「もし女子高生が総理になったら!?」 津田大介×女子高生3人 全文書き起こし(2)
高校生の視点で社会や暮らしの中から問題・課題を発見し、その解決方法を分かりやすく提案するコンテスト「全国高校デザイン選手権(デザセン)」。2011年度の決勝大会では、候補者と有権者がお互いを知る機会を増やそうという提案「あなたのおうちに。開局!選挙チャンネル」をプレゼンテーションした有田工業高校デザイン科の女子高生3人組が、優勝した。
2012年3月25日のニコニコ生放送の討論番組『もし女子高生が総理になったら!?』では、デザセンで優勝した有田工業高校の女子高生(当時)3人が登場し、デザセンで優勝を獲得したプレゼンテーションを披露。以下、番組の全文(part2)を書き起こして紹介する。
・「もし女子高生が総理になったら!?」 津田大介×女子高生3人 全文書き起こし(1)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw227588
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http://live.nicovideo.jp/watch/lv86031962?po=newsgetnews&ref=news#0:33:48
・[ニコニコ生放送]有田工業高校の女子高生(番組出演当時)のプレゼン部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv86031962?po=newsgetnews&ref=news#17:18
■大人を動かした女子高生の”企画力”
津田大介さん(以下、津田): 3人のプレゼン自体が良い授業の教材になるんじゃないかなって気がするんですけど。ニコニコ生放送にも双方向性を活かせる機能があって、アンケートができるんですよね。今ごらんになっている8000人の方々に「3人のプレゼンがいかがだったか」のアンケートを聞いてみましょう。
「とても良かった」という人は1、「まぁまぁ良かった」っていう人は2、「あまり良くなかった」人は3、「良くなかった」という人は4で。みんな、1を押してほしいですよね。じゃあ、ちょっと視聴者の人にお願いして。
川添こころさん(以下、川添): (手を合わせる)
津田: (コメント見ながら)「原口出たからいい」とか。原口さんは関係ないでしょ(笑)。今みんなが画面をクリックしていて、それですぐ集計されるっていう。出ました。「とても良かった」が63.3%、全体的に良かったという人が93%。素晴らしい。
マエキタミヤコさん(以下、マエキタ): ニコ動を見ている人って優しいね。
津田: 口は悪いけど優しい。パソコンぐらいしか得意なことないけど、優しい。今コメントにも出ていますけど、与良さんとかマエキタさんとかの話を聞いていかがでしたか?川添さんから。
川添: デザセンのときは、プレゼンしたら、茂木(健一郎)さんは「ブラボー」って言ってくれて、「やったー」という感じで優勝だったんですけど、ここは私たちのプレゼンにアイディアみたいなものを与良さんとマエキタさんがくださったので、ますます勉強になりました。
与良正男さん(以下、与良): 優等生的な話だったね。
津田: 優勝したんだから、それ以上改善しなくてもいいんだけど、メモをしているから。
川添: 「選挙ちゃんねる」を実現するためにですね。
津田: 島田さんはいかがですか?
島田花穂さん(以下、島田): この提案、デザセンの本番の前も、自分たちでずっと考えているときは、本当に実現するのかなって思っていたんです。実際にプレゼンを見てもらって、もちろん友達も反論返してくれるんですけど、大人の方がすごく良い言葉を言ってくれて、実現に向けて動いてくれている人もいて、そういうのがうれしいです。だから私たちもまだ頑張らなきゃいけないなって思います。
津田: なるほど。田中さんいかがですか?
田中みづきさん(以下、田中): 3番目ってコメントに困りますよね。このプレゼンを作っているときはクラスの子とか同じ歳の子の意見を聞いたり、大人の意見も聞いたりしていたんですけど、この場で大人たちの意見を聞けるっていうのがすごく貴重です。
デザイン選手権出るときは、いいプレゼンをしようっていう一身でやっていたんですけど、こうやって優勝して、大人たちからも評価をいただいて、ニコ生を見てくださっているみなさんに評価をいただいて、「選挙チャンネル」は実現しないといけないなって思った。「政治家は汚い」って言われているじゃないですか。でも政治や国がどうこうではなくて、私たちでどうにかできるんじゃないかなって思いました。ありがとうございます。
津田: 「大人よりも偉いよ」ってコメントがありました。田中さんのコメントは素晴らしいコメントだったと思うんですけど、一点だけちょっと言うと、ここに並んでいる人たちは、あまりまともなベンチマークだと思わないほうがいい。
マエキタ: そうね。それはそうね(笑)。
与良: そうか?俺は一緒にするなよ(笑)。
津田: それぞれ社会からはみ出ているところがあるから、そんなにまともではないと思いますけど。
与良: 変わった新聞記者ではあるけどね。
■「国会議員を選んだのは国民」
津田: ちなみにニコニコ動画とかニコニコ生放送を運営しているドワンゴっていう会社があるんですけど、そこの川上会長が今回のプレゼンを見ていて、コメントを寄せてくれたそうです。コメントを読みますね。
「今のドワンゴ社員全員クビだ。すぐ彼女たちにうちに入社してほしい」
就職活動とかあまり考えなくて、いざとなったらドワンゴに入ればいい。大学に飽きたりとかしたら。そんな感じで楽しい大学4年間を過ごしていただければって。「全員クビ」ですからね。川上さんがそういうふうに言いたくなる気持ちもちょっと分かりました。
マエキタ: 感激したってことだよ。(デザセンでは)茂木健一郎さんがプレゼン終わった瞬間に立ち上がって、「ブラボー」って。審査も何もあったもんじゃないって感じで。採点しようと思っているのに。
津田: その姿が目に浮かぶような感じですね。ということで、3人にプレゼンをしてもらったわけですけど、もう少しプレゼンの中身が出来上がるプロセスが気になるところなので、「選挙チャンネル」のプレゼンが出来上がるまでについて、ちょっと聞いていきたいと思います。
最初に根本的な疑問として、なぜ「選挙」というテーマを選んだのか。作っていくうちに、最初から選挙でやるつもりだったのかとか、生まれたきっかけを教えてもらえますか?
島田: 東日本大震災があった後に、テレビで国会の映像が流れていても、日本の国民全体は「もっと復興のために」って望んでいるはずなのに、自分たちの足の引っ張り合いばっかりしていた。「国の代表がこれでいいのかな?」って思っていた。で、それを・・・何だっけ。ちょっと待って・・・。
津田: いや大丈夫ですよ、ゆっくりでいいですよ。落ち着いて。
島田: 緊張する。
津田: 大丈夫です、大丈夫です。
与良: すごく通じているよ。うん、大丈夫。
島田: でも、そういう国会議員を選んだのは国民じゃないですか。
津田: そうですよね。選んだほうも責任があるっていうね。
島田: 選挙の時に、候補者のことを理解してちゃんと選べていたのかなと思って。
津田: たまたま親戚の付き合いみたいな知り合いから「この人(に投票を)お願いしてよ」とか、昔からの同級生から突然の電話がかかってきて、「この人に(一票を)入れてね」みたいな。そういう、あまり考えずに(票を)入れていた国民の方に、政治家・政治腐敗なんて言われているけれども、その原因があるのではないか、という問題意識があった、と。
島田: そういうふうに考えていて、候補者側もちゃんと(主張を)伝えられていたのかなっていうのも思っていて、だったら、お互いにちゃんと理解できるように、理解できるし伝えられるような選挙運動に変えたら良いんじゃないかと思って、この提案をしました。
津田: なるほどね。
マエキタ: すごく素直だよね。
与良: 3人でそんな話にだんだんとなっていったの?
川添・島田・田中: はい。
■新聞・テレビが有権者を批判できない理由
津田: 当然、みなさんには選挙権はまだないけど、選挙は始まると身近にあるわけじゃないですか。特に、選挙カーで候補者の名前を連呼して、「うるせな」とか思いながら聞いていると思うんですけれど、選挙カーとか選挙の街頭演説を見ていて、距離を感じたり、「身近にできないのかな」って思っていたりはありますか?
田中: 距離は感じますね。街頭演説もうるさいだけだし、本当にに何言っていんだろうっていうふうに思うこともあります。あとポスターも、何かを伝えるためのポスターなんじゃないかなあって思うんですけど、名前と顔の派手なポスターで、国民にちゃんと伝えられているのかなとか、そういうことを思いますね。
津田: その意味で、本当に政治家や政治というものを身近にするときには、そういう伝え方とか、それを伝えるメディア、新聞、・テレビとかもそうなんでしょうけど、そういうものが、どうも自分たちにやっぱりしっくりこなかったので、自分たちが「本当に見たいものはこういうことだ」ってものを作ろう、と。
川添・島田・田中: はい。
与良: 津田さんがさっき言って、痛いとこ突かれたなっていうのは本当にそういうことでもあって、もう一つ痛いところを突いているなと思うのは、どういう議論の流れになったのか分からないけれども、あなたたちが「有権者たちにも責任があるんじゃないか」っていうことを言ったことっていうのが、痛いところを突いてくれるなと僕は思うのね。実を言うと、私たち・・・。(女子高生がメモを取っている姿を見て)メモを取っていて偉いね。
こういうところだから告白しちゃうんだけど、私たちマスメディア、新聞・テレビが有権者の悪口って言うことは、ほとんどないの。
マエキタ: (選ぶ側の)責任っていうことも?
与良: 「有権者の責任」って言うこともないの。いつも「有権者は正しい」みたいなことなの。政治家も同じなんだけれども、「民意が」っていうふうな形で、有権者に「この選挙の結果はおかしいよ」とか「こんなのふうな選び方で、(政治家)を選んだのは、あなたたち選んだほう(有権者)が悪いんですよ」なんて、とても言えないの。
はっきり言っちゃおうか。政治家が有権者をお客さんだと(考えていることと)同じように、マスメディアにとっても(有権者は)お客さんだって気持ちはどこかにあるのね。だから、政治家の批判はするけれども、でも「本当は(政治家を)選んだのは有権者じゃないか」っていうようなことは、それぞれの記者はみんな考えてはいるんだけれども、それについて「選んだあなたたちが悪いんじゃないか」なんて、なかなかはっきりと言えないわけですよ。
津田: 与良さん、いつも僕思うんですけど、今の新聞とかテレビの中にいて記者をやられているって方って、みんなそういう問題意識を持っているんですよね。持っているのに、組織としての完成系は、なぜ、ああいうふうになってしまうんですか?
与良: 一方で僕も、去年一昨年くらいに、自分の名前で責任を持って書いているコラムなんかでは、同じようなことを書いたことがあるの。あなたたちが考えたようなことと同じようなことを考えて、僕は去年1年間震災の報道をずっとやっていて、あなたたたちと同じように「一体この国会議員は何をやっているんだろう」って思ったのよ。本当に手持ち無沙汰しているような国会議員もたくさんいるしね。
「この人たち何やっているんだろう」と思う一方で、「選んだのは私たち(有権者)だよね」っていうふうなことを感じて、僕も「有権者の責任でもあるかもしれない」と一言書くと、必ず、「お前に言われる筋合いはない」「政治を悪くしているのはマスコミの責任だ」と。それは本当に重々感じる面もある。自分たちが言えないというのもあるし、こういう報道をしている我々にも基本的に大きな責任がある。テレビで日々、政治についてコメントしている僕にもすごい責任があるなと僕自身も思うのね。人から言われる前に。言えば、また「お前たちマスコミなんかに言われる筋合いはない」みたいな話なっちゃて、それがなかなか発展していかないのよ。
みんな、そういうような同じような問題意識を持っていながら、そこで終っちゃって(議論に)発展していかない。だから、そこに見事に切り込んでくれたなっていう感じがしてね。おみそれしました。ありがとうございました。
津田: ははは(笑)。ちょっと辛気くさい話になってしまいました。
マエキタ: みんな気が引けているっていうか、「悪い」っていうのは感じているんだよ。だから、そこに訴えたわけですよ。さらに、「足引っ張り合って、悪口ばっかり言ってどうなの?」っていうナレーションがあったけれど、やっぱりメディアもちゃんと批判しているんですよね。だから、「メディアも、有権者も、政治家も、それぞれ足りていないところがあったよね」みたいなことをやさしく言っていて、大人だなって感じた。
津田: 多分、与良さんも就職活動をして毎日新聞に入ったときは、もう本当に、3人のような純粋な・・・。
与良: いまでも僕は純粋だと思いますよ(笑)。
津田: でも、現実とかを、いろいろ知るわけですよね。
マエキタ: 純粋っていうか、大人だと思う。現実、この3人は、いろんな大人を触発して、「高校生」とか「大人」じゃなくて、その3人の健全な思想が、大人に健全な影響を与えて、すでに良い効果をすでに生んでいると思いました。
■メンバー結成のきっかけとは
津田: この3人のメンバーで行こうっていうふうに決まったきっかけは何だったんですか?
川添: それはですね、最初、私と田中みづき2人が、「誰にしようか?」という話をこそこそやっていて・・・。
津田: もともと2人は仲が良くて?
川添: うーん、仲が良くって。
田中: うん・・・えっ?
津田: ちょっと、いま温度差が(笑)。
マエキタ: それで?(笑)
川添: 仲良かったんで、一緒にやろうって話になった。それで、私と田中みづきは・・・。田中みづきは今日、ちょっと畏縮している気がしますけど・・・。
津田: 畏縮というか、緊張しているんですよね。
田中: はい、すみません。
川添: 2人とも「うわー」って猪突猛進するタイプだったので、1人核となる、ブレーンとなる人物を入れようって思ったとき・・・。
津田: ちょっとキャラが違う、川添さんと田中さんよりも、しっかりしている子を入れなきゃいけないだろうと・・・。
与良: ははは(笑)。
津田: 策士ですね(笑)。
マエキタ: で、(島田さんを)抜擢したんだ。
川添: お願いしました(笑)。
マエキタ: (田中)みづきちゃんは、学園祭の実行委員長もやったんだよね。
田中: はい。
マエキタ: だから、そういう存在。
津田: そうか、じゃあ(田中さんが)リーダー的に動いている、と。その中に、すごく信頼できる、データを分析する島田さんが入ることで・・・。
マエキタ: なるほど。良いバランスになっているんだね(笑)。
与良: これをやる前に、3人のクラスとかで、政治とか選挙の話をする機会ってあったの?
島田: いえ、ほとんどなかったです。
田中: そう?
島田: え?ウソ?
津田: メンバーが先に決まったの?テーマが先に決まったの?
川添・島田・田中: メンバーが先に決まりました。
津田: メンバーが先に決まって、そこから選挙っていう話に?
川添・島田・田中: はい。
マエキタ: すごいねえ。佐賀って、(福島第1)原発(事故)があってから、最初に再稼動って言って、海江田(万里・元経産相)さんが、佐賀の古川(康)知事に、頼みに行くとか。そういうやり取りは、佐賀ではどういうふうに報道されて、それを見ていたの?
川添: 見ていないです。
マエキタ: あの時に、東京では『(九州電力)やらせメール』事件が大問題になっていた。その新聞を持って、私が佐賀に行った時に、「えっ、こんなに報道されているの」って、大人たちはみんな言っていたの。すごく印象的だったのは、「やらせってこんなにいけないことだったんだ」って大人たちが言っていて、びっくりしたんですけど。
津田: もちろん地元ではあるわけで、あの玄海原発が話題になっているときって、学校ではそういう話は出ることはありましたか?
川添・島田・田中: そういう話はまったくなかった・・・。
田中: 大人がしなくて・・・。
津田: むしろ大人が(話を)しない、と。
田中: はい、テレビもあまり報道を・・・。私が見てないだけかもしれないですけれど。
津田: 地元でもそんなに報道されるわけではなかった、と。
田中: はい。
マエキタ: じゃあ、そういう再稼動のこととか、やらせのこととかがあって「これ」っていうわけじゃなくって、なんとなく3.11(東日本大震災)の原発事故から、テレビを見ていて「選挙チャンネル」になったんだ。
■バレンタイン・デーに配られた”お菓子”
津田: なるほど。せっかく、こうやって集まって特別な番組をやっているので、普段は聞けないことを聞きたいと思うんですけど。例えば、川添さんから見て「島田さんはどうだ」とか「田中さんはどうだ」とか、3人のそれぞれ思っている、ほかの2人への印象を一言ずついただいても良いですか?川添さんから見て、島田さんはどういう子かな?
川添: 島田ですか?果穂ちゃんは、いつも私を注意するんです。こういうデザセンの話し合いのときとかでも。私、鼻炎なんですよ。よく鼻水を(ティッシュで)拭いたのを置いていたりしたら、「捨てりーよ」みたいなことを注意してくれるんですよね。
マエキタ: あはは(笑)。
与良: もう一回言って。「すて~」?
川添: 「捨てりーよ」って、えっ、これ方言ですかね。
津田: 方言ですね。
川添: これ、「捨てなさい」って言う意味です。
島田: 机の上とか床とかに、そのままポンって置いてあるから(笑)。
津田: 野生児ですね(笑)。
島田: ちゃんとゴミ箱に入れてほしい。
川添: (島田さんは)私をちゃんと叱って、導いてくれるんですよ。そういう話し合いの時とかでも、しっかりしていて、ちゃんと冷静に見ているんですよ。
田中みづきちゃんは、いつも私と(島田)花穂タンの間に入って、「デザセンの話し合いをやるぞ」ってスタートをやってくれます。
津田: じゃあちょっと、田中さんに聞こうかな。田中さんから見た川添さんは?
田中: 川添さんは、ぶっ飛んでいるんですよ。
津田: ははは。なんとなく分かります(笑)。
田中: 見て分かると思うんですけど、ぶっ飛んでいて、でも、一番アイディアマンで、いろんなアイディアを出してくれるのは心強い。まあ、ぶっ飛んでいるんですけど。それを綺麗にまとめて、「じゃあ、これはこうしたら?」って言ってくれるのが、やっぱり”ブレーン島田”で、2人はいなくちゃいけない存在だなって、ずっと考えています。
津田: ちょっと小耳に挟んだんですけど、「川添さんのクッキーがすごい」っていうエピソードを教えてもらっても良いですか。
川添: バレンタインのですか?
津田: 何ですか、それは?
川添: (有田工業高校)デザイン科はみんな仲良いので、バレンタインは、お菓子を持ってきて配るんですね。
津田: 同性同士で、女の子同士でも。
川添: そうです。友チョコみないな。先生とかにも。それで、チョコレート味のクッキーを作りたくて、作った後にちょっとひらめいたので、”ウンコの形”のクッキーを作りました。
マエキタ: あはは(笑)。
与良: そういう話か(笑)。
■津田さんも唖然 ”放送事故レベル”の形をしたクッキー
(クッキーの写真がスライドされる)
津田: カワイイっていうレベルじゃ・・・。
マエキタ: すごい(コメントの)書き込み。
津田: しかもこれ、右の方の黄色いやつは、どう見ても消化できなかったトウモロコシですよね(笑)。
マエキタ: 何も、そこまで言わなくとも(笑)。
津田: これ、ちょっと放送事故ですよ。
川添: (2枚目のスライド写真を見て)あ、これ2日目に作ったやつ。
津田: ああ、もうちょっと柔らかめになっちゃった感じ(笑)。
マエキタ: こっちの方がリアル(笑)。うわぁ。
津田: これ、ちょっとヤバいでしょう。
マエキタ: なんか、すごく
長い時間出していた・・・。
津田: 手前のほうの緑色のは、明らかにピーマンですしね(笑)。
与良: みんな食べたの?
川添: みんな「おいしい」って言ってくれました。
マエキタ: 「おいしい」って(笑)。すごい学校だね。クリエイティブだね。既成概念の突破だもんね。
与良: こだわったって別に良いけどさあ、もう次の話題に行ったほうがいいかも知れない(笑)。
マエキタ: (コメントから)ほら、「佐賀スゲー」って。
津田: 佐賀がすごいんじゃなくって、川添さんがすごいんじゃないかなっていう気がしますけどね。
マエキタ: (コメントから)「(ニコニコ)超会議で出すべき」って書いてありますよ。
津田: 超会議もどんどんレギュラー化していくんだったら、彼女たちのプレゼンとかも見てみたいですけどね。
マエキタ: (超会議で)クッキーを売るんですよ。
津田: あ、クッキーをね。大人気でしょ。これ多分、すぐ売り切れる気がしますけど。
マエキタ: なるほど。
津田: そうやって進んでいったら、有田焼に続く名物とかになったら面白いですけどね。
与良: それは言い過ぎだね(苦笑)。
■「本当に日本を変えたいな」
津田: プレゼンに話を戻すと。3人でそうやって良いチームワークが出来て・・・。あ、ごめんなさい。島田さんにちょっと2人の印象を聞きたいので。
島田: 2人ともすごく元気で、私が自分から前に出て行くような性格ではないので、すごく引っ張っていってくれるので頼りになる。特に、みづきちゃんは、すごくしっかりしていて、私も、いっぱい頼ります。
田中: 引っ張ってきました(笑)。
津田: どっちも引っ張ってくれるけど、頼りになるのは田中さんの方であるっていう。川添さんの方は、どっちかって言うと引っかき回すみたいな?
島田: でも、緊張している時とか、こころを見たらすごく元気が出ます。
津田: さっきも、そうやってフォローしてくれたしね。
島田: ちょっと落ち込んでいても、こころを見たら本当に元気になります。
津田: お伺いしたいんですけど、落ち込んでいたっていうと、多分、作っていく中で、今のこういう上手いキレイな形での完成に至るまでには、相当、苦労もあったと思うんですけど、どこが一番大変でしたか?
田中: 「選挙」と「テレビ」っていう2つの強敵を相手にプレゼンを作った。政治のことも良く分からないし、テレビのことも良く分からない。でも、企画書を出した時は、そんなふうに思っていなくて、「公職選挙法」とか調べたら難しかったですし、そこが一番大変でした。
マエキタ: すごく偉いよね。ちょっと説明すると、(デザセンの選考が)2段階になっているんですよ。最初に、3枚の画用紙みたいなものでプレゼンをする第1次審査があって、(審査を)通った人たちだけが(本格的な)プレゼンをすることができるんだけど、その間でどう発展するかっていう、伸びしろも含めた審査になる。その間にも勉強したんだね。
津田: 1次審査、2次審査、決勝大会を進んでいく中で、「これ結構いけるんじゃないか」とか、「もっとこれ調べなきゃ」みたいな気持ちの変化とかってありましたか?
田中: 気持ちの変化・・・。
川添: 気持ちの変化ですか?最初はやっぱり、「優勝するぞ、オー」みたいな。去年の先輩たちが優勝していたから、「優勝するぞ」って思っていたんですけど、1次審査を突破して、2次審査も突破して、あと最終(審査)ってなった時に、自分らでも「あ、これちょっとクオリティ高いんじゃないかな」って思ってきたんですよ。
津田: ははは。そうなんですか(笑)。
川添: 「こういう番組欲しいよね」って、自分たちも思ってきて、これは、優勝したら世に広まるので、もしかしたら実現もできるんじゃないかなって思って、「実現したいね」っていう気持ちに変わっていきました。
津田: なるほどね。島田さんとかいかがでした?多分、一番大変な作業だったと思いますけど。
島田: (川添さんの意見と)一緒で、最初の企画書とか2次審査のときは、「これやったら面白いね」ってぐらいの気持ちだったんですけど、作っていくうちに、本当に「実現したい」って思えるようになっていて。私たちは(選挙に)立候補できないけど、「本当に日本を変えたいな」って思うようになりました。
マエキタ: すごーい。変えられるよ。というか変えているし。
津田: 変えていますよね。
田中: 私、(回答が)3番目だ・・・。はい、2人と同じです(笑)。
津田: はい、シンプルなコメントですね。
与良: 田中さんが言った「テレビが強敵だ」とか「公職選挙法が強敵だ」っていうのは、やっているうちに「実現しなくちゃいけない」と思うと、法律を調べたり、テレビの仕組みを見たり。テレビも「放送法」という法律を、あなたたちもきっと調べたんだと思うんだよね。それで、「まったく夢物語じゃいけない」と思い始めたっていうことなんだよね。そうすると、公職選挙法を調べていくと、「こんなのバカバカしい法律だ」と思ったでしょう?
川添・島田・田中: はい(笑)。
与良: たくさん(条文があって)分厚い法律なんだけど、なんてバカバカしい法律だと思ったでしょう。
川添・島田・田中: はい。
与良: それを高校生が調べて、バカバカしいと思ったってことは、大進歩だと僕は思うけどね。(公職選挙法について)僕も本当にいつもバカバカしいと思っているし、政治家もみんなバカバカしいと思っている法律なのよ。
■女子高生を優勝に導いた先生の”指導法”とは
津田: 今日スタジオにもいらっしゃっていますけど、吉永先生の指導っていうのは、3人から見ていかがだったのか?ちょっと答えづらいかもしれないけど、田中さんから聞きましょうか?
田中: はい。吉永先生は、私たちの意見をよく尊重してくれて、無理な話をしても、できる方向にちゃんと導いてくれました。
津田: 例えば、どんな無理な話をしたんですか?
田中: もともと私たちが「選挙チャンネル」っをしたいっていうのにも、「すごく難しいことだよ」って言われていていたんですけど。でも、「どうしてもしたいから」って話をしたら、「実現させるためには、こういう壁を乗り越えなきゃいけない」って。
津田: 「課題」を出してくれたってことですね。
田中: そうです。そういう「課題」を出してくれたことは、すごく良いプレゼンに繋がったんじゃないかなって。
津田: おお、ちょっといいコメントじゃないですか。じゃあ、島田さんいかがですか?
島田: 自分たちで話し合っていて、「もう、どうしようもない」って困ったときに、先生に聞いたら絶対、解決へのヒントを出してくれるんですよ。
津田: (先生は)「こうしろ」っていうふうには言わないの?
島田: 言わないんです。そういうところが、頼りになるなと思います。
津田: 川添さんは?
川添: 2人が吉永先生のすごいところを言ってくれたので。吉永先生は、私たちの「やる気」を出す力を持っています。夜中までずっと学校に残って(準備を)していたので、結構ぐったりしてくるんですよ。そのときに、絶対、コンビニに行って、からあげ棒とか・・・。
マエキタ: あはは(笑)。
津田: スイーツじゃなくて、からあげ棒なんだ(笑)。
川添: からあげ棒大好き(笑)。で、からあげ棒とかジュースとか買って、いいタイミングで「ほら、食べな」って差し入れてくれるんですよ。それがすごいと思います。
津田: 美しい師弟愛ですね。だって先生だって帰宅できないわけでしょ。
マエキタ: 夜中の2時に全員を家に送り届けて、親に「すいません。すいません」って言って、その親の了解を取るのがすごく大変っていう。「怪しいことしていんじゃないか」っていうのを「違うんです」って。そういう熱血先生がいるということもすごいよね。
津田: ちょっと吉永先生にも話を聞きたいんですけど、カメラ向けてもらっていいですか?吉永先生、どうもこんにちは。
吉永先生(以下、吉永): こんにちは。
津田: 今3人からベタ褒めでしたけど、先生はどういうところに気を付けていましたか?
吉永: こんなに褒めてもらうと、ちょっと照れるんですけど。(3人の話を)聞いていただいて分かると思うんですけど、3人3様で、ものすごい個性の強い子たちなので、やっぱりその連中が言っていることを基本的に潰さずに、どうしたら提案まで持ってけるようにできるかっていうのを考えてあげるのが僕たちの仕事かなと思って。今回は特に、本当に個性が強い3人だったんで。
津田: はい、もう十分伝わっています。
吉永: だから、無茶なことは言ったかもしれないですけど、逆に、この子達が無茶なこと言っているけども、やっぱり言っていること自体はドキッとするようなことを言うので、与良さんにも言っていただきましたけど、ある程度裏を取ることで、現実的な提案にできるはずだよって。ちょっと餌付けもしながら。
この子たちは、頑張るポテンシャルっていうのが、ものすごく高いので、「やれ」って言ったらやるだけやりますから。そういうのは、ある程度信じながらやれますし、とにかく後ろからちょっと押してやるとか、何か困ったら「この辺にこういうのがあるけど」みたいな話をしてあげるだけで、この子達は十分進んでいけるので、そういう意味では安心して見てはあげられる。から揚げだけ買ってくれば。
津田: ちなみに吉永先生はご結婚とかは?
吉永: すいません。だから家には本当に申し訳ない。
津田: 大丈夫ですか?奥さんとかは・・・。
吉永: 多分、怒っているんじゃないかなと思います。「また偉そうなこと言いやがって」って。
津田: でも、それも最後にこうやって結果が出て優勝っていうのも付いてきていますからね。
吉永: そうですね。ありがとうございます。
津田: 美しき師弟愛ですね。
マエキタ: じゃあ、先生は「こうしろ」って言わないで、どういうふうに「こういうのもあるんじゃないの?」と教えてくれるの?
川添: そんなに直接に言ってこない。「こんなのどう?」とかも言ってこなくて。
マエキタ: じゃあ、ほとんど自分たちでやって、(先生は)から揚げだけ買ってきてくれている感じ?
川添: いえ、作っているの見て、「へぇ。でもここってこうだね」みたいな感じで言って、私たちが「え、今のどういう意味?」みたいな感じで話して、「もしかして、こうしたらいいんじゃないかな」とか「こういう穴があったんじゃいかな?」って話になります。
マエキタ: ほとんど感想を言うぐらいの感じなんだ。
川添: はい。
津田: コメントだと、「今こういう教師が存在していること自体が奇跡だ」とかベタ褒めですよ。
吉永: ありがとうございます。
与良: もちろん先生も、それこそ選挙の仕組みであるとか、テレビの仕組みであるとか、同時進行で勉強されたんでしょ?
吉永: 全然詳しくないですから、資料を選んで3人に与えて、一緒に回し読むっていう感じでしたよね。
津田: (コメントを見て)「からあげ先生」って。
与良: 定着しそうやな(笑)。
・「もし女子高生が総理になったら!?」 津田大介×女子高生3人 全文書き起こし(3)
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(書き起こし:湯浅拓、内田智隆、武田敦子、登尾建哉、境田明子、編集:山下真史)
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