なぜ日本政府は米国政府と結託して嘘をついたのか 映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』

核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝

被爆者治療と核廃絶運動に献身した肥田医師が内部被曝の実態を訴えるドキュメンタリー映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』の公開が4月7日に決定、俳優の染谷将太さんがナレーションに挑戦します。

肥田舜太郎(ひだしゅんたろう)医師は自身が広島市への原子爆弾投下の被爆被害者であり、核兵器廃絶を訴える第一人者。2012年に95歳となった今も、福島原発事故以降、放射能に不安を抱く人々の要望に応え、日本全国で講演を行っています。

映画の中で肥田医師は「直接被爆していない人々も、ただ体がだるいといった原因不明の症状を発症していくことの疑問」を戦後30年経った1970年代にやっと理解できるようになったと話しています。

その理解の元となるのは、アメリカの原発製造会社ウェスティングハウス社に勤めていたスターングラス博士が低線量被曝についての実態を研究した著書『低レベル放射能』。

スターングラス博士は、原発からは平常の運転時でさえ放射能が漏れていて、その地域の癌の発症率が高いというデータを挙げており、原爆投下後の調査でも低線量被曝の影響をアメリカは意図的に隠してきたと憤っています。

核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝

映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』は2006年にフランス人のマーク・プティジャン監督が制作。日米両政府が被爆者の実態を隠してきたことを明らかにし、原発の危険を訴えるドキュメンタリー。

原爆投下から67年経ち、福島原発事故が起こった後でも、日本政府の対応がなんら変わっていない事に疑問を抱く人、憤りを感じている人は必見。全国各地で開催されている肥田医師の講演のエッセンスを記録した『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』も同時上映されます。

核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝

日本版ナレーションを務めるのは、現在映画『ヒミズ』『生きてるものはいないのか』などに出演し、今最も注目されている若手演技派俳優の染谷将太さん。その繊細な声で私たちに投げかけます。

なぜ日本政府は米国政府と結託して嘘をついたのか

なぜ日本政府は、アメリカ政府と結託して、原爆による死亡者の数を隠そうとしたのでしょうか? 日本にとって、原爆は忘れ去りたい過去であり、敗戦の屈辱を思い出したくなかったからかもしれません。そしてなにより、被爆者の認定は、国の賠償責任にもつながる問題だったからでしょう。1945年に原爆が落とされてから、数千回もの核実験が世界で繰り返されてきました。そして、何千発もの核弾頭が、いつ爆発するか分からずに眠っています。何百という原子力発電所が稼動し、放射能を含んだゴミが、毎日、生まれています。

(『核の傷』ナレーションより)

映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』 は4月7日(土)より渋谷アップリンクほか全国順次公開。

http://www.uplink.co.jp/kakunokizu/

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

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