外国の方が体調を崩した時、近くにいたらどうすればいい?何を確認すればいい?
将来、突然の病気・ケガに見舞われる外国人が身近にいるかもしれない
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを待たずして、JNTO(日本政府観光局)によると、訪日外客数は2016年末には2000万人を突破しました。
私が仕事で関わっている、東京駅付近、鎌倉市内も、三世代家族、車椅子ご利用のお客様が散見されるようになってきました。日本はそれだけ安全な国なのかもしれません。
その分、自分達の身近に、病気やケガに見舞われる外国人に遭遇する可能性が出てきたということだと考えます。
外国人が突然の病気・ケガに遭った場合、医療従事者ではない一般人ができることは?
これまでの私自身の仕事経験から、医療従事者ではない一般人の対応として出来ることは、以下の三段階までと想定します。
①お声かけ
↓
②症状を聞く
↓
③医療機関、救急車への誘導
(もちろん相手の意識がなければ、英語フレーズを出すまでもなく③になると想定します。)
医療関係者ではない一般人ができることは限られている、と認識しておこう
医療従事者ではない一般人ができることは限られています。困っているからといってどこまでも助けようとすると、負う必要のない責任を負わされる可能性もあります。
確かに、宿泊施設で夜中に体調不良になった外国人客にスタッフが病院へ同行、診察や薬の処方の際通訳のお手伝いをするという特殊なケースもあります。
本コラムでは日中、職場、外出先などで突然体調不良になったが、意思表示のできる外国人をお手伝いするケースを想定してお話ししたいと思います。
お声かけの英語フレーズ
まず、何が起きているのか、意識はあるのかといったことを確認します。相手は平常ではない状態なので、少ない単語で簡単に、はっきりとした声で聞きます。
Are you OK? 「大丈夫ですか?」
※OKには、「分かった」の他に、「体調が良い」という意味もあります。
What’s happened? 「何が起きたのですか?」
What’s the matter? 「いかがなさいましたか?」
※matterは、「起こっていることの内容・問題」の意味で、体調不良の他に、問題が起きていそうな場でも使う決まり文句です。
May I help you? 「お手伝いしましょうか?」
「助けて欲しい」の意思表示があったら
How can I help you? 「あなたをどうお手伝いしたらよろしいですか?」
※体調不良だからといって、相手の体に簡単に触れることは避けましょう。触れたところが実は痛めている箇所かもしれないのです。また、宗教や生活習慣等の理由で、簡単に相手に触れることができないケースもあります。病気のような緊急事態でも、まず相手に聞き、答えを待ってからお手伝いする方が無難です。
Would you like me to support you here? 「ここをお支えすればよろしいですか?」
Here? OK? 「ここですか?大丈夫ですか?」
※相手が場所を指定したら、「ここですか?」と言葉を出しながら確認し合いましょう。
Could you hold on to me tightly? 「私にしっかりつかまってください」
Can you stand up? 「立てますか?」
Can you walk? 「歩けますか?」
We’ll start to walk, OK? 「歩き始めますが、よろしいでしょうか?」
Watch your step. 「足元にお気をつけください」
症状を聞き取る
ここでは、発するよりも聞くトレーニングが必要です。日頃から辞書で発音を調べ、耳慣れしておきましょう。
I have a headache / stomachache / toothache / backache. 「頭/腹(胃)/歯/腰(背中)が痛い。」
※英語では、「『頭痛』」、「『腹(胃)痛』」、「『歯痛』」、「『腰(背)痛』」を抱えている」という表現になります。stomachは、胃、大腸、小腸を含みます。
I feel sick / nausea.「吐き気がする」
I feel dizzy.「めまいがする」
Hard to breathe.「息が苦しい」
I fell down and I think sprained my ankle.「転んで足をくじいてしまったみたいだ。」
I can’t stand up.「立ち上がれない」
I can’t walk.「歩けない」
医療機関、救急車への誘導
We‘ll call an ambulance car. 「救急車を呼びます。」
I think you’d better go to the hospital / pharmacy.? 「病院/薬局へ行ったほうがいいです。」
※近くに医療機関や薬局がある場合は、すぐに頼った方が良いでしょう。
Shall we go to the first-aid room? 「医務室(救護室)へ行きましょう。」
※テーマパークなどの観光施設、商業施設、利用旅客の多い主要駅等では、医務室(救護室)が完備されているところもあります。
宿泊施設での対策~責任の所在を明確にするポイント~
最後に、責任の所在を明確するための対策についてお伝えします。宿泊施設では、滞在中に具合が悪くなるお客様が少なくありません。
夜中、週末、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始など医療機関が閉まっているとき、フロントで風邪や頭痛等の市販薬、絆創膏を持っていないかを聞かれることもあります。施設の方針にも寄りますが、以下のような対策をしておくと安心と考えます。
※お客様には市販薬を一切渡さない施設の場合
近くの薬局、救急対応病院のリストを用意し、案内出来るようにしましょう。
※ある限られた薬だけ、お渡しする施設の場合
以下の①リスト、②書類を英文で用意
①常備薬リスト
常備している薬の名前、何の症状の緩和か、一回当たりの摂取量(大人・小人両方)、薬の成分、副作用を明記。薬を渡す際、薬を渡した日、渡した薬の量を書き、お客様からサインをもらいます。
②同意書
「当施設で渡された薬を飲んで何かあっても、その責任は一切負わない」旨の同意書を作成し、薬を渡す前に必ずお客様からサインをもらうようにしましょう。人により体質は様々で、渡した薬がそのお客様に必ず合うという保証はありません。たとえ絆創膏1枚であってもです。
■英語フレーズ一部 出典
拙著「とっさに使えるカンタン接客英会話」(Jリサーチ出版)
(佐野 なおこ/講師)
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