「人が死ぬ瞬間を見たい」と願う美少女……その結末は? 映画『少女』佐藤玲インタビュー

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美しい少女2人は「人が死ぬ瞬間を見たい」と願った――。湊かなえ原作の同名小説を『しあわせのパン』『繕い裁つ人』の三島有紀子監督が映画化した『少女』。昨年公開され、観た者に衝撃を与えた美しすぎるこのミステリーは、現在DVDが発売中です。

今回は、主演の本田翼さん、山本美月さんと共に鮮烈な印象を残しているのが、注目の若手女優の佐藤玲(りょう)さん。本作について、少女が抱えている問題など、色々とお話を聞きました。

【『少女』ストーリー】
桜川女学院高校に通う高校2年の由紀と敦子は幼い頃からの親友同士だった。敦子は幼い頃から剣道を習い将来有望と期待されていたが、高校の団体戦でミスをしたことを機にいじめの対象になってしまう。いじめは日に日にエスカレートし、クラスの女子が敦子を集団でいじめても助けることができずにいた由紀は、彼女のために小説を書き始める。
けれど、ようやく完成した小説の原稿が何者かに盗まれてしまう。ほどなくして国語教師の小倉が文芸誌の賞をとったことを知らされ、由紀のなかに大きな怒りが生まれる。
そんなある日、紫織という転校生がやってくる。彼女から「親友の死体を見たことがある」という唐突な告白を聞いた由紀と敦子は、死体ではなく人が死ぬ瞬間を見てみたいと、夏休みを利用してそれぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行くことに。死に囚われた彼女たちは死の瞬間を見ることで何を変えたかったのか。少女たちが抱える闇は思いもよらない結末に向かっていく……。

少女

―映画に登場する彼女たちに共感はしましたか?

わたしも女子高出身なので、女の子同士の雰囲気は、映画の中からも感じ取れました。ただ、そのひとりひとりが抱えている問題というのは、生きることと死ぬこととはどういうことなのかなど、好奇心と恐怖心をずっと持っていると思います。ちょっと特殊で踏み外しかけている女の子たちなので、誰にでもある感情というわけではないのかなとも思いますね。

―死というテーマについて、深く考えたりはしましたか?

自分の高校生の頃を思い返すとか、いろいろとしてみたんですけど、自分とは違うと思っていたので、彼女たちの行動に関してリンクする要素はなかったですね。ただ、内面的な不安などは共感できるところもあったので、自分の高校時代も思い出しつつ、まだ何物にも染まっていないからこその自分の不安みたいなものは、ちょっと懐かしく感じました。

―高校時代、どういうことに不安を感じていたのですか?

当時すでに今の仕事をしていたのですが、自分がずっとやっていけるのかとか社会に対する不安もありました。紫織という役と自分が一番近いところは、自分の性格がよくわからないところです。皆そうかもしれないけれど、本当の自分がわからなくて、多面的にいろいろな人と接してしまうんです。それは今でもそうなんです。

―ある種の防衛本能みたいなものかもしれないですね。

自分の実みたいなものが全然なくて、人と合わせることで収まったりするのかなと。紫織という役に関しては、大人や同級生に接する態度を無意識に変えていく狡猾なところがあると思うんですけど、それがあのような行動に発展していったのかなって思います。

―“自分の実みたいなものがない”から他人との関係性で存在していくということは、俳優という仕事にとってプラスだと思いますが、いかがですか?

演じる役にしか見えないなどと言っていただけることもありますが、自分らしさもないよねって言われることもあります(笑)。でも、監督の演じてほしいリクエストを自分が完全に理解して納得すれば、よく見えているのかな? って、思います。

―演じることを通じて、自分自身を探求することにもなっているかもしれませんね。

そうですね、わたし自身は自分がないということがわかっているので楽しいし、発見みたいなものもたくさんあります。

『少女』は、女子高の話とか性別や年代にとらわれずに、世代が上のかたは自分が若い頃に感じた悩みや辛い経験を思い出して、それをどう乗り越えて今を生きているか感じられる作品だと思います。ハッピーでもバッドエンドでもないので、自分のために観てほしいです。

(ワンピース \42,000/Mhairi、ピアス \21,700/somnium)

『少女』Blu-ray・DVD 発売中
監督:三島有紀子 原作:湊かなえ「少女」(双葉文庫)
出演:本田翼 山本美月 真剣佑 佐藤玲 児嶋一哉 / 稲垣吾郎
発売元・販売元:ポニーキャニオン
(C)2016「少女」製作委員会

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

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