田原総一朗「東大を出て官僚になっても、正解のない問題は解けない」

田原総一朗氏

 東京都の猪瀬直樹副知事とジャーナリストの田原総一朗氏は2012年2月8日夜、出版社主催の教育シンポジウムに出席。猪瀬氏は「(社会に)疑問を持つという教育がされていない」と日本の教育の問題点について指摘。田原氏も「疑問を持たない人間ほど、官僚や政治家になっている」との見識を示した上で、「日本(の教育で)は正解のある問題の解き方しか習っていないから、東大を出て官僚になっても、正解のない問題は解けない」と語った。

■日本は「東京電力型」社会

 シンポジウムで猪瀬氏は、日本の教育が孕む問題について

「”秀才”というのはダメなんですよ。秀才は隣の秀才を見ているから、より秀才である秀才を追いかけるだけで、独自の発想が出てこない」

と分析。”秀才”によって作られている日本社会は、問題解決意識の薄い「東京電力」型の社会であり、戦後日本の生き方であったと述べた。さらに猪瀬氏は、議論の中で日米の安全保障にも触れ、

「(日本人が)皆が東電みたいな大きな会社に入って、そして一生安泰で(あると思っているが)、実は(日本の)防衛はアメリカがやっている。何も疑問を持たないで、ずーっといけると思っていたのが戦後(日本)社会であって、ディズニーランド型の社会だった」

と従来からの持論を展開しつつ、東日本大震災を経た日本社会に対して、公共の概念を改めて問い直すことなど、教育が担う本来の目的について再考を促した。

■「正解のある問題」しか教えない日本

猪瀬直樹氏

 田原氏は、2010年にNHKで放送され反響を呼んだ『ハーバード白熱教室』のサンデル教授の授業風景や、東京都初の民間人校長として「よのなか科」を立ち上げた藤原和博氏の教育スタンスを例示し、日本の教育の”欠陥”は「正解のある問題を解くことしか教えない」ことにあると指摘する。

「世の中に出れば、問題に”正解はない”。正解のない問題をどう解くかと(考えたとき)、日本(の教育で)は正解のある問題の解き方しか習っていないから、東大を出て官僚になっても、正解のない問題は解けない」

 このように田原氏は、現在の日本の教育システムに対して強い懸念を示した。その上で、自分で主体的に物事を考えることや、思考にイマジネーションを働かせることの重要性を訴えた。さらには、日本人のディスカッションに対する意識や関心の低さにも触れ、自らの意見を積極的に発言することの大切さや、その能力を養うための教育機会が必要であると述べていた。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]「日本は正解ない問題の解き方を教えない」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv80134572?po=news&ref=rews#1:14:01

(内田智隆)

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