砂漠の真ん中で写真を共有?!無線LAN搭載メモリカード『FlashAir』が便利すぎる
無線LAN機能を搭載した新世代SDHCメモリカード
『FlashAir』は、東芝セミコンダクター&ストレージ社による無線LAN機能搭載のSDHCメモリーカードだ。本製品は2012年3月10日(土)に新発売されたばかりである。
今回、3月23日(金)からスタートした『FlashAirways』キャンペーンに伴い、東京原宿の「Eco farm cafe632」にてプレスプレビューが行われた。会場には“カメラ女子”でもある女優の浅見れいなさんが登場した。
今回のプレスプレビューで披露された製品の特長、ならびにキャンペーンやプレスプレビューの様子をお伝えしたい。
砂漠の真ん中、海の上など、インターネットが無いところでも写真を共有できる
イベントでは、東芝セミコンダクター&ストレージ社メモリ事業部フラッシュメモリ事業戦略部の中井弘人氏が技術的な説明を行った。中井氏によれば「その場で、撮った写真とともに感動を共有したい」「フォトコミュニケーション」という造語を使って『FlashAir』目的のひとつを掲げた。
『FlashAir』は、従来のメモリーカードに「webサーバー機能」「アクセスポイント機能」を持たせた製品。デジタルカメラに『FlashAir』を挿入すれば、そのデジタルカメラ(厳密にはメモリカード)が一時的に「アクセスポイント」となり、写真にアクセスできる「サーバー」のような振る舞いをする。
しかしインターネット回線は必要ない。パスワードさえ共有すれば海の上であろうと砂漠の真ん中であろうと、手持ちのスマートフォンやタブレットから撮ったばかりの写真にアクセスできてしまうのだ。距離は10m程度までがフォローされる。
写真は“見せてこそ”伝わるもの。しかし撮ったまま「あとで送るよ!」と時間をおいてしまい、メモリカードの肥やしになってしまうこともしばしば。そうしたことを防ぎ、新鮮な感動を共有することができてしまう製品であると言えよう。
犬の散歩に出会いが生まれる?!見知らぬ人に写真をすぐに渡せる『FlashAir』
この『FlashAir』は同社の「若手による居酒屋での雑談から生まれた製品」だと中井氏は語る。確かに、居酒屋で隣り合わせた人に撮ったばかりの写真を送れるのであれば、実に楽しい。
結婚式やパーティーなんかではそこまで親しくは無い人にメールアドレス交換やFacebook経由で写真を送るのは若干、敷居が高い。けれども『FlashAir』を使うことで、同じテーブルの人同士で写真の交換が出来てしまう。必要なのは「アクセスポイントのパスワードを知らせる事」だけ。
「犬の散歩に出会いは無い」というのは芸人・ふかわりょうのギャグだが、この『FlashAir』を使うことによって、まさかの“出会い”すら生まれるかもしれないのだ。おそるべし。
省電力機構 200mA以内
デジカメで重要な要素の一つに「充電池の持ち時間」が挙げられる。東芝ではこの点も考慮し『FlashAir』の消費電力を200mA以内に抑えたという。デジタルカメラの「良さ」を損なわないための配慮と言えよう。
また、『FlashAir』では電源の供給が行われれば通常動作に支障はないため「CFカードアダプタを介しての使用なども通常問題ないだろう」とのことだ。
対応可能フォーマット
jpegのみならず、『FlashAir』では多くのファイルフォーマットに対応している。
対応フォーマットは、JEPG、PDF、TEXT、MP3、MOV、Appなどが挙げられた。写真の共有に限らず、普段使いでも効果を発揮しそうだ。
今後のソフトウェアでのバージョンアップが期待
他人に見せたくない写真など、既にメモリーカードに入っている写真へのアクセス制限などについては、これからのソフトウェアで対応を考えている。中井氏によれば「サードパーティーとの協力を経て、様々なソフトウェアが5月以降にリリースされる予定」とのことだ。
また、同社の大画面テレビ『レグザ』で写真鑑賞が出来る機能など、これからの対応に期待できそうだ。
ソフトウェアについては「パートナーへのAPIの公開も行っている」ので、汎用的な拡張がなされることを期待したい。
やっぱり気になる『Eye-Fi』との違い
無線LAN機能搭載のメモリーカード型製品と言えば、先発・既存の製品である『Eye-Fi』との性能比較が気になるところ。
『Eye-Fi』の場合、撮った写真をメモリーカードにバッファし、インターネットを経由しサーバーへアップロードして使用するというスタイルが前提となっている。なお『Eye-Fi』一部シリーズでは現在、「ダイレクトモード」という直接アップロード機能も準備されている。これにより『FlashAir』との差は少ないとする考え方もできるが、『Eye-Fi』のダイレクトモードは「周囲の無線APなどが無い状態で準備される」という仕様だ。
しかし『FlashAir』の場合は、インターネットや電話回線などに全く依存しないことを前提に作られているので、ことダイレクトな転送においては、特化している分のアドバンテージがきわめて高いと言えそうだ。
『Flash Airways』キャンペーン「表参道エリアでの体感型カフェ&ダウンロード体験エリア」にも行ってみた
『FlashAir』の利便性を体感してもらう事を目標にした、体感型キャンペーンが3月23日(金)よりスタートしている。今回のキャンペーンは「Flash Airways」という架空の航空会社が軸となっている。
「Eco farm cafe632」を中心とした表参道エリアの6店舗のカフェやネットワークで、FlashAirのタッチ&トライコーナーや「Flash Airways」の体験演出が用意されている。
また東京メトロの「表参道駅」「明治神宮前」「渋谷」駅の『FlashAir』ポスターの前では、トラベルカルチャー雑誌「TRANSIT」に掲載された世界の写真をダウンロードが可能となっているとのこと。今回は半蔵門線・渋谷駅の入り口にあるダウンロード体験エリアに実際に行ってみた。
半蔵門線・渋谷駅の改札外の通路を歩いていくと、ほどなくして大きな「Flash Airways」のポスターを発見。ポスターの真ん中には『FlashAir』が。接続方法は実際のFlashAirと同じ手順が記されている。
ダウンロード方法
1.スマートフォンのワイヤレス設定画面で「Wi-Fi設定」をオン2.表示されたネットワークの中から「FlashAir」を選択
3.ネットワークに接続したらブラウザを起動して更新ボタンをタッチ
4.表示されたページから保存したい写真を選んでタッチ
iPhoneとAndroidで検証してみたが、確かにこれだけの手順で、今回は「TRANSIT」による世界の写真が表示された。今回はデモ版とのことだが製品版の場合もWi-Fiのパスワード入力と初期にブラウザでのURL入力(2回目からはブックマークでOK)が必要なだけなので、手順も簡単。
キャンペーンウェブサイトである “flashairways.com” ではこれらのキャンペーン詳細、そして『FlashAir』の魅力について解説されている。
http://www.flashairways.com
(※2013/10追記・上記URLは記事執筆当時2012/03のもの、現在は関連外サイトの模様)
flashairのサイトはこちら
FlashAir(TM) | 東芝 Pocket Media
http://www.toshiba.co.jp/p-media/flashair/
詳細、各国での対応など
無線規格としてはヨーロッパ、アメリカなど、認可は通っているので海外での使用も問題ない(5、6月ごろに欧米でも発売予定)。
容量:8GB
種別:SDHC
スピードクラス:Speed Class 6
重量:約2g
動作温度・湿度:-25℃~85℃、相対湿度95%(温度25%、結露しないこと)
対応規格:IEEE802.11b/g/n(2.4GHz SISO、20MHz)
無線セキュリティ:WEP、TKIP、AES(WPA、WPA2)
実売価格は7000円前後で既に発売中
『FlashAir』は大型電気店やAmazonで発売されている。実売価格は7000円前後の模様だ。メモリカードとして、これまでには無かった利便性を備えた価格としては非常に興味深い。機会があればガジェット通信で、体感レビューなども行ってみたい。
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