『モアナと伝説の海』監督が感銘をうけたタヒチの長老の言葉「今度はあなたたちが私たちの文化に飲み込まれてみませんか?」

モアナと伝説の海

2014年空前の社会現象を巻き起こした『アナと雪の女王』、2016年『ズートピア』の大ヒットに次ぐ、ディズニー・アニメーション最新作『モアナと伝説の海』が、いよいよ3月10日(金)より公開。筆者は一足お先に拝見させていただきましたが、ストーリー、音楽、CG全てが素晴らしく、しかも感動だけでは無く笑えるシーンも多いという、この春イチオシの作品でございます。

本作を手掛けたのは、『アラジン』『リトル・マーメイド』のジョン・マスカー監督&ロン・クレメンツ監督の最強コンビ! アラジンとマーメイドと言えば……そう! 主題歌・挿入歌が名曲すぎることで知られていますが、『モアナと伝説の海』の楽曲ももちろん超・最高! 物語はもちろん楽曲も楽しんでいただきたい1本です。

今回ガジェット通信では、ジョン・マスカー監督とロン・クレメンツ監督にインタビューを敢行。作品について色々とお話を伺ってきました。

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―『モアナと伝説の海』大変楽しく拝見させていただきました! 本作は南太平洋の海と島々が舞台となっていますが、実在する南太平洋の文化へのリスペクトをとても感じました。調査にはかなり時間がかかったそうですね。

ロン・クレメンツ:もう5年以上前になりますが、最初に太平洋の島々に訪れた際、特にタヒチの長老の言葉が印象に残っています。「長年私たちはあなたたち(アメリカ)の文化に飲み込まれてきたので、今度はあなたたちが私たちの文化に飲み込まれてみませんか?」という言葉が私たちの心に刻まれ、作品作りで一番肝に銘じた事でした。

彼らは過去に他の作品で、自分たちの文化が忠実に描かれていなかったり、敬意を感じなかった事もあって、最初は私たちがその土地を訪れる事を快く思っていなかったのです。

―そんな彼らが皆さんに心を開いたきっかけというのはどんな事だったのでしょうか?

ロン・クレメンツ:それは私たちの人柄のおかげかな!(笑)

―(笑)!

ロン・クレメンツ:たくさんの村人の皆さんにお会いして、フィジーのコロバという村に行った際、彼らがカヌーに乗って海に出るというお話を聞きました。そして、「君たち(監督・スタッフ)が村人から合格であったら、一緒にカヌーに乗って海に連れて行く」という“審査”をしてもらったのですが、夕食の場で絆を深め、僕ら彼らの文化を本気で学びたいと思っている気持ちを分かっていただき、無事に一緒に海に出る事が出来ました。タヒチでも同じ様な事があり、私たちの意志と意図をしっかりと伝えて一緒に時間を過ごしている中で、長老がタパという布を「この布はまだ完成では無いのですが、これから一緒に思い出を紡いでいきましょう」と、贈ってくださいました。

ジョン・マスカー:私たちから質問をするという事もありましたけど、多くの場合、彼らの言う事をよく聞いて理解していくという事がほとんどでした。長い時間はかかりましたけど、最後には「私たちの持っているものは少ないですが、全てあなたたちに教えたいです」と言ってくださって、本当に貴重な経験をさせていただきました。

―監督お2人はアニメーションの世界において伝説と言っても過言では無いほど、大ベテランです。ですが、映画の中でのモアナの揺れ動くティーンの気持ちはすごくリアルで。年や経験を重ねても、若者の気持ちを繊細に表現出来るのはどうしてなのでしょうか?

ロン・クレメンツ:まずは脚本のジャレッド・ブッシュがティーンの揺れ動く気持ちを見事に書いてくれたというのがあります。そして、モアナの声を担当してくれたアウリー・クラバーリョはアフレコをした時は15歳だったわけです。恐れ知らずな所、エネルギッシュな部分もあるけど、脆い部分もあるという彼女の内面もモアナを作り上げてくれました。アニメーター達も実際に彼女に会って話して、モアナを活き活きと描いてくれたのでとても素晴らしかったです。

ジョン・マスカー:あと、これはナイショなんだけど、僕たち体は63歳だけど中には16歳の少女が息づいているんだ! これはジョークだけど(笑)、僕は様々なキャラクターを作っているけれど、そのキャラクター達がリアルだと自分たちがまず納得しないといけない。僕ら2人がリアルだと思わないキャラクターを観客の皆さんは絶対に好きになってはくれないと思うからね。

―モアナ、本当に素晴らしいキャラクターで映画を観た方はみんな大好きになると思います。そして! 本作のもう一つの主役であるのが「海」であると思うのですが、私はこれまでディズニーの人間以外のキャラクターでは『アラジン』の魔法のじゅうたんが一番好きだったのですが、「海」が一番になってしまいそうです。

ロン・クレメンツ&ジョン・マスカー:この海はまさに『アラジン』の魔法のじゅうたんをイメージしているんだよ!

ロン・クレメンツ:海も魔法のじゅうたんもパントマイムの手法を用いているキャラクターなのだけど、アニメーションとしてとても楽しいキャラクターだよね。違いを言うならば、じゅうたんに比べて海はもっともっと大きい存在であるということ。そしてCGで描くので技術的に難しい部分もたくさんあった。海を生きている様に作るキャラクターデザインのアニメーターたちと、水の光り方や反射など物理的な部分を作り上げるアニメーター達の協力によって素晴らしい仕上がりになっているので、ぜひ注目していただきたいです。

―今日は大変楽しいお話をありがとうございました!

『モアナと伝説の海』大ヒット上映中!
http://www.disney.co.jp/movie/moana.html

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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