住宅ローンの繰り上げ返済、実は怖いデメリットも?

住宅ローンの繰り上げ返済、実は怖いデメリットも?

住宅ローンの支払いを早く終えたいなら繰り上げ返済?

先日、近所のスーパーに家族で買い物に出掛けました。妻の買い物は長いので、私と長男・次男は遊具コーナーのベンチに座っていると、近くで30代中半に見える主婦2人が話しています。

「…住宅ローンの支払いを早く終えたくてねぇ…なんか『繰り上げ返済』とか言う、お得ないい方法があるみたいで、余裕があるたびにやっていこうと思っているのよねぇ…」

この会話の直後に私の携帯に電話がかかってきたので、以降の話はわかりません。別に聞き耳をたてていた訳ではなく、自然と耳に入ってきたのです。

私がこの会話で気になったのは

“繰り上げ返済”
“余裕があるたびにやっていこう”
この2つです。

一見すると繰り上げ返済にはメリットばかり?

繰り上げ返済とは「住宅ローン返済中に貯金でローンを前倒しで返済すること」や、「毎月の返済額を低くできる」という方法です。これは確かにお得ですよね。
ローン期間が短くなるのでとってもお得!
利息が減るのにやらないなんて損!

このように様々な雑誌でも紹介されていますね。何かとお得感満載の繰り上げ返済。でも、実はそうでない場合もあるのです。

繰り上げ返済をすると貯金が少なくなる可能性がある

最も注意しないといけないのは、お得だからといって繰り上げ返済をしすぎると、その分“貯金が少なくなる”という事です。

そうすると、これからの人生で起こり得る様々なイベントに対応できなくなる可能性があるのです。

代表的な例として“子供の教育費”があります。親としては自分の子供が希望する道に進ませたいですよね。でも、繰り上げ返済をしすぎることによって貯金が目減りし、お子様の教育費がかかる時期にお金を用意できないかもしれません。

こうなると奨学金のみならず、教育ローンで準備しないとならない場合もでてきます。

例えば、

教育ローン
金利1.81%、350万円、15年で返済
毎月の支払いは22217円

今抱えている住宅ローンが毎月7万円
とすると2つ合わせて約9万円の返済です。

毎月いきなり2万円以上の支払いが上乗せ、ということになってしまいますね。年間にすると24万円の出費増加ということになり、これは結構キツイのではないでしょうか。

交際費を減らして日々節約すれば大丈夫と考える方もおりますが、うまく継続できる人
は少ないです。

なぜなら、支払いの為に過度な労働や無理な節約をして、体を壊してしまうこともあるからです。こうなると、多額の医療費や会社からの給料の減少なども起こり得るのです。

そうでなくても、教育ローンの上乗せで家計が圧迫されるという状況なのに、その上、水道光熱費や食費の節約…となると、支払いに追われ、毎日が楽しくなくなってしまうのではないでしょうか。

また、車が壊れて買い替えを余儀なくされたり、大きな災害で家の修繕の為に仮住まいが必要になったりすると、一難去ってまた一難どころではありません。同時に二難、三難だって有り得ます。

こうした予期しない出費が増えると生活はどんどん苦しくなります。せっかく家を建てたのに楽しい生活とは言えなくなってしまいます。

大切なのは笑顔で過ごせる余裕のある日々の暮らし

これは一つの例ではありますが、決して大げさではありません。実際に“繰り上げ返済貧乏”になってしまった方は何人もいます。

そして、あなたがこうならないとは言い切れません。何かとお得と言われる繰り上げ返済ですが、確かに利息の軽減効果があります。

これは、間違いではありません。ただ、行うタイミング一つで、人生に大きな影響を及ぼすという事です。頑張って支払いを続けたとしても老後に残るお金が殆ど無く、毎日“財布とにらめっこ”というような未来になってしまう可能性だってあります。

そうならない為にいつどのタイミングで繰り上げ返済を行ったら良いのか?自分たち家族は本当に繰り上げ返済を行って良い家計なのか?これを慎重に考えてくださいね!

(高橋 徹/ファイナンシャルプランナー)

関連記事リンク(外部サイト)

ご主人のお小遣いは夫婦納得の上で決めましょう
火災保険では不十分 国も加入を推進する地震保険で万全の備えを
安定した家庭生活が期待できるダブルインカムについて

  1. HOME
  2. 政治・経済・社会
  3. 住宅ローンの繰り上げ返済、実は怖いデメリットも?
JIJICO

JIJICO

最新の気になる時事問題を独自の視点で徹底解説するWEBメディア「JIJICO」。各分野の専門家が、時事問題について解説したり、暮らしに役立つお役立ち情報を発信していきます。

ウェブサイト: https://mbp-japan.com/jijico/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。