「残念な20代」を過ごした人が、意識しなかったこと

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、「ビジネスパーソンの仕事への向き合い方」についてお話しいただくこのコーナー。第15回の今回は、「20代の過ごし方」についてです。

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こんにちは。俣野成敏です。

「仕事がデキる人」と「デキない人」の差は、いつ、どのようにして生まれるものなのでしょうか?デキる人は、やはり20代の頃から「生き馬の目を抜く」ようだったのでしょうか。それとも、もとは平凡な仕事しかできなかったのに、何かをきっかけとして目覚めたのでしょうか。

私は現在、自分のビジネスの合間に、社会人向けのセミナーなどを行なっています。そこで時々「俣野さんは20代の頃はどのような勉強をされていたのでしょうか?」と聞かれることがあります。

人は、本当に切羽詰まれば行動する

20代の頃の自分を振り返ってみると、特に突出して勉強していたとは言えません。持っていた本も3段のカラーボックスに収まるほどでしたし、仕事でも、見えていないことはたくさんありました。30代になり、自分で事業を任されるようになってからは、人並み以上によく勉強したのではないかと思います。つまり人間は「必要に迫られれば是が非でもやる」ということです。

とはいえ、もちろんぼんやり機会が来るのを待っているだけではチャンスは訪れませんし、来たとしてもつかむことはできません。具体的なチャンスのつかみ方に関しては、「仕事でチャンスをつかむための3つの方法」に詳しく記載しましたので、そちらをご覧ください。

それ以外に、当時の自分が周りの同僚と何が違ったのかと考えてみたところ、一番の大きな違いとは「自分の中の違和感を持ち続けた」という点ではないかと考えます。

これは、TVタレントの武井壮さんのラジオ番組に出演させていただいた時にもお話したことですが、実はこの違和感があなたの大きく飛躍させる種であることが多いです。

人は日常に埋没すると、感覚が麻痺していく

たとえば業務を行なっている時に、あなたは「なんでこの会社はもっとこうしないんだろう」とか「これはおかしいんじゃないか」と感じるようなことが、これまでに1度や2度はあったのではないでしょうか?

会社にいると、特に若い頃は、同僚などと会社のおかしな点について話し合ったりするものですが、年数を経るに従って、そうした会話もだんだんしなくなります。その環境にすっかり慣れてしまい、いつの間にかそれが自分にとっても当たり前と思ってしまうからです。

もちろん、その違和感を持っていたからといって、すぐに何かができるわけでもないかもしれません。だからといって、「どうせオレ1人の力じゃムリ」とか「こんなもんだ」といって自分の心を封印してしまわないことが大切です。

たとえすぐに解決できないことであっても、違和感を持ち続けるのは大切なことです。なぜなら、違和感はあなたの才能そのものだからです。違和感があるのは、このままではいけないと気づけているからこそで、実はこの「気づける才能」というのをもっと大切にしてほしいと思うのです。

違和感を持てば考えるようになる

ビジネスの現場では、むしろその場で解決できることの方が少ないものです。だから、今すぐどうにかできるかどうかは関係ありません。

違和感を形に変えていくための第一歩としてオススメなのが、「違和感をアウトプットする」ことです。それは周りに対してグチを言うことではありません。自問自答をすることです。

ここでのコツは、「なぜこの人たちは、そうしないのだろう?」という否定ではなく、「なぜこの人たちは、あえてこうしているのだろう?」と肯定で考え、感じたことなどと一緒に書き留めておくのです。

実際は、違和感の半分ぐらいは単なる自分の勘違いかもしれません。それでも、考える訓練になっていきます。1回考えただけでは何も思いつかなくても、頭の中に置いておけばやがて閃き体質になります。それを積み重ねていくことによって、具体的な改善策やアイデアも出やすくなっていくのです。

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緊張感は違和感に通じる

他の勉強方法としては、「自分にとって緊張感を感じる場所へ行く」という方法もあります。社内でも社外でも構いませんが、「この人はすごいな」と思える人の側に行って学ぶことです。私も常に「自分よりすごい人といかに接点を持つか?」ということを意識し、実践しています。いまだにそういった面々に囲まれてビジネスをしています。

もともと、すべてがすごい人などいません。それでも相手が「自分と比べて、この人のこの部分はすごい」というものを持っていて、そこから学ぼうとすることが、緊張感を生みます。緊張感は違和感に通じています。つまり、意図的に自分から違和感を感じるように仕向けるわけです。

私が30代で一番高額な自己投資したのは、1時間10万円の対価を支払い、兆円企業の経営コンサルタントのオフィスに指導を仰いだ時でした。受講生が2、3人しかいない、ほぼプライベートレッスンでしたが、いまでも金額以上の価値があったと考えています。当時の私は、ちょうど立ち上げた社内ベンチャーが軌道に乗って来ていた時期でもあり、自分への戒めも兼ねて、2年くらい通い続けました。

もし、「自分にはそういう環境がありません」という人は、待っていないでまずは読書からはじめましょう。ただし、読むだけでは身になりません。読んだだけでは、実際に経験するほどのリアリティを感じることができないからです。本というのは、他人の経験に自分を照らし合わせることができて、初めて機能します。

すぐに答えが出なくても気にしない

そもそも、人が自分の中の違和感をすぐに忘れてしまうのは、「その場で何とかしよう」と思うからです。私たちは、学校教育で何年間も「すぐに答えを出すように」訓練されて来ました。その結果、その場で何とかできる問題だけをやろうとしてしまい、すぐに解決できない問題は「自分にはムリだ」と考える傾向があります。

多くの人が、気づいていても気づかないふりをして、今すぐ出ない答えを「仕方がない」と言ってあきらめているのが実情ではないでしょうか。世界的ベストセラーの著者であるロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さんの起業する前に読む本』には、金持ち父さんがハイスクール生だった頃のキヨサキ氏に向かって、こう言う場面が出てきます。

「怖いものが何もないなんて思うのは愚か者だけだ。恐怖はいつも存在する。何も恐くないという人は、現実を見ていない人だ。…私たちは誰でも恐怖を持っている。違うのは、その恐怖に引きずられて安全を求めるか、それとも自由を求めるかだ」

自分の中の違和感を大事にするとは、自分をごまかさないということです。そして、「その場で何ともならなくてもあきらめない」ということです。

あなたが今、心の奥で感じている違和感とは何ですか?

今回の記事内容についてもう少し詳しくお知りになりたい方は、拙著「『一流の人は上手にパクる~仕事のアイデアがわいてくる大人のカンニング』(祥伝社)をご一読ください。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』が11刷となっている。著作累計は34万部超。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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