小型の本格空撮ドローン「DJI Mavic Air」のレビュー
DJI から今年 1 月下旬に発売された最新ドローン「Mavic Air(国内版)」のレビューを送りします。
Mavic Air は、2016 年に登場し大ヒットした Mavic Pro の属する Mavic シリーズの新モデルで、3 軸機械式ジンバル付き 4K カメラ、4 本のアームを折りたためる優れた携帯性、430g という重量ながらも 21 分間のフライト時間を達成しており、小型機ですが本格的な空撮を楽しむことができる機体です。
Mavic Air は Mavic シリーズの機体なので、よく Mavic Pro と比較されますが、機体サイズや重量、フライト時間、フライト機能等に大きな違いがありますので、単純に比較することはできません。
それよりも Spark の後継機と見た方が Mavic Air の凄さが伝わりやすいと思います。
Mavic Air は Spark と同様に近場でのフライトにおいて、空撮や空撮セルフィーを存分に楽しむことができる機体です。
一方で前作 Mavic Pro は長いフライト時間とウェイポイントモードや地形モードといった様々な自動フライト機能を有しており、長距離フライトにおいてその力を発揮します。
Mavic Air には新しい 4K カメラ、最新のフライトシステム、クイックショットやパノラマショットの新モード、スマートキャプチャーなど、様々な新要素が盛り込まれており、Mavic Pro から乗り換えた場合でもきっと満足度は高いはずです。
Mavic Air はアームを機体側に折りたたむと付属の小さなソフトポーチに入れて持ち運ぶことができ、送信機についても両方のスティックが着脱式になったので Spark よりも運搬性に優れています。
しかし機体の収納を適切に行わないと運搬中にプロペラがポーチの壁面と干渉して曲がることがあります。
私はこれで 2 本のプロペラをダメにしましたのでご注意ください。
アームを展開した時のサイズは Spark よりもモーター一個分大きい程度で、重さは 300g(Spark)と 430g なので、機体を持つとその違いはハッキリと分かります。
プロペラはクイックリリースに対応していますが、ブレードは固定式なのでブレードを重ねることはできません。
また Spark のプロペラよりもスリムですが、少し長くなっています。
プロペラの翌面が Spark より少し広いので回転時の音は大きくなったかと予想していましたが、スマホアプリでデジベル値を測定したところ、どちらも 70dB 前後とさほど違いはありませんでした。
音を熱の何かで例えるとダイソンのハンディタイプに近い印象でした。
轟音ではありませんので昼間なら室内フライトも可能と思われます。
Mavic Air には前部と底部に加え、後部にもビジョンシステムが追加されており、前方、後方、底部の障害物検知が可能です。
また機体システムがビジョンシステムからの情報を基に飛行ルート上の 3D マップを作成することにより、側方の障害物検知も可能になっています。
Mavic Air の送信機は Spark のものとほぼ同じ構造です。
大きな違いは前述のスティックが取り外せるところと、送信機とスマートフォンを USB ケーブルで接続することが基本だというところです。
機体側のバッテリー 1 本につき送信機のバッテリー LED 1 ~ 2 つ分を消費するので Spark よりもこまめに充電する必要があります。
スティックが取り外せるようになったのは、ドローンをいつも持ち歩いている方に好評のようです。
取り外したスティックは送信機の内部に収納できるので、失くすことはほとんどないでしょう。
Mavic Air の操縦方法は既存モデルとほとんど同じですが、「フライトオートノミー 2.0」と呼ばれる新しいフライトシステムが導入されたこともあってかフライト画面には近い距離や後述する APAS モードのボタンが追加されるなど、若干の変化が見られます。
Mavic Air のインテリジェントフライト画面に表示される機能は、マニュアルモード(通常の操縦)、トライポッドモード、シネマティックモード、クイックショット、タップフライ、ポイントオブインタレスト、スマートキャプチャー、アクティブトラックの 8 つです。
さらにメイン画面の地図上部には Mavic Air で導入された APAS モードのボタンが追加されています。
Mavic Air の新機能の一つ「スマートキャプチャー」は、Spark で導入された「ジェスチャーモード」の進化版です。
離着陸、機体の移動、写真や動画の撮影など、一連の操縦を掌ジェスチャーだけで行える点は変わりませんが、スマートキャプチャーになってユーザーの位置はそのままに機体を遠ざけたり近づけることや、ユーザーをスイッチすることが可能になりました。
やはり大きな進化は Spark よりも離れた位置からの操縦できることでしょう。
接近しすぎて機体と接触する恐れが各段に減りましたし、掌を認識するスピードや精度も各段に良くなっています。
Spark のジェスチャーモードはベータ機能とでも言うべき完成度でしたが、Mavic Air のスマートキャプチャーで実用的な機能に進化しました。
実際に試したところ、どのジェスチャーも 1 ~ 2 回できっちり作動したので、送信機を使わない操縦が本格的にできるな、という印象でした。
またスマートキャプチャーでは機体がユーザーが認識すると、直ちにアクティブトラックが働き、即座に追尾しながらの動画撮影が行えます。
クイックショットの「ブーメラン」はユーザーから一度遠ざかりまた戻ってくるブーメランそのものの自動撮影機能で、「アステロイド」はロケット後に上空で 360 ショットを撮影し、それらを合成して宇宙から地球へズームアップしていくアニメーションを作成します。
DJI は Mavic Air の製品ページ等で 3,200 万画素の全天球パノラマ写真を撮影できる機能を大々的に PR していますが、この 360 ショットは Spark では既に可能です。
しかし Mavic Air のパノラマショットは全体的に撮影スピードが速くなり、Spark よりも待ち時間が短くなりました。
また全天球パノラマショットでは、クイックショットの「アステロイド」と同じアニメーションを使った演出が追加されており、Spark のパノラマショットとは違った作品を観賞できます。
Mavic Air の重要な要素の一つは「APAS」モードでしょうか。
これは障害物を回避しながら飛行を継続するフライトモードで、フライト画面左下のアイコンをタップすると有効になります。
最近の DJI ドローンには全てにビジョンシステムが備わっているので、障害物を回避するフライトは馴染み深いものだと言えますが、Mavic Air では障害物で停止または後退するのではなく、障害物を優雅に避けながら進んでいきます。
これは「フライトオートノミー 2.0」の導入によって実現しています。
APAS モードでは、障害物を回避しながら進んでいくだけでなく、フライトをスムーズに継続するため撮影中の動画もスムーズな映像になります。
また、Mavic Air のカメラでは写真の HDR 撮影(3 枚の合成)、最大 1080p@120fps のスローモーション撮影、タイムラプス撮影など、新しい撮影モードも備わっており、Mavic Pro よりも凝った空撮が可能です。
もちろん画質は操縦者またはカメラマンの腕にもよりますが・・・。
Spark のカメラは単純に写真や動画を撮影するだけというものだと思いますが、Mavic Air の場合、写真のパラメータ設定にはアスペクト比(4:3 と 16:9)、フォーマット(JPEG や RAW)、露出オーバー警告、フィルター、スタイル(シーンモードのこと)があり、また動画モードにはビデオサイズ(4K、2.7K、1080p、720p、24 ~ 120fps)やビデオフォーマットがあり、スマートフォンに匹敵するほどの撮影が楽しめます。
忘れてはならないのが 8GB のオンボードメモリが追加されたところです。
写真や動画をこまめに管理するつもりでしたら Mavic Air で Micro SD カードは不要だと思います。
ただ 2.7K や 4K の動画はワイヤレスで転送できないので、PC と USB ケーブルで接続で転送する必要があります。
最後にフライト時間について。
Mavic Air のフライト時間は 21 分(無風 25km/h 飛行) / 17 分(ホバリング)で、Mavic Pro よりもフライト時間は短いですが、Spark と比較すると 5 分も延長しています。
Spark との差は実感するほどでした。
あるフライトでは残量 72% からフライトを開始し、その 12 分後に 25% の低バッテリーアラームが鳴りました。
Spark だと 12 ~ 13 分が限界なので明らかに Mavic Air の方が長い時間フライトすることができます。
フライト時間は Mavic Pro よりも短くて残念だと思う方は多いでしょう。
しかし、けっこう飛ばしたのにまだ 60% 近く残っていることが多かったので、実際にはスペック値とは違う印象を持つはずです。
しばらく Mavic Air を使っていてバッテリーは 2 本もあれば十分だと思うようになりました。
Fly more コンボにはバッテリーが 3 本付きますが、これまでに一度も 3 本全てを使い切った日はありませんでしたので。
もちろん必要なバッテリー本数はユーザー一人ひとりの使用目的や予定のフライト時間によって大きく変わってきます。
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