リーダーの極意は「ネガティブ発言」

 管理職にとって、それぞれ性格も能力も違う部下たちをいかにまとめて、チームとして同じ方向に導いていくかが腕の見せどころであり、最も頭を悩ますところでしょう。
 特にこの春初めて部下を持ったり、リーダーの立場になる人は、ノウハウの蓄積もなく不安なはず。
 『「ぐちゃぐちゃチーム」の「ばらばらメンバー」をひとつにする方法』(明日香出版社/刊)は、組織・人材コンサルタントの西邑浩信さんが、多様な性質を持ったメンバーをまとめるための方法や考え方を解説している一冊。
 今回はその中から、部下をまとめるために押さえておきたいポイントを紹介します。
■自分のネガティブな面を語る
 チームとして仕事をするうえで大前提となるのはメンバー同士の相互理解だといえます。 
企業の研修などでよくあるのがメンバー内での理解や共感を深めるために「自分の好きなこと」「楽しかった経験」などを語り合うグループワーク。
 しかし、西邑さんはこれとはまったく逆の「嫌いなこと」「嫌だったこと」など、自分のネガティブな面や経験をメンバーと共に話し合うことを提案しています。
 他人の「うまくいった」経験は、祝福したくなると同時に、どこかで面白くない気持ちになったり妬んだりしてしまうもの。
 チームのメンバー同士の理解を深めたり自己開示をするなら、ネガティブなことを言い合った方がより効果的なのかもしれません。
 これと同様に、チーム内で「できないこと」「やりたくないこと」を互いに出しあってみることも効果的です。無理にやりたいことや夢を語るよりも、「やりたくないこと」を語ってもらうほうが、本人の志向性が浮き彫りになると西邑さんはいいます。
■「見る」「問う」「動かす」がマネジメントの秘訣
 マネジャーの自分の立場から見ると、部下の仕事ぶりはいかにも拙く、つい手を貸したり、口を出したりしたくなるものです。しかし、そこを我慢して自分は見守ることに徹するというのもマネジメントのテクニック。そうすることで、あなたは問題から解放されますし、部下もあなたから解放されて自由に動けるようになります。
 また、部下からの質問には「問い」で返すのが効果的。たとえば今どのような状況になっているのかを訊ねたり、解決策としてどんなことが考えられるかなど、部下本人が持っている情報を質問によって引き出してあげることで、部下自身が結論を導き出すはずです。
 さらに、マネジメントは「動かす」ことも重要です。
 リーダーやマネジャーが優秀だと、メンバーは彼らに頼り、自分で考えることをしなくなりがち。そういったことを避けるためにも、チーム内に変化をたくさん起こしてあげましょう。時にはチームのルールや方針を変えても構いません。部下たちをとりまく環境を変えることでこれまでの習慣に依存できなくなり、自分の頭で考えて仕事をするようになります。
 
■時には「何もしない」
 マネジメントする立場になると、ついメンバーに対して積極的にはたらきかけたくなりますが、「何もしない」こともマネジメントの一つの方法です。
 これは、飛び抜けた才能やカリスマ性がなくても可能。「メンバーに対して何をするか」だけでなく「リーダーとしてどうあるか」ということを意識して、自分の信念と最終的な責任をとる覚悟を示すことができれば、メンバー達はあなたを信頼し、自主的に仕事を進めるはずです。
 プレーヤーからマネジャーになると見える景色が全く変わり、最初は戸惑うことも多いでしょう。しかしメンバーが一丸となって一つの目標に向かい、達成した時にはプレーヤーとは違った、大きな充実感があるはずです。
 本書にはマネジメントの基礎的な知識から、少し上級のスキルまでが網羅されていますので、初めて部下を持つ人も、すでにマネジメントの経験がある人もぜひ参考にしてみてください。
(新刊JP編集部)


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