お歳暮のマナーいつ何を贈れば良いか?NGの品はあるのか
お歳暮は長い歴史のある贈答文化
日本人は実に贈り物が好きで、結婚・誕生・入学・長寿・新築祝い、さらにクリスマス、バレンタインデーなど、一年を通じ様々な贈り物をしたり、されたりします。中でも「お歳暮」は結納と同様、日本古来の長い歴史を有する贈答文化で厳格なマナーが存在します。熨斗を付けるのもそのためです。お歳暮の意味や意義を正しく理解し、心を込めて行いたいものです。
お歳暮とは?由来と基本について
日本の贈答文化は神道と密接な関係がありますが、お歳暮は本来、先祖の霊が正月に里帰りされるに当たり、その子孫が食べ物や飲み物を持ち寄り、先祖を囲み共同飲食したのがその起源だといわれています。それがその年にお世話になった人への贈答へと変化し現在に至ります。
したがって基本は、目下から目上やお世話になった人に感謝と、これからもよろしくという気持ちを添えて贈るのが基本です。
いつ贈ればよい?目安は12月初旬から20日頃
贈る時期ですが、本来は12月13日の「正月事始め」から12月20日頃までがお勧めですが、12月初旬から20日頃を目安にすればいいでしょう。
但し正月用の生鮮食品は保存期間もあるので、30日頃でもかまいません。魚や肉などの生鮮食品には熨斗は付けないでください。
また相手が喪中の期間でも、お歳暮はお祝いの品ではないので贈っても構いませんが、忌中期間であれば時期をずらし忌中が過ぎて、1月7日までなら「お年賀」、1月8日以降になるようでしたら「寒中お伺い」として贈ってもいいと思います。
ちなみに12月13日の「正月事始め」とは正月を迎える準備をする日で、門松や雑煮を煮る薪等を山に採りにいったりします。今は暦から消えましたが、かつて婚礼以外はすべて大吉とされる鬼宿日で、大変縁起が良い日とされていたので、縁起を担がれる方には13日がおすすめです。平成29年12月13日は大安ですから今年はさらに良いかもしれません。
余談ごとですが、「大安」や「寄宿日の13日」にこだわるということは、贈り先に対して「私はあなたとの交流をこれほど大事に思っています」という意思表示です。しかし相手がこのことを知らなかったら通じませんので、一言言葉を添えてくださいね。
お歳暮には何を贈るべき?起源を考えると食料品がおすすめ
前述したようにお歳暮は正月に先祖が里帰りするに当たり、先祖をおもてなしするために、食べ物や飲み物をお供えしたのが起源ですから、お歳暮は食料品がおすすめです。古今東西「生きることは食べること」ですが、特に物が貧しかった頃の飲食物は大変貴重品です。お歳暮の趣旨にのっとった上で、相手の年齢、嗜好、家族構成、ライフスタイルに合わせればいいでしょう。
ちなみにハサミや刃物などは「縁を切る」につながり、靴下、スリッパなどは「相手を踏みつける」を連想するのでお勧めできません。
金額は世話になった度合や、贈る側の財布の事情もあるので一概には言えませんが、3000円から5000円前後が一般的です。
できれば直接持参するのがおすすめの贈り方
最近ではデパート、小売店、物流業者等がし烈な競争を展開するようになり、お歳暮も贈る時期や贈り方が変化し、自由度が増してきました。しかしお歳暮の性質から言えば、あくまで世話になった目上や上司等に対するものですから、できれば直接持参するのがおすすめです。その上でお礼の言葉を述べ、品物を渡し、今までの感謝とこれからもよろしくという気持ちを伝えます。極論になるかもしれませんが、贈り物の内容や値段にこだわるより、贈り方にこだわって欲しいものです。
訪問する際は、贈り物の場合は予約不要とされていましたが、最近は何かとあわただしい毎日です。急な場合でも予約したほうがいいかもしれません。例えば「これから伺いますが玄関先で失礼します」と控えめの予約もおすすめです。
とはいえ遠方の人や仕事で多忙な場合は、物理的に伺うことができない場合も多々あります。そのような場合は前もって送り状を発送するとか、手紙などを同封して感謝の言葉を綴るのも良いでしょう。
お歳暮に関するその他のあれこれ
お歳暮は一過性のものではありません。従って一度贈れば、やめるタイミングはむずかしいと思います。従ってその年だけお世話になったような場合は、「お歳暮」より「お礼」として贈ったほうがいいでしょう。
加えて、お世話になった人への贈り物にはお歳暮のほかに「お中元」がありますが、基本的にはお中元とお歳暮はセットで贈るものです。またお中元よりお歳暮のほうをやや丁寧にしてください。さらに予算の関係でどちらかの場合はお歳暮を優先してください。
またお歳暮をいただかれた時にはお礼の言葉は必要ですが、直ちに品物で贈る必要はありません。気になるようでしたら年明けに「お年賀」や「寒中見舞い」、あるいは旅行先などから土産を贈ればいいでしょう。
お歳暮に心を込めることにより絆をさらに深めよう
お歳暮は水引や熨斗がつきものですが、欧米のクリスマスプレゼントなどはリボンが主流です。どう違うかといえば、西洋の「リボン」はほどくことを前提としていますが、日本の「水引」は結ぶことが前提です。また「熨斗」はのし鮑の略であり、延ばす、つまりこれからも仲良く交流を続けることを意味しています。
このようにお歳暮の精神は単にモノを贈るという形式的なものではなく、心をこめることにより絆をさらに深めるものです。相手の喜ぶ顔をお思い浮かべながら、人にも、物にも神経を使い、手間暇をかけ、絆をしっかり結んでください。
(平松 幹夫/マナー講師)
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