「もし女子高生が総理になったら!?」 津田大介×女子高生3人 全文書き起こし(1)

左から有田工業高校デザイン科3年(番組出演当時)・川添こころさん、島田花穂さん、田中みづきさん、毎日新聞論説副委員長の与良正男さん、「サステナ」代表のマエキタミヤコさん、メディア・アクティビストの津田大介さん

 「政治家を選んだのは国民」「候補者が自分の考えをきちんと国民に伝えられていない」「国民も候補者をきちんと理解せずに投票してしまっている」――。このような問題意識を持った女子高生がいる。佐賀県立有田工業高校デザイン科の川添こころさん、島田花穂さん、田中みづきさんの3人だ。

 昨年10月、彼女たち3人は、高校生の視点で社会や暮らしの中から問題・課題を発見し、その解決方法を分かりやすく提案するコンテスト「全国高校デザイン選手権(デザセン)2011」に出場。候補者と有権者がお互いを知る機会を増やそうという提案「あなたのおうちに。開局!選挙チャンネル」をプレゼンテーションし、優勝した。

 若者の”政治離れ”が指摘されて久しいなか、女子高生は、いま何を伝えようとしているのだろうか。そして、彼女たちが語る未来の選挙・政治とは。3月までは女子高生だった3人によるプレゼンも披露された2012年3月25日のニコニコ生放送の討論番組『もし女子高生が総理になったら!?』の全文(part1)を書き起こして紹介する。

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■女子高生に優勝をもたらした”企画”とは

津田大介さん(以下、津田): みなさん、こんにちは。ジャーナリストの津田大介です。突然ですが、みなさん、「デザセン」ってご存じでしょうか。名前は聞いていたことあったんですけど、具体的にどういうことやっているか、僕は知らなかったです。これは「全国高等学校デザイン選手権」という大会で、高校生の視点で社会の中から課題を見つけて、その解決方法を分かりやすく提案・構築していこうというコンテストです。

 本日のニコニコ生放送は、ニコ論壇の特別編として、昨年のデザセンの大会で、見事に優勝を果たした佐賀県立有田工業高校の女子高生3人を招きまして、「『ニコニコ白熱教室』 もし女子高生が総理になったら」と題して、原宿のニコニコ本社から選挙や政治の未来について語っていきたいと思います。

 それではゲストの方々を紹介します。環境広告「サステナ」の代表で、デザセンの審査員も務められていますマエキタミヤコさんです。よろしくお願いします。

マエキタミヤコさん(以下、マエキタ): よろしくお願いします。

津田: 今ちょっと説明しましたが、デザセンとは、どういう大会なのでしょうか?

マエキタ: 全国の高校生が、デザインの力を競い合う、デザインというのもグラフィックデザインやプロダクトデザインだけではなくて社会をデザインする、社会の問題解決のデザインも含めた広い意味でのデザインのコンテストです。

津田: ちなみにマエキタさん、ニコニコ生放送やニコ動にご出演されたのは初めてですか?

マエキタ: 初めてです。

津田: 初めてですか。こうやってコメントが出ているんですけど、いかがですか?

マエキタ: はい、え・・・。(ユーザーのコメントを見て)「パッチだらけ」「きれいじゃん」。うれしいですね。
津田: あと「佐賀ってどこ」って(コメントに)ありましたけど、佐賀は九州ですよ。九州の福岡県と長崎県と間にある。

マエキタ: 九州なのに米どころなんですよね。

津田: でも、「通り過ぎられる県だ」なんてのもよく言われますけどね。

マエキタ: いやいや素敵なところですよ。

津田: はい。(コメントを読みながら)「佐賀 VS 滋賀」。名前が似ているだけですね。

マエキタ: いいですね(笑)。

津田: いろいろコメントがありますけど、こんな感じでやるんで、気をとられていると、考えていることが飛んでしまったりするので、ちょっと時間あるときに見てもらえれば。

マエキタ: そうそう。(芸人の)はなわさんの『佐賀県』で有名になったことも。

■若者の”政治離れ”は本当か?

津田: 続きまして、毎日新聞の論説副委員長で、政治についてさまざまな番組でコメンテーターを務めていらっしゃる与良正男さんです。よろしくお願いします。

与良正男さん(以下、与良): こんにちは。どきどきしちゃっています。

津田: 与良さん、ニコ生は初めてですか?

与良: 初めてですね。今日、最年長であることは間違いないんだけど、原宿という街そのものが何年ぶりだろうって思いました。

津田: 僕も、日曜の午後2時に竹下通りを歩くの何十年ぶりだろうって。

与良: こんなに歩くのが大変だとは。

津田: 竹下通りから普通に歩いてくれば、(ニコニコ本社までは)5分もかからないのに、15分ぐらいかかりましたからね。

与良: 話には聞いていましたけど、すごかった。ここに来るまでも大変でしたが、初めての出演で楽しみです。僕は政治の取材をし始めて20数年、新聞記者になって30年以上なります。それこそ新聞記者は、すぐ堅い話するからいけないんだけど、若い人と僕らおじさんをどう繋ぐかっていうのが政治の最大のテーマそのもの。

 「税と社会保障の一体改革」も、実は、若い世代と我々おじさん・おばさん・おじいちゃん・おばあちゃん世代とものすごい格差があるわけね。若い人たちは今、恵まれていないと本当に思う。その格差をどう縮めるかみたいなところが最大の政治テーマの中で、自分の娘よりも若い女の子たちと政治の話ができるのを楽しみにしているし、緊張も・・・。

津田: 与良さん、若者と話される機会も多いと思います。「若者の○○離れ」っていろんなこと言われますけど、政治離れって感じられますか?

与良: 我々マスコミも、すぐ一言で片付けちゃうんだけど、(若者と)実際に話をしてみると全然そんなことはなくてね。やっぱり、(若者も政治に)とても興味があるし、自分の意見を言いたいと思っていると思うのね。

 ところが、そういう場がなかなかない。学校や教育の世界でもない。そういうチャンスさえ作ってあげれば、ネットやメールやツイッターだけでなくて、面と向かって話すと、すごくいろんなことを思っている(のが分かる)。それが、なかなか外に出ていかない感じがあって、僕らおじさんたちの仕事は、そういう機会を作ってあげていくことだなって思います。

マエキタ: おじさんもおばさんもね(笑)。

津田: 今コメント見ていたら、「若者の声を代弁してくれる政治家がいない」って声がありました。与良さんから見て、そういうことが、できそうな人はいますか?

与良: 固有名詞あげちゃっていいんだよね?

津田: 大丈夫ですよ。

与良: 例えば、津田さんとも一緒にやったことあるけど、僕が一緒に若者をどう巻き込むかみたいな仕事をしているのは、前の文部科学副大臣の鈴木寛さん。

 彼なんかは大学でも教えていたことがあったりして、やっぱり若い人をどう巻き込むかをすごく理解している政治家の一人。決して、永田町っていう世界が、じいさん・ばあさんばかりの世界ではない。だけど、それが大きな広がりになっていないのも事実だよね。
津田: 画面を見ていると、後ろのピンクの背景と与良さん、話の内容のギャップがすごいですね。

マエキタ: ピンクバックの与良さんも似合いますよ(笑)。

■佐賀からやって来た女子高生「東京の人混みにびっくりした」

津田: コメントでも「早くしろ」って言われたので、続いて、本日の主役を紹介したいと思います。全国高等学校デザイン選手権、デザセンで優勝した佐賀県立有田工業高校デザイン科3年の川添こころさん、島田花穂さん、田中みづきさんです。

 今日は佐賀県からわざわざお越しいただきました。よろしくお願いします。それでは自己紹介を、それぞれPerfume(パフューム)風にお願いします。

川添こころさん(以下、川添): パフューム?決め言葉みたいな?川添こころです。コメントが目に入るので、みなさんお手柔らかにお願いします。

島田花穂さん(以下、島田): 島田花穂です。今すごく緊張しているので、うまくいくか分からないですけど、よろしくお願いします。

田中みずきさん(以下、田中): 田中みづきです。めちゃくちゃ緊張しています。よろしくお願いします。

津田: 緊張されているってことなんですけど。リアルタイムで画面にコメントが表示されるニコニコ動画・生放送っていうサービスがあるんですが、3人は見ていますか?

島田: 見ます?

川添: 見ません。

津田: 佐賀にはインターネットは通っているの?

川添: 通っていますよ(笑)。

マエキタ: ユーザー率は低いそうです。

津田: 3人はチームでデザセンに出られて、優勝されたんですけど、この3人の中でリーダーは誰ですか?力関係とか?

田中: 一応、選挙の難しいことなど取りまとめて調べてくれたのは島田花穂ちゃんなんで、”ブレーン島田”って呼んでいます。

津田: 島田さんがリーダーではないけれども、ブレーンなんですね。YMOで言うと誰なんですかね?

島田: YMO?

津田: イエロー・マジック・オーケストラって知りませんか?

マエキタ: 通じる言葉でお願いします(笑)。

与良: 僕ぐらいの世界の話だから、細野さんの話とかは。

津田: すいません。緊張してらっしゃいますよね。ちなみに原宿の竹下通りにいらっしゃったのは初めてですか?

島田: 私と(川添)こころは初めてです。

田中: 私は何度か来たことがあります。

津田: 田中さんは、島田さんとか川添さんと比べて「東京っていうのはこういうもんだ」を知っている、と。

田中: うーん、はい。

マエキタ: 4月から東京の・・・。

田中: はい、東京の学校に。

津田: そうなんですね。島田さんと川添さんは?

島田: 私は福岡です。

川添: 私は金沢です。

津田: 3人は4月からの新生活は、バラバラになっちゃうんですね。

与良: 卒業式は終わったんだよね?

川添・島田・田中: はい。

津田: 女子高生でいられて、制服着られるのもほとんどこれが最後な感じなんですね。

川添・島田・田中: はい。

津田: 昨日から東京に来たという話なんですけど、昨日は何をやられていましたか?

川添: 六本木に行きました。

津田: どうしてそんなに自慢げに?

マエキタ: どうして六本木に行ったの?

島田: 六本木アートナイトを観に行きました。

津田: 僕も六本木アートナイトいましたよ。3人で行ったんですか?

田中: 担当の先生と4人で。

津田: 川添さん、東京のイメージはどうですか?

川添: 賑やかですね。道とかキラキラしていました。

津田: 島田さんはいかがですか?

島田: 私、人混みがすごく苦手でびっくりしました。

津田: でも福岡も人混みがけっこうありますよね?

島田: 新しく住むところも住宅街なんで、そこまで人は多くないんです。

■「40人中、男子は3人」女子高生たちが通ったクラス

津田: 東京で工業高校というと、ほとんど男しかいない、90%ぐらい男という世界だったんで、有田工業高校って聞いたときに、工業高校で女子高生ってのが意外な感じがあったんです。この有田工業高校にはデザイン科ってのがあるんですよね。男女比はどれくらいですか?

島田: ほとんど女子です。

津田: そうなんですね。どういったことを勉強するんでしょうか?

田中: 最初は平面構成とかデザインの基本的なことを学んで、2年生になってからプロダクト系の立体の作品を作るなど、幅広い分野でデザインを学びます。

津田: 美術大学とかデザイン系だと、情報のデザインみたいな学科もあるんです。今回の「選挙チャンネル」も、情報のデザインのやり方の一つだと思うんですけど、高校の中で情報デザインも教わるんですか?

田中: はい。

津田: みなさん、高校のクラスは一緒ですか?

田中: はい、一緒です。1クラスしかないんで。

津田: ちなみに何人ぐらい?

田中: 40人クラスで、37人が女の子で3人が男の子です。

津田: ハーレムですね。すいません。しょうもない質問ばっかりなんですけど、2月14日のバレンタイン・デーには、その3人の男子に、すごい勢いでチョコが集まることはありますか?

田中: それはないですね。

津田: ないんだ。なんで?

川添: 逆に、みんな仲が良いんですよ。

島田: 男女あんまり関係ないですね。

津田: いろいろ聞きたいことはあるんですが、番組を進めていきたいと思います。番組ではユーザーのみなさんからのご質問を受け付けています。「もし総理になったらどんな政策を実現したいですか?」と、けっこう真面目なテーマですけど、女子高生3人に対する質問とかでもいいと思うので、どんどんメールを送ってください。番組ページのメールフォームから送ることができますので、よろしくお願いします。

 それでは、さっそくデザセンで優勝したというものを見てみたいので、有田工業高校の3人に選挙をデザインするプレゼンを披露していただこうと思います。それでは準備をお願いします。

川添・島田・田中: よろしくお願いします。

与良: コンテストと同じようなかたちでやってもらえるのね。楽しみだね。

津田: プレゼン準備中にお聞きしたいんですけど、マエキタさんは審査員でもあったということで、最初に有田工業高校のプレゼンを見たときの印象をお聞かせいただけますか?

マエキタ: 私がデザセンに関わって3~4年になるんですけど、社会をデザインするというテーマのコンテストなので、政治に取り組んでくれる高校生が出てくるといいなと、ずっと待ち望んでいました。政治のことも、毎年多少はあるんです。いい線いっているところも多かったんだけど、初めて的を射たというか、初めてみんなが納得した企画だった。

津田: 例年だと、どういう企画が1位になることが多いんですか?

マエキタ: 1位になるのは、武器に関する平和構築のものだったり、人生の深みだったり。去年の優勝も有田工業なんですけど。

津田: じゃあ、2年連続で優勝したと。

マエキタ: 2年連続で同じところが優勝したというのは初めてじゃないですかね・・・。(スタジオ側を見ながら)そんなことはなかったようです(笑)。

津田: 先輩からスピリッツが受け継がれたわけですね。

マエキタ: 先輩から手ほどきは受けていないけども、いろいろアドバイスをしてもらったり・・・。

津田: それではプレゼンの準備が整ったようです。小さい腕組みをしていましたけど。では佐賀県立有田工業高校デザイン科の3人によるプレゼン「あなたのおうちに。開局!選挙チャンネル」です。よろしくお願いします。

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■「選挙チャンネルで、信じて託せる日本へ」 女子高生のプレゼン

田中: みなさん、こんにちは。いよいよ明日、「選挙チャンネル」が開局します。みなさんは今の政治に満足していますか?

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(国会映像が映し出される)

島田: 周りがうるさくて何を言っているか分からないね。

川添: なんか喧嘩みたい。

田中: そんな政治家を選んだのは大人ですよね?みなさん、分からなかったんですか?こんな候補者だって。

川添: いやいや、あんな選挙運動だと分からないよね。「よろしくお願いします。よろしくお願いします」って手を振ってばっかりで。

島田: 政見放送も堅いし、暗いし、つまんないよね。

田中: そこで開局するのが「選挙チャンネル」です。国政選挙から地方選挙まで、選挙に関するあらゆる情報を提供する選挙専用チャンネルです。

島田: 日本ではテレビやネットを使った選挙運動が特に規制されています。

川添: これじゃあテレビを使って選挙なんてもってのほか。

島田: そこで総務省の協力を得て、「選挙チャンネルの番組は正式な選挙運動と認める」と改正することができました。

田中: それではニコ生をご覧のみなさんに、ほんのちょっとだけ、このチャンネルの様子をお見せしましょう。

(番組形式スタート)

川添: さぁ始まりました。「お悩み相談なう」。今回もたくさんのお悩みが届いています。そちらに座っている候補者のみなさん、今回はどんな素敵な解決方法を出してくれるのでしょうか?

島田: それではさっそく1つ目のお悩み。佐賀市にお住いの35歳主婦・りほちゃんママさんからです。お電話が繋がっています。

川添: こんにちは。

りほちゃんママの声: こんにちは。

川添: お悩みどうぞ。

りほちゃんママの声: 下の子がもうすぐ1歳なんですよ。育児休暇、もうすぐ終わりなんですよね。職場復帰をしたいと思っているんですよ。でも近くに遅くまで子どもを預かってくれる託児所がないんですよ。どうすればいいですかね?

川添: うーん、それは大変ですね。ここで、この会場に来てくださっている候補者のみなさんに、いきなり無茶振りをしてみたいと思います。「与良候補、津田候補どうですか?」・・・と事前に質問をされていないのに当てられたら結構どきっとしますよね?

田中: このように事前に一切知らされていない国民からの質問に候補者が答えることで、候補者の考え方はもちろん、問題に対しての対応スピードや応用力を知ることができます。

川添: 「突撃!となりの立候補者」。

島田: 当番組のスタッフが候補者の自宅を突撃訪問。候補者のオフの顔を探っちゃいます。今回は(佐賀県選出の参院議員の)福岡たかまろさんに突撃です。
(映像が流れる)

レポーター: 今日はよろしくお願いします。よく料理はなさるんですか?

福岡たかまろ氏: そうですね。けっこう作りますね。スンドゥブチゲです。

(福岡氏が料理をするシーンや夫人と散歩する様子の映像が流れる)

田中: このように普段の生活をお見せすることによって、候補者の人柄をより知ることができ、信頼できるかどうかをしっかり見極めることができます。候補者と有権者の敷居が低くなり、候補者を身近に感じることができるのです。次は「プレゼンステーション」です。

 ここでは候補者に同じテーマに沿って、自分の考えをプレゼンしてもらいます。今日のテーマは教育についてです。では、武雄市議会議員選挙に立候補した永田まこと候補のプレゼンです。

(映像が流れる)

永田まこと氏: よろしくお願いします。わが武雄市の教育については一大改革が必要だと思っております。まず週7日制の導入であります。こちらをご覧ください。

川添: 週7日制って休みないよね?いやだなぁ。

島田: でも選択性って言っていたから、自由に休みをとれるんじゃない?楽しそうだよ。

川添: そこんところパネルに書いてもらわないと分かりにくいよね?

島田: うーん、確かに。

川添: あ、評価(をしないと)。(リモコンを取り出して)内容は5かな。

田中: 地デジの双方向通信を使った視聴者からの意見や評価を取り入れるコーナーもあります。視聴者がつけた評価は候補者本人にのみ公開されます。これによって候補者と国民が連携して、スキルアップすることができます。

島田: そしてもう一つ。視聴者がつけた成績表は視聴者自身がグラフとして振り返ることもできます。どの候補者にどんな評価をしたのか一目瞭然です。投票前の参考になりますよ。

(番組形式終了)

川添: ほかにも一年間を通してこんなにたくさんの番組をご用意しております。お楽しみに。

田中: 「信頼できる政治家がいない」。国民は言います。

島田: 政治家は国民の代表です。まず国民がその政治家を信頼しなければ何も始まらないのです。今の日本は政治家の粗を探しては攻め立てるばかり。

川添: 批判することは簡単です。ですが、それで本当に日本は良くなっていくのでしょうか。

田中: 本当に国を良くするためには、批判をするのではなく、育てることが必要なのです。

島田: 政治に政治家に選挙に興味を持つ。積極的になる。

(民主党の原口一博衆院議員の映像が流れる)

原口一博衆院議員: たくさんの人に伝えたい。たくさんの方からお声を聞きたい。

川添: 私たちには政治家の本当の思いを受け取る準備が必要です。

田中: 「選挙チャンネル」は私たちと政治家の架け橋になってくれます。

川添: 信じて託す。

女子高生3人: 信じて託せる政治家を。

田中: そして、

3人: 信じて託せる日本へ。

田中: お別れの時間です。開局までもうしばらくお待ちください。それではお茶の間のみなさん、会場にお越しのみなさん、さようなら。

川添: ごきげんよう。

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■「選挙チャンネルはニコ生と相性がいい」

与良: すばらしい。

マエキタ: すごいでしょ。

津田: これは優勝でしょ。優勝ですよ。ほかの見なくても優勝ですよ。

マエキタ: ハートを掴む感じがあるでしょ。

津田: 3人が(卒業後)バラバラになっちゃうけど、月1ぐらいで東京にきてもらって、ニコ生でこれ番組やってもらえばいいじゃないですか。それぐらいニワンゴが出してくれますよ。

マエキタ: 見た瞬間にニコ動とかやってくれんじゃないみたいに思いました。

津田: さっきのプレゼンで双方向性を活かして評価するって、要するにニコ生ですからね。コメントでやられていますからね。ああいう似たようなアンケートのシステムがあって、ニコ生にも用意されているから、すごく相性がいいんじゃないかって思いました。

 すごくよくできているんですけれども、ちょっと気になったところが、「突撃!」とか「プレゼンステーション」とか、アイディアが既存のテレビ番組のパクリなのかなと思いつつも、オリジナルかなと思いつつ。

 一点、「ここはどうするのかな?」って思ったのが、政治家の日常を見てもらうことによって、その人の姿を知ってもらって、それによって投票の行動の一つの材料にするところ。僕もそういうところ重要だと思いますし、ツイッターやフェイスブックなど、テレビでは知れない、政治だけでない、政治家のいろんな面を見られることは大事なんですが、カメラが回っていると、人って自分を良く見せたがるので、それが宣伝とかプロパガンダに繋がってしまうんじゃないかって。そういうものに対してはどう思われているのかな?
川添: ちょっと待ってください。

津田: 今の質問ちょっとまずかったですかね。

川添: ちょっとタブーでしたね。

マエキタ: そんなことないでしょ。

津田: すごくいい人に見せているけども、実は裏で悪いことやっているみたいな。奥さんと仲良くしてそうだけども、裏ではすごいDV(ドメスティック・バイオレンス)をしているとか。映像では分からないじゃないですか。そういうものに対して何か対処とか考えているのかなって。

川添: 対処は考えていないんですけど、私たちが「選挙チャンネル」を実現して、見る人たちには「この人たち、奥さんと仲良しなんだなぁ」って見るんじゃなくて、テレビに映っていることがすべてとは思ってほしくない。見る人も「テレビだからなぁ」の気持ちを持ちつつ見てほしい。

与良: ちょっと助け舟を出すと、突撃ってところが味噌なんでしょ。事前に何にも言わないで、突撃していく、と。今のビデオの作りが作りものっぽかったからだけど、何にもアポなしで、突然(政治家のところに)行くわけだよね。

津田: 公人であれば、それをきちんと受けないといけない、と。

与良: お悩み相談も、事前に打ち合わせなしで突然振るわけなんだよね。それも一つの手だと思うよ。

マエキタ: 仕込みとか、やらせとかなくてね。

与良: 僕なんか、『みのもんたの朝ズバッ!』っていう、まったく打ち合わせもない、無茶振りばっかりされている番組やっているんで、よく分かる。突然聞かれると、自分が本当に知っているかどうかが試されちゃう。「この人は実は知らないのに、ごまかしている」とか「話題を変えちゃっている」とか。

津田: 僕もさっきのプレゼンで振られて、ドキッとしちゃいました。プレゼンでも、CGが使われていたり、テレビの映像を入れられていたり、すごいなって思ったんですけど、デザイン科のみなさんで作られたんですか?

島田: いえ、3人で作りました。

津田: すごいですね。

与良: それはすごいと思ったよ。そういうことができるようになっちゃったんだね。

マエキタ: 企画力があって、デザインに落とし込む具体的な作業もできる、と。

津田: 「津田よりすげー」って書いていますけど、本当にそうですよ。まったくできないですもん。せいぜいニコ生でこんなふうにいるしかないですからね。
与良: 映像がしっかりしてないと陳腐になっちゃうもんね。

津田: また最後に、政治家に対しての忌憚のない評価がいろいろ表れるって最後に、原口さんが3秒後ぐらい出て、原口さんへの(ニコ生の)コメントが結構ひどかったですからね。そういうのも示唆的で面白かったですね。

与良: (佐賀県が)地元だもんね。原口さん。

■与良「痛いところを突かれた」

津田: 与良さんはプレゼン全体ご覧になって、いかがでしたか?

与良: 痛いところを突かれたなっていう感じ。さっきも言ったように、僕は30年も報道する側にいるでしょ。同じように、テレビにも関わっているけども、伝える・報じる側に30年いるんだよ。僕は新聞記者だけど、果たして選挙で情報を新聞は伝えているのかって、常々思い続けている。

 とりわけ小選挙区比例代表制になって、悪いことじゃないんだけど、政党本位だとか政策本位だとかマニフェストだとか、「そういう選挙にしましょう」と僕は強調してきたんだ。その候補者の人となりだとか、候補者に能力があるのかどうかだとか、本当に政治家として役に立つのかという個々の政治家・候補者の能力については、きちんと報じて来なかったような気がする。

 選挙の時に、「この人ダメだよ」ってなかなか言えないじゃない。そうやって僕が判断しなくてもいいけど、そういうところを果たして言ってきたのか。せいぜい「この件についてどう思いますか?」というアンケートを取って、公平に並べてみたりだとかっていうことをやって候補者の特徴を出すんだけど。果たして「この候補者が政治家としてどうだ」ということをきちんと報じてきたかと。

 政党については、「マニフェスト・政策はどうか?」ってやるんだけど。基本はやっぱり、「この人は本当に政治家?」「いいの?」って思うからこそ、みんなやり始めたんだ。新聞もテレビもやって来なかった気がするのね。そういう意味で、正直言って、痛いところを突かれたなって感じがしました。

津田: 今コメントを見ていて面白かったのが、与良さんがかなり大事な話しているから「メモった方がいいぞ」ってあって、それを見ていたわけじゃないんだろうけど、川添さんがメモを始めて、「こころ偉い」「こころ偉い」って(コメントが続いた)。

マエキタさんは以前にも(女子高生のプレゼンを)ご覧になっていたんですけども、改めて生でご覧になっていかがでした?

マエキタ: (デザセン審査委員長の)小山薫堂さんがコメントで、「僕はテレビの企画屋ですから、こういう企画を『やってみよう』という話は出る。でも実現できないんです。でも、あなたたちだったらできるかもしれない。ぜひこれを実現させてください」って言っていて、今日こうやってニコ動でプレゼンできて、私もうれしい。
津田: い8000人が見ていますからね。デザセンにいるときよりも多くの人に見られていますからね。

マエキタ: 世界的に、メディア・リテラシーの教育って、高校でやるんですよね。ニューヨークに、DCTV(ダウンタウン・コミュニティテレビ)っていうのがあって、日本人の津野敬子さんっていう人がやっているんだけど、彼女は夫婦で何年もずっと、高校生にドキュメンタリー制作を教えるっていうのをやってきている。テレビ制作としても、たくさん賞をとってきている会社なんだけども、多分、みなさんが受けて来られたような教育を、無償でニューヨーク市から委託を受けてするっていうことで。

 アメリカのメディア・リテラシーが日本より良いかどうか分からないけれど、それがある種1つの成果で、「日本でもメディア・リテラシーをちゃんと教える学校ってあるのかな」って思っていたんだけど。

・「もし女子高生が総理になったら!?」 津田大介×女子高生3人 全文書き起こし(2)
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(書き起こし:湯浅拓、内田智隆、武田敦子、登尾建哉、境田明子、編集:山下真史)

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