「アウディ TTを荷物グルマにする」という異端の、しかし意外と合理的な選択
▲どこからどう見ても「荷物グルマ」には見えない2代目アウディ TTクーペですが、実はけっこう積めちゃう車なんです
いわゆるDINKSのご家庭にはかなり向いてるかも?
近頃けっこうお手頃になってきた2代目アウディ TTクーペ。言わずと知れたスタイリッシュかつ上質なドイツ産2+2クーペで、新車時価格は414万~631万円となかなかのものでした。
しかしその中古車は今や総額180万円前後から、走行3万km台までの物件を探すことができます。
ですがこの車、実は「スタイリッシュで上質な2+2クーペ」としてではなく「そこそこの量が積める荷物グルマ」としても十分使えること、ご存じでしたでしょうか?
もちろん、お子さんがいるご家庭にはまるで向きません。
でも、あなたのお宅がもしもそうでないなら……つまり、ひと昔前に流行った言葉で言うDINKS(Double Income No Kids=共働きで子供のいない夫婦)で、なおかつサーフボードなどの大きな道具を使う趣味をお持ちでないのであれば、割と最適な荷物グルマにもなるのです。
「2+2クーペが荷物グルマにもなるって、どういうこと???」と不思議にお思いの方も多いかもしれません。
以下、順を追ってご説明しましょう。
▲99年登場の初代TTの後を受け、06年10月に販売開始となったアウディ TTクーペの第2世代。デザインは初代と比べてややおとなしめですが、走りの質感はこちらが断然上。エンジンは2Lまたは1.8Lの直4直噴ターボと自然吸気の3.2L V6が用意されていました
▲なんともスタイリッシュなリアビュー。……これが本当に「荷物グルマ」になるんでしょうか?
どうせほぼ座れない後席を畳んでしまえば荷室容量は700Lに
まず、下の写真をご覧ください。2代目アウディ TTクーペの通常時のラゲージスペースです。
▲後席のバックレスト(背もたれ)を立てた状態で、だいたいこんな感じ
クーペですからさすがに広大ではありませんが、それでもいちおう290Lの容量は確保されています。
ちなみに現行の4代目マツダ デミオの通常時(後席の背もたれを立てている状態)の荷室容量が280Lですから、2代目アウディ TTクーペの290Lというのはクーペとしてはけっこう優秀な数値です。
それに加えて、デミオ的な車の荷室と比べるとアウディ TTクーペのそれは「前後に長い」という特徴がありますから、やや長めの荷物を乗せる際は小型ハッチバック以上に重宝するでしょう。
そして次にご覧いただきたいのが下の写真です。
▲……ポルシェ 911の後席と同じぐらいか、下手すりゃそれ以上に狭いであります
こちらは後席です。この画像では伝わりにくいかもしれませんが、ぶっちゃけかなり狭いです。
先日、筆者はこの原稿を書くためにあらためて2代目アウディ TTクーペの後席に座ってみましたが、足をガバッと開かないとそもそも座れませんし、不祥事を陳謝するような姿勢をとらないと天井に頭がぶつかります。
ちなみに筆者の身長は175cmですが、155cmぐらいの小柄な女性でもアレはちょっと厳しいんじゃないでしょうか。
後席は「子供専用席」または「手荷物置き場」として割り切るべきです。
……であるならば、いっそ後席は使わないと決めて畳んじゃったって構わないわけです、DINKSなら。ということで、この際ですから畳んじゃいましょう!
すると、荷室は写真下のとおりとなります。
▲ゴルフバッグ2つが楽勝で収まり、まだまだ余裕が。ゲートがガバッと開くのも便利なポイント
画像がこれしかなかったので伝わりにくい懸念はありますが、かなり広大です。具体的には、この状態での荷室容量は700Lをマークします。
ちなみに言いますと、現行の5代目アウディ A4アバントの荷室容量が通常時505Lで、後席背もたれを倒すと1510L。
ということは、この700Lというのは「さすがにステーションワゴンの本気時には負けるけど、通常時には余裕で勝ってる」というニュアンスの数値なのです。2+2クーペとしてはあっぱれな結果と言えるでしょう。
狙い目は総額180万円前後の比較的低走行な2.0 TFSI
まぁ冒頭付近で申し上げたとおり、それでもお子さんがいるご家庭やかなりデカい物を積む必要がある人には、まるっきり不向きな旧型アウディ TTクーペではあります。
しかし、繰り返しになりますがいわゆるDINKSまたは独身の方で、「さほどデカくはないんだけど、それなりの荷物や道具は積む必要がある。
でも、いかにも道具グルマっぽいやつは好きじゃない……」という人には、実はこの流麗な2+2クーペこそが理想に近い道具グルマである……という可能性もあるわけです。
そんな2代目アウディ TTクーペは今、おいくらほどで購入できるのでしょうか?
中古車の価格というのは1台ごとに異なりますので断定的なことは言えませんが、ざっくりで申し上げますと「走行4万km台の08年式2.0 TFSIが総額180万円前後」といったところです。
もちろん、各種条件に応じてこれより高いモノも安いモノもたくさんあります。
しかし個人的には、上記のあたりが中古車として面白い=お値打ち感が強いゾーンなのではないかと思う次第です。
以上、「スポーティカーではなく道具グルマとして2代目アウディ TTクーペを推奨する」というのはいささか変化球すぎたかもしれません。
しかし、実際にこの車を仕事の機材車にしている人のことも存じていますので、野球の投手で言う「ワイルドピッチ」、サッカーのシュートで言う「宇宙開発」ではないとの自負はあります。
ご興味のある方はぜひ今一度、ゆっくりご検討いただけましたら幸いです。
▲「所帯じみた車ではなく、いつだって上質な世界観のなかに身を置いていたい」と考える人が選ぶべき道具グルマとしては、けっこう有力な候補のひとつになるんじゃないでしょうか!text/伊達軍曹
photo/アウディ、大子香山低走行、お手頃系旧型アウディ TTをチェックしてみる▼検索条件アウディ TT(2代目)×走行距離4.9万km以下×修復歴なし
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