTと6ATが用意された。 この車を探してみる 「COLLEZIONE」店舗ページはこちら
■ テリー伊藤(演出家)
1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『ビビット』(TBS系/毎週木曜金曜8:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。単行本『オレとテレビと片腕少女』(角川書店)が発売中。現在は多忙な仕事の合間に慶應義塾大学院で人間心理を学んでいる。
text/高橋満(BRIDGE MAN)
photo/大子香山
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