八戸せんべい汁を食べ尽くす!りんご飴マンのディープなグルメ旅
こんにちは。生まれも育ちも東京ながら、青森に恋をして勢いで移住してしまったむき出しのキャラクター、通称「生ゆるキャラ」りんご飴マンです。
ところで「八戸(はちのへ)せんべい汁」というご当地グルメをご存じでしょうか? 八戸市を中心に、青森県南部から岩手県北部周辺で古くより食べられてきた郷土料理です。
八戸はイカやサバなど豊富な海の幸が有名ですが、せんべい汁を食べずして八戸は語れません! ということで、今回はディープな「八戸せんべい汁」の旅にご案内します。
八戸中心街へ出かけよう!
基本この姿で八戸を徘徊しました。誰も近寄ってきません
JR東京駅からJR八戸駅までは東北新幹線で約2時間45分、りんご飴マンの住んでいる弘前からは在来線と新幹線を乗り継ぎ約1時間30分。八戸駅に着きましたー!
胡麻と落花生の南部せんべい
さっそくお土産屋さんで、名物「南部せんべい」を発見! 小麦粉を原料にした生地を丸い鋳型で焼いた、古くから地元民に愛されているお菓子です。小麦の素朴な味が、どこか懐かしい。
せんべい汁についてリサーチしていきたいところですが、今回は強力な助っ人をお招きしております。
八戸せんべい汁研究所 木村 聡さん
八戸せんべい汁研究所(通称:「汁゛研」じるけん)の木村 聡さん。八戸せんべい汁を全国ブランドに押し上げただけではなく、あの「ご当地グルメでまちおこしの祭典! B-1グランプリ」の発案者でもある、町おこしに精通したお方です。
「今日は身も心もせんべいだらけの日になると思うから、覚悟してね」と、いきなり脅される私。
そもそも「八戸せんべい汁」って、なに?
せんべい汁を語らせると止まらない木村さん
大量の資料を取り出し、発祥からウンチクまで丁寧に解説してくれた木村さん。
全部伝えると『ロード・オブ・ザ・リング』並みの超大作になってしまうので、かいつまむと……
1. せんべい汁とは、肉や魚、野菜やきのこ等でだしを取った汁の中に、鍋用の南部せんべいを割り入れて、煮込んで食べる八戸地方の郷土料理
2. 八戸地方は昔は稲作に不向きな土地であり、米の代わりに庶民は小麦を中心とした穀食生活を送っており、よくせんべいを食べていた(せんべい汁は食べ方のひとつとして食文化に定着)
3. 2002年、東北新幹線が八戸まで開通したことをきっかけに、木村さんは地元で当たり前に食べられていたせんべい汁に目をつけ、ご当地グルメとしてPR。すると、経済波及効果563億円を生み出す大ヒットに
もともと地元で食べられていた家庭料理が、木村さんたち「汁゛研」の働きかけにより、ご当地グルメとして発展していったのですね。
初級編ということで、八戸せんべい汁の味の違いを楽しめる3つのお店を紹介していただくことになりました。
優しい味わいがクセになる、鶏×醤油系
まずは、八戸駅前から出ている市営バスに乗り、約25分で八戸市中心街に到着。「六日町」のバス停から徒歩すぐの「肴町のわが家」へ。地元食材を使った家庭料理と郷土料理を楽しめるこのお店では、定番のせんべい汁を味わえるので、ビギナーとしては最初に立ち寄りたいところ。
ふらっと立ち寄りたくなる、落ち着いた店内
せんべい汁をオーダーすると、コンロとともに具材と汁の入ったベースの鍋がやってきました。
鶏ガラと隠し味に煮干しを入れただしに、ゴボウ、ニンジン、鶏肉、ネギ、シイタケ、シメジなど、たくさんの具が入った一品。これぞ「ザ・八戸せんべい汁」という感じです。
「菊水」と「三階松」の紋所が刻まれた南部せんべい
いよいよせんべいが登場! 冒頭で紹介したお土産の南部せんべいとは違い、塩と小麦粉で作られるお鍋用のせんべい(おつゆせんべいともいう)を使用するのが一般的とのこと。これを割り、お鍋の中に入れていくのですが、三等分くらいに割るのがちょうどよいのだとか。木村さんに、コツを教えてもらいました。
両手の親指で中心を押し込むように割るのがコツ
きれいに三等分された通称「ベンツ割り」! これができるようになるまで8年かかるという。
割ったあとはゆで具合に差が出ないように、沸騰した鍋に一気にせんべいを入れてしまいます。
せんべいの食べごろのおすすめは、汁に入れてから(使用するせんべいの種類にもよるが)3~6分くらいが一般的。パスタでいうところのアルデンテの状態で、ファーストバイトを味わっていただきたい。
こんな感じでクタッとしてきたら食べごろ。鶏ガラスープの旨味がたっぷり染み込んだせんべいと、アルデンテのなんともいえない独特の食感がクセになる。具材との相性も抜群で、想像していた味と全然違う、これはおいしい!
変わり種ながら猛烈におすすめしたいのが「せんべいの耳バター」。
焼き上がった南部せんべいは、きれいな円形型に抜き取られます。そのときにはみ出した部分を「耳」と呼びます。
耳とチーズをバターで炒めたシンプルなおつまみですが、クタッとした独特の食感と、バターとチーズの香ばしさがもうたまらなくて、ビールのお供に最高です。
サバのだしが絶品! まろやかな魚×醤油系
続いては、港町・八戸らしいせんべい汁をご紹介。こちらもバス停「六日町」近くの「サバの駅」は八戸前沖サバ料理専門店。1匹900g~1kgのプレミアムサバを使って提供されるオリジナル料理の数々も気になりますが、サバの専門店が出すせんべい汁とは……?
店内は、高級感がありながらも洗練された空間
こちらが目当ての「サバだし 八戸せんべい汁」。ゴボウやニンジン、ネギといった定番の食材はもちろん、メインはなんといってもサバ! 八戸ブランドのサバは、柔らかく、味が濃厚。
味の決め手は、サバの旨味が凝縮しただし。魚特有の生臭さがあるのかなと思ったら、全然そんなことはなく、せんべいともマッチしてしまう、まろやかな醤油味が最高!
馬産地ならでは! 身も心も温まる、馬肉×味噌系
3店目は、三日町と六日町にまたがる「八戸屋台村 みろく横丁」内にある屋台「お台どころ ねね」。馬肉と味噌の絶品せんべい汁があるということで、やってきました。
観光客や地元の人でにぎわう店内。この小さな空間で和気あいあいと食事と会話を楽しむのが、屋台の醍醐味です。
「汁゛研」が認定するおもてなしのプロフェッショナル「八戸せんべい汁おもてなしマイスター」であり、看板娘の上沢冨士子さん。お客さんに合わせて即興で歌ってもらえる「八戸せんべい汁」オフィシャル応援ソング「好きだDear!八戸せんべい汁」は、八戸に来たら一度は聴いておきたい名物ですよ!
どん! こちらが人気メニューの「さくら鍋(南部せんべい入り)」。味噌ベースのスープにゴボウ、ニンジン、豆腐、キャベツ、そして馬産地としても有名な八戸南部の馬肉など、たくさんの具が入った熱々の鍋は、身も心もぽかぽかになる一品。
濃厚なスープにじっくり浸して食べるせんべいは格別。これまで食べてきた醤油、味噌、どちらの味付けの汁にもマッチする、不思議な食べ物です。
ここで変わり種の「南部せんべいの天ぷら」をご紹介! 胡麻の南部せんべいを少しお湯に浸して柔らかくしてから揚げた天ぷらは、中はモチモチ、外はカリカリの、これまた中毒性の高い一品。
せんべいの持つ、無限のポテンシャルを知る
「もう一軒、寄っていこうよ」と木村さんに連れていってもらったのが、同じくみろく横丁にある「マンキ食堂」。
昭和レトロな雰囲気のお店ですが「きっとここにも、せんべいの変わり種があるに違いない」とドキドキ・ワクワクしていたところ、出てくるメニューは予想の斜め上をいっていました。
まずはこちら。おいしそうなピザですが、生地はもちろん南部せんべいです。
チーズをしっかりのせた、本格マルゲリータ風のせんべいピザ。ひと口サイズで食べやすく、南部せんべいが生地としてまったく違和感がない!
おもむろにせんべいを割りだす店主。そして次の瞬間……。
せんべいが、おでん鍋の中に入っていきました。そうなのです! このお店では、おでんの具としても、せんべいが使われているのです!
メニューにもしっかりある、南部せんべい。
せんべいグルメを堪能しながら、地酒・八仙の飲み比べをいただきます。飲みやすく、爽やかな甘みが味わい深い日本酒です。
油断していたら、今度はせんべいが受け皿として出てきました。
それを至福の表情で堪能する木村さん。さすがにこれは一般的ではないみたいですが、こぼれた日本酒がたっぷり染み込んだせんべいのお味に、好奇心をそそられます。とりあえず、木村さんの南部せんべい愛は120%伝わってきました。
変幻自在の南部せんべいグルメを遅くまで楽しんだあとは、横丁近くのホテルにて就寝。移動のいらないコンパクトさも八戸の魅力です。
今回は「八戸せんべい汁」をメインにディープな旅を紹介しましたが、まだまだ八戸の魅力はこんなもんじゃない! 何度も通いたくなる魅力がいっぱいの港町・八戸に来て、みろく横丁で会いましょうー!
八戸せんべい汁を食べ尽くす!りんご飴マンのディープなグルメ旅は旅するメディア びゅうたびで公開された投稿です。
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