けっこうある!? 役所のヘンな名前の部署

けっこうある!? 役所のヘンな名前の部署

4月もう後半に突入。新入社員は慣れない社会生活がはじまり、ベテランさんも新しい部署に移動になったりと、名刺交換をする回数も増える時期。渡された名刺に書かれた部署名を見て、たまにどんな仕事なのかわからないことがある。一般の企業以上に、全国各地のお役所でも「え、それ何するところ?」と思うような名前の部署が多く存在するのだ。今回はそれをご紹介しよう。

お城の部署? 黒豆課?

今年4月1日付で兵庫県朝来(あさご)市に『竹田城課』が新設された。竹田城は標高353.7mの山頂に位置し、現在は建物は残っておらず石垣が残っているだけだが、日本百名城のひとつ。秋から冬にかけてよく晴れた早朝に朝霧が発生し、その姿が「日本のマチュピチュ」「リアル天空の城ラピュタ」と言われ、城マニアには大人気。メディアでも何度も取り上げられているので、知っている人も多いだろう。過去3年で約4倍の観光客が訪れており、「国史跡を生かした街づくりを目指す」ということで生まれた部署。

けっこうある!? 役所のヘンな名前の部署

兵庫県朝来市/竹田城跡

同じ兵庫県篠山(ささやま)市でもうひとつ紹介しよう。以前、所用で電話したところ「ハイ、丹波ささやま黒まめ課です」と女性の落ち着いた声で言われて、一瞬ひるんでしまったことがある。2005年に生まれた『丹波ささやま黒まめ課』は、ブランド野菜“丹波の黒豆”をPRするため、これまで農政課が担当していた業務を専門部署に移した。とはいえ黒豆だけではなく、山芋や栗などの特産物振興に特化した部署。現在は丹波篠山黒まめ係になっている。

おもてなし課にりんご課!

高知県の観光振興部には『おもてなし課』がある。高知といえば、大皿にカツオのタタキ、揚げ物、寿司などが盛られた、さわち料理が有名。客人を招きさわち料理でもてなす宴会のことを「おきゃく」と呼ぶ。こういった“おきゃく文化”をはじめ、“おもてなし”に力が入っている土佐文化の象徴か? しかもこの『おもてなし課』をモデルとした小説が! 高知県出身の人気作家、有川浩さんの『県庁おもてなし課』。高知県の観光振興に奮闘する職員の姿を描いている。

『県庁おもてなし課』/有川浩著

『りんご課』があるのは青森県弘前市。弘前市はりんご生産量日本一で、元々あった農作物全般を担当していた『りんご農産課』から2010年に独立し、りんごに特化した部署になった。想像どおりだと思うが、“りんごの消費拡大”や“生産振興”などに関する業務を担っている。ちなみに青森県観光局には『新幹線交流推進課』という名前部署があったのだが、県庁のホームページで確認したところ現在はなかった。東北新幹線の全線開通と共に“新幹線”の冠がとれたのか?

富士山の部署?

山梨県富士吉田市には2004年にできた『富士山課』がある。これまた電話したときに、シブい声の男性が「ハイ、富士山課でございます」と出て、自分が何を言おうとしたのか忘れたことがある。富士山観光や環境対策を行う部署。富士山といえば静岡県のイメージが強いが、山梨県にも接しているからね。ご当地ナンバーである“富士山ナンバー” も静岡県だけではなく、山梨県にもあるのだ。しかし静岡県も負けてはいない? 富士宮市には『富士山文化課』が!“地域活動の推進、文化・芸術活動の振興”とあり、観光に関する部署ではなく、地域のモチーフとしての意味合いで付けられているようだ。

名前を聞いても“???”

沖縄県那覇市役所には『ちゃーがんじゅう課』という、聞いただけでは全く想像できない部署がある。“ちゃーがんじゅう”は沖縄の方言で“いつも元気”という意味。健康福祉部に属していて、介護保険、在宅福祉事業、養護老人ホームの入所などを担当する部署。年配の方に親しみやすいように方言にしたのだろうか。元気なおじい・おばあ(おじいちゃん・おばあちゃん)の笑顔が見えるような名前の部署だなぁ。

全体的には、商工観光課や振興課、農政課など、その地域の観光や特産品などに関する部署が多いようだ。地元の人にはもちろん、外部の人のためにもわかりやすい名前にするのは当然。きっとほかの自治体にもまだまだあるに違いない。

元祖は『すぐやる課』?

変わったネーミングは、1969年に千葉県松戸市で生まれた『すぐやる課』がハシリではないのだろうか。「すぐやらなければならないもので、すぐやり得るものはすぐにやります」をモットーにした部署。市の人口が急激に増えはじめた時期で、早急に改善が求められることになかなか対応できず、諸々にひずみが生まれていたという。そこで、当時の市長だった松本清氏(マツモトキヨシの創設者)が市長直結の『すぐやる課』を設置し、すぐに職員が現場に向かって対応するようにしたのだ。その後、ほかの自治体でも同様の部署が生まれている。松戸市のホームページでは「なんでもやる課ではありません」と注意書きがあり、庭の草刈りなどは頼めないので間違っても電話しないように。

衝撃の進化を遂げた『フェイスブック・シティ課』

驚いたのが、九州の佐賀県武雄市。以前あった『佐賀のがばいばあちゃん課』(フィルムコミッション)が廃止され、新たなる進化を遂げていた。2011年8月から市の公式ホームページが『Facebook』に完全移行し、『フェイスブック・シティ課』(広報・広聴)ができている! それどころか、『お結び課』(婚活事業)、『わたしたちの新幹線課』(地域振興政策)、『いのしし課』(鳥獣保護及び被害)なんてネーミングの部署が続々と。フェイスブックページの中には、「武雄市職員つぶやき中」という市役所の職員の『Twitter』リストまで!

けっこうある!? 役所のヘンな名前の部署

武雄市役所 Facebookページ

「ソーシャルメディアを通して 武雄市の認知度を上げ、市民からの声を得られやすいようにする」という樋渡啓祐(ひわたしけいすけ)市長。なんと彼は、日本フェイスブック学会会長&日本ツイッター学会会長。彼がハマっている『Facebook』と『Twitter』を市政にも応用したわけだ。自治体×ソーシャルメディアから生まれたSNS市役所!?

果たしておじいちゃん、おばあちゃん世代がついていけるのか若干不安ではあるが、『Facebook』のアカウントがなくても市のサイトは閲覧可能。電話での対応などもこれまでどおりなので、武雄のがばいばあちゃんも心配ご無用。

ゴールデンウィークも近づいて、今年は旅行に行きたいけどまだ行き先決めてないんだ……なんて人は、気になる部署がある街に足を運んでみるのもいいかも!?
(くれぐれも問い合わせ以外の電話はお控えください。ホントにお願いよ)

「竹田城跡」『朝来市 公式サイト』
http://www.city.asago.hyogo.jp/0000001346.html

「県庁おもてなし課」『webKADOKAWA』
http://www.kadokawa.co.jp/sp/201103-04/

『武雄市役所フェイスブックページ』
https://www.facebook.com/takeocity

トップ画像:「R0011878」『flickr from YAHOO!』
http://www.igosso.net/id/2511031749.html

※この記事はガジェ通ウェブライターの「椿」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. けっこうある!? 役所のヘンな名前の部署
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。