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Parcels『Hide Out』Interview

PARCELS01©PhilippeJarrigeon

〈Kitsuné〉が送り出すブライテスト・ホープ。それがこのオーストラリアはバイロンベイ出身の5人組、パーセルズだ。シックやビージーズ直系のディスコ/ファンク、さらにはAORやソフト・ロックの要素……スティーリー・ダンやフリートウッド・マックの面影も覗かせるダンサブルでソングオリエンテッドなサウンド。〈Kitsuné〉が見初めたのも頷ける洗練されたポップ・センスに加えて、音の端々に漂うサイケデリックなテイストは、地元オーストラリアのインディ・アクトともシェアするかれらのチャーミング・ポイントかもしれない。現在はベルリンを拠点に活動するかれらは先頃、最新作のEP『Hideout』をリリース。前後して〈Kitsuné〉の音楽イベント「Kitsuné Afterwork」に出演のため来日したバンドを代表して、ルイ(キーボード)とアナトール(ドラム)に話を訊いた。

―パーセルズを始めたのはいつですか。

ルイ「13歳くらいのときから一緒にバンドをやってたんだけど、パーセルズ自体は3年くらい前から。ちょうど高校卒業と同時にね」

―パーセルズを結成する前は、メタルやフォーク系のバンドを組んでいたそうですね。

ルイ「そうそう、内輪であれこれ色んなプロジェクトをやっていて。よそからメンバーが入ったり、5人のうち何人かが参加するとか、そういう緩い感じでやってたんだ。フォークをやったり、サイケデリック・ロックをやったり」

アナトール「とりあえず興味のあることには片っ端から手をつけて、しかも、日々興味の対象が移り変わっていくって感じだったからね」

―そこから今のパーセルズを始めるにあたって、どんなふうに音楽性は変わっていったんですか。

ルイ「今まで自分達がやってきた色んな音楽の要素を受け継ぎつつ……ただまあ、それも自然に今のプロジェクトに繋がっている感じだよね。パーセルズ自体は、もともとエレクトロニック・ミュージックがやりたくて始めたプロジェクトで、そのうちダンスっぽいノリをライヴでも表現したいってことになり、それで80年代のディスコとかを取り入れるようになったんだ」

―その上で参考にしたアーティストとなると、どのあたりが挙げられますか?

ルイ「80年代、90年代のディスコ全般と……あとはダフト・パンクみたいな、もっとエレクトロニック寄りなものも聴いていたね」

アナトール「初期の頃のプロダクションに関して言えば、最近のヒップホップ系のプロデューサーにも影響を受けてたよ。それと同時に、ナイル・ロジャースとか、シックやビージーズなんかの一昔前のものも聴いてたし。あとはジャングルなんかからも影響を受けてるしね」

―〈Kitsuné〉と出会うことになったのは、どんなきっかけだったんですか。

ルイ「ベルリンに引っ越してからの縁だよね。〈Kitsuné〉のコンピレーションに参加しないかっていうオファーがあって」

アナトール「ネットか何かで音源を聴いてくれて、連絡をくれたんじゃなかったかな。そこからやりとりをするようになって、シングル(『Herefore』、2016年)を1枚出すことになり、今みたいな密な関係性が始まったっていう感じだね」

―それ以前から〈Kitsuné〉のことはチェックしていたんですか。

アナトール「実は、声をかけられるまで〈Kitsuné〉の存在について知らなかったんだ(笑)。そこから、ファッションなんかとも繋がりがあることを知り、そっち方面にも色々と目を向けるようになって」

ルイ「〈Kitsuné〉はスタッフのチームワークが最高だよね。こうして東京まで呼んでもらって、しかも着いたらスタッフ全員で歓迎してくれて、ものすごい感激したしさ。本当に家族みたいな雰囲気で、1つのチームみたいなこじんまりとしたところが気に入ってるよ」

―ただ、オーストラリア出身で、しかも今のパーセルズの音楽性からすると、普通に行けば地元の〈Modular〉からデビューしそうなものですよね。それが〈Kitsuné〉から、っていうのが面白いなって。

アナトール「そう、最高でしょ(笑)。ベルリンを拠点にしたオーストラリア出身のバンドがフランスのレーベルからデビューするという、世界がマッシュアップされたようなことになってる(笑)」

―そもそもベルリンに移ったのは、どういうきっかけだったんですか。

ルイ「天からの導きでヨーロッパに呼ばれたんだよ(笑)。ベルリンを選んだ理由は、アート・シーンが盛り上がってるって聞いていたからで。しかも物価が安くて暮らしやすいという経済的な理由もあり、両方の意味で完璧だと思って。ベルリンってヨーロッパを繋ぐ中継地点みたいな、自分を表現したい人間がヨーロッパ中から集まってくるような場所なんだよね」

―ベルリンと言えばテクノやダンス/エレクトロニック・ミュージックが盛んですが、そうした音楽シーンに引かれたところもあったんじゃないですか。

ルイ「それはあるよね」

アナトール「最初、ベルリンに住んだときにはテクノにまったく興味なかったんだ。だけど、向こうで暮らしていくうちに徐々に生活の中に浸透していくようになって、そこから好きになって聴くようになったって感じかな」

―ただ、例えばミニマル・テクノに代表されるベルリンの音楽シーンのイメージと、パーセルズのグルーヴィーでウォーミーなサウンドの感じって、対照的なところもありますよね。

ルイ「そうだね。たしかにベルリンで音楽を作っているけど、今まで自分達がやってきたことが全部積み重なった上で、今の自分達の音楽に至っているという。だから、その意味で言うと、自分達の音楽にはオーストラリアの空気感も反映されているんだろうしね。ベルリンに住んで、確実にベルリンからも影響を受けているけど、音としてまだはっきり現れてはいないというか」

アナトール「今はベルリンに住んでるから、逆に暖かい音楽にフォーカスがいってるのかもね。自分達のまわりをちょっと暖かくしようみたいな(笑)。でも、ベルリンだって暖かくなることもあるんだよ(笑)」

―今のベルリンで自分達と音楽性をシェアできるバンドはいますか。

ルイ「友達のバンドでハッシュ・モスとか、80年代っぽい感覚があって近いかな。〈Kitsuné〉のコンピレーションにも入ってるよ。あと、プライヴェート・アジェンダっていうバンドにも似たような空気を感じるよね」

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