日本酒の魅力と初心者のための日本酒入門
44年間消費量が減り続けた日本酒
古来より日本の伝統文化を引き継ぐ「国酒」である日本酒。
弥生時代からその歴史は始まり神事と密接な関係を築き、今では庶民の生活に寄り添う日本酒。
しかし、1973年をピークに現在に至るまで消費量は下げ続け、44年間でピーク時の1/3にまで減少し続けています。
ビールやワイン、焼酎、リキュールといった台頭でアルコール全体に占める日本酒の割合はなんと7%。
しかし近年は若手の杜氏や蔵人への世代交代が進み復興の兆しが見えてきています。
特に海外での消費、女性の支持率が大きく変化してきています。
日本酒は二日酔いになり易いという誤解
日本酒は「二日酔い」になり易い・・・
日本酒は「太る」といった誤解もまだまだ多いのが実情です。
二日酔いになり易い原因のひとつに「飲みすぎ」があります。
もともと日本人はアルコールの分解酵素の活性力が低い人種です。
さらにアルコールによる脱水頭痛もその原因です。
心がけとして必ず「和らぎ水」といわれる水を飲むことです。
それにより頭痛体験は限りなく減ることでしょう。
純米酒などで精米歩合の高い良質なお酒には糠の部分に多く含まれる二日酔いの成分は少なく、適量であれば不快な朝を迎えることも少ないはずです。
日本酒の中でも安酒に多く含まれる不揮発性の物質の「糖類」添加酒は二日酔いになりやすいのです。
日本酒は太りやすいという誤解
「太りやすい」も大きな誤解のひとつです。
すべてのアルコールは飲むと体温が上がりますがその後、体を冷やす方向に働きます。
その時に使われるエネルギーはアルコール自体に含まれるカロリーを優先に使います。
から揚げ4個食べたら日本酒3合分に匹敵します。
太る原因は食べ過ぎです。
実は、アルコール中毒患者にほとんど「デブ」は見当たりません。
このことからもアルコールを摂取するだけで太るわけではない、ということがお分かりいただけると思います。
日本酒女子が増え続けているワケ
最近では「日本酒女子」が増加しておりその背景には日本酒の持つ様々な魅惑的な効果があります。
*コウジ酸=シミやほくろの原因となるメラニン色素を押さえる美肌効果
*フェルラ酸=老化の原因となる活性酸素を除去する働き
*ウロキナーゼ効果=心筋梗塞や脳梗塞などの原因となる血栓を溶かす作用
*血行促進効果=アデノシンが多く血管の収縮を抑制する働き
酒粕成分に含まれる100種類以上にものぼるアミノ酸などの有効成分が注目されており、特に女性にとっては最高のお酒といえるでしょう。
近年の「甘酒」や「麹」「酒粕」を使った乳液や化粧品のブームもこのような作用によるところからです。
日本酒が初めての方に
しかし、日本酒を飲んだことがない人にとっては「日本酒の入り口」すら解らないものです。
とにかく先ずは日本酒好きの誰かとご一緒させて貰い日本酒を口にしてみることです。
日本酒専門の酒屋さんや日本酒をしっかりと取り扱いしている飲食店に行きアドバイスを遠慮なく頂いて下さい。
日本酒 は基本的に4タイプに分かれます。
*華やかでフルーティーな「薫酒(くんしゅ)」=吟醸酒・大吟醸酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒etc
*軽快でシンプルな「爽酒(そうしゅ)」=普通酒・本醸造・生酒etc
*芳醇でどっしりとした「醇酒(しゅんしゅ)」=生もと・山廃系・純米酒etc
*複雑性に富んだ熟成した「熟酒(じゅくしゅ)」=古酒
これらのタイプは日本酒を取り扱う専門性の高いお店では基礎知識として知っているはずです。
日本酒入門としては「薫酒」から入ることをお勧めします。
「吟醸系」と言われる華やかでフルーティーなお酒です。
特に若い方々は甘さを感じることができるお酒を好んで飲むと言う傾向にあります。
年齢が若いと舌の表面にある味覚を感 じる「みらい」が多く渋みや酸味、苦味を強く感じます。
それ故「吟醸」の果実や甘みを感じさせるお酒を突破口にすると良いでしょう。
それから多種多様なタイプを飲んでみてください。
日本酒の奥深さが見えてくるはずです。
日本酒はいろいろな料理との相性が良い
さらに日本酒の最大の魅力に「料理との相性」がとても広いことです。
和食には当然ながら日本酒はベストマリアージュです。
料理との相性の基本は「同調」です。
つまり同じ味わいの調子のものと合わせることです。
柑橘系のソースや素材の味付けならフルーティーな吟醸系薫酒。
味噌やしっかりとした味付けのものなら純米系醇酒でしょう。
ナッツや燻製なら古酒系熟酒がぴったりです。
色のマリアージュも判りやすく簡単です。
色の濃いお料理には味わいが濃く重たい日本酒が合います。
ささみや鶏肉料理、白身魚などの淡い色合いのお料理には軽快でシンプルなタイプの爽酒系などが合ってきます。
世界のお酒のスタンダードはワインと言われていますが、この様に日本酒も結して負けてはいないのです。
様々な国籍を超えたお料理とのマッチングの素晴らしさが海外のレストランや料理人に支持されている理由でもあるのです。
美容と美食とのバランスが非常に注目されている日本酒。
是非皆さんも日本人として「世界が恋する日本酒」に恋してみてください。
(鎌田 孝/利酒師)
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