まだまだ恋しい“あったか~い鍋”。自宅でつくれる世界の鍋料理3選
だんだんと春めく今日このごろですが、まだまだ恋しい“あったか~い鍋”。とはいえ、定番の鍋料理には、そろそろ飽きるころではないでしょうか。そんなときは、簡単かつ“異国情緒を味わえる鍋”なんていかが? 書籍『世界の鍋 いつもと違うごちそうレシピ厳選29』の著者・服部直美さんに、日本の土鍋やホーロー鍋でつくれる、服部さんおすすめの鍋レシピを聞いてみました。
エスニックな香りが食欲をそそる、タイの「チムチュム」
タイでよく知られる鍋のうち、東北地域の郷土料理として親しまれている「チムチュム」は、服部さんも家でよくつくるお気に入りなんだとか。
「野菜と肉をたっぷり使うチムチュムは、『バイマックルー(こぶみかんの葉)』や、『バイホラパー(タイバジル)』などでエスニックな香りと一緒に楽しむ鍋です。こうしたタイならではの食材は、アジアンスーパーやネットでも購入できます。本場では素焼きの鍋を炭火で熱しますが、土鍋で代用してもOKです」(服部さん、以下同)
<材料/4人前>
【具材】
空芯菜…1束
白菜…1/4カット
チンゲン菜…1束
牛肉…200g
鶏肉…200g
春雨…50g
【スープ】
鶏がらスープ またはコンソメスープ…1200ccの水に溶かす
カー(タイのしょうが。日本のしょうがでも代用可能)…スライス2枚から3枚
レモングラス …5㎝
塩…少々
バイマックルー(こぶみかんの葉)…2枚から3枚
バイホラパー(タイバジル)…2枚から3枚
【タレ】
乾燥させたタマリンド(タイのフルーツ)もしくはレモン …適量
プリックポン(タイの唐辛子)…小さじ1
バイマックルー …2枚から3枚
ナンプラー …中さじ1
砂糖…少々 【画像1】スープに使うバイマックルーやレモングラスといったタイハーブ(左下)は、タイ料理に欠かせない。また、牛肉と鶏肉の両方を入れるのだが、卵を混ぜてから鍋で煮込むのがタイ流鍋のポイント(右下)。「卵でお肉が柔らかくなる」そうで、その真偽のほどは……ぜひ実食でお試しあれ!(写真撮影/森カズシゲ) 【画像2】鍋にスープの具材を入れて火にかけ、沸騰したらバイホラパーを投入。具材を入れて火が通れば完成(写真撮影/森カズシゲ)【画像3】チムチュムのタレは、みじん切りにしたバイマックルーとナンプラーの香りが、さらにエスニック感を演出(写真撮影/森カズシゲ)
<味の感想>
具材だけみると、日本の鍋でもよく使われるものばかりですが、バイマックルーやレモングラスを入れることにより、一気にアジアンな香りになります。肉だけではなく魚にも応用が利きそう。
タレが決め手のイタリア版おでん「ボリート・ミスト」
ごろごろした野菜や肉をシンプルに煮込んでいただく、イタリアの「ボリート・ミスト」は、まさに日本でいうところの「おでん」。
「スイスにも隣接したイタリア北部、ピエモンテ州の郷土料理ですが、冬に食べられるのが特徴です。大ぶりな具材をじっくり煮込み、イタリアンパセリとアンチョビなどでつくるタレ『サルサ・ヴェルデ』につけていただきます。シンプルにマスタードで食べてもおいしいですよ」
<材料/4人前>
【具材】
豚ばらブロック…500g(4等分にカット)
玉ねぎ…大2個
じゃがいも…大2個
にんじん…1本
にんにく…1個
ローリエ…1枚
【タレ※サルサ・ヴェルデ】
イタリアンパセリ…10g
パン粉…少々
ニンニク…1かけ
アンチョビ ヒレ…2枚
ゆでた卵の黄身…1個
塩…少々
オリーブオイル…少々
白ワインビネガー…少々 【画像4】材料はいたってシンプル。大きくカットするのが「ボリート・ミスト」らしさなのだそう。キャベツやセロリ、ソーセージなど好きな具材を入れるのもおすすめだとか(写真撮影/森カズシゲ) 【画像5】ローリエを入れて肉に火が通るまでグツグツ煮込む(写真撮影/森カズシゲ) 【画像6】「ボリート・ミスト」に欠かせないタレ「サルサ・ヴェルデ」。材料をすべてミキサーに入れてまぜるだけ。ゆでた卵の黄身を入れることでまろやかに(写真撮影/森カズシゲ)【画像7】煮込んだ大ぶりの具材をバジルたっぷりのタレにつけていただく(写真撮影/森カズシゲ)
<味の感想>
日本のおでんと違って、素材自体に出汁が染み込んでいるわけではありませんが、「サルサ・ヴェルデ」を絡めていただくことで、野菜やお肉のうま味が引き立ちます。具材も鶏肉や牛肉でもおいしくいただけそうです。
お酒とハーブでロシアンな味に変身、魚の鍋「ウハー」
アウトドアで釣り立ての魚を切って煮込んでいただくこともある「ウハー」は、ロシアでは日常的に食べられている鍋料理。材料だけみると、日本の三平汁にも似ているそうですが、味付けにロシアらしさがあるとか。
「鍋の最後に入れる香草『ディル』は、日本のスーパーでもよく見かけますが、これを入れることによって、風味が一気に変わります。また、家庭によってはロシアのお酒『ウォッカ』を入れるようです。ライ麦でできた黒パンを添えて食べれば、ロシアの食卓に早変わりします」
<材料/4人前>
【具材】
鶏がら…1200ccの水に溶かす
鮭…4切れ
玉ねぎ…大2個
ニンニク…1かけ
塩…少々
黒こしょう…少々
ディル…適量
ローリエ…1枚
ウォッカ…適量 【画像8】具材のメインは、玉ねぎと魚のみ。ホーロー鍋でじっくり煮込めばうま味たっぷりのスープができる(写真撮影/森カズシゲ) 【画像9】ロシアならではの味付けに欠かせない、爽やかな香りのハーブ「ディル」は魚料理にぴったり。細かくみじん切りにして入れる。ウォッカを入れることで、身体もより温まりそう(写真撮影/森カズシゲ)【画像10】具材をすべて入れたらあとは煮込むだけ。つくり方も準備も今回紹介した鍋のなかで、一番カンタン(写真撮影/森カズシゲ)
<味の感想>
鮭を使っているので、日本の三平汁のようなイメージですが、刻んだディルを入れたことにより、爽やかですっきりと独特な風味のスープに。ウォッカを入れたせいか、魚の臭みもあまり感じません。寒い日には身体がとっても温まります。
世界の3つの鍋、いかがでしたか? 普段の料理であまり使うことがない調味料やハーブもありますが、どれも日本のスーパーで買える材料ばかり。いつも定番の鍋ばかり……と飽き気味の方はきっと新しい味に出会えるはず。ぜひお試しあれ!●取材協力
服部直美さん
広島県出身。保育士、ツアーコンダクターを経て香港へ。日本語学校で働きながら香港中文大学で広東語を学んだ後、現地の旅行会社に就職。4年間の香港生活を経て帰国。現在はライターとして活動中。
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