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引っ越してきた男女6人は全員“元・殺人犯”だった――映画『羊の木』吉田大八監督インタビュー

――バンドのシーンも全編に散りばめられていて、映画の中の素敵なアクセントとなっていました。

吉田監督:文役の木村文乃さんには、撮影前から参考にしてほしいギタリストの映像を送ったり、会うたび「ギター練習してる?」って聞いていたから、ギターにしか興味のない監督と思われたかもしれません(笑)。でも普段やらない楽器を演奏しながら演技をするのは大変だったと思います。文の行き場のない感情がギターの音色に溢れているようで、大好きなシーンです。

錦戸君はミュージシャンですからもちろん演奏自体には何の不安もなかったんですが、僕が高校生の頃に好きだった、やや特殊な音楽性のバンドのスタイルを踏まえたかったので、彼が自然に演奏するときより少し動きを抑えてもらったり、微調整することもありました。

――なるほど、ミュージシャンならではの出来事ですよね。そんな日常シーンの中にドキッとしたりゾクッとする出来事が起こりますが、緊張感の演出はどんな事を意識されましたか?

吉田監督:怖いことと笑えることが究極には繋がっているという世界観が原作の魅力なのですが、実写の場合、漫画とは違うバランスを探る必要はありました。映画としての結末に向かって、不穏さや、ある運命にむかって歯車が動き出している感じは意識しました。

――私は映画を観ている間中、次に何が起こるんだろう?とゾクゾクさせられっぱなしでした。映画の中で「羊の木」は「信じるということ」を意味していると思うのですが(※)、監督にとって改めて「羊の木」とはどういう言葉だと思いますか?

吉田監督:わからないものとどうやって向き合うか、その可能性を示している言葉だという気がします。羊の木、ってまず意味がわからないじゃないですか。脚のある生き物が木になるという。絵を描いた人は、脚があって歩いている羊を知っているわけなのに、どうしてこういう“わからない”ものを描き、それが現代にまで伝えられているのか、さらにわからない。つまり、わからなくても、あるものはあるんです。そこでキーになるのが“信じる”ということのような気がします。でも、観た人それぞれで考えてもらえたら嬉しいです。

――今日は貴重なお話をどうもありがとうございました!

※コロンブスの時代ヨーロッパにて、人々は木綿は羊のなる木からとれると思っていたという「目に見えたものを純粋に信じる」人の事を表す言葉。

【『羊の木』ストーリー】
素性が知れないものたち、信じるか?疑うか?
さびれた港町・魚深(うおぶか)に移住してきた互いに見知らぬ6人の男女。市役所職員の月末(つきすえ)は、彼らの受け入れを命じられた。一見普通にみえる彼らは、何かがおかしい。やがて月末は驚愕の事実を知る。「彼らは全員、元殺人犯」。それは、受刑者を仮釈放させ過疎化が進む町で受け入れる、国家の極秘プロジェクトだった。ある日、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文(あや)をも巻き込み、小さな町の日常の歯車は、少しずつ狂い始める……。

http://hitsujinoki-movie.com/

(C)2018『羊の木』製作委員会 (C)山上たつひこ、いがらしみきお/講談社

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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