好感の持たれる挨拶とシーン別挨拶のポイントについて
挨拶の大切さ
春の訪れは幾つ歳を重ねても心が躍ります。
緑が芽吹き色とりどりの花が咲き、あちこちで素敵なシーンが春風にそよぐようになります。
これから展開される様々な触れ合いを思い浮かべ、改めて「挨拶」の大切さを考えてみます。
ところで皆様方の家庭では元気のいい挨拶がありますか?
また外で人に会った時に「先手必勝の挨拶」を心掛けていますか?
日本は今、豊かで便利な国になり、労働時間も短縮されましたが、残念ながら朝食時や夕食時を一定にして家族全員がそこに予定を合わせるという習慣は有りません。
人に会った時にこちらから挨拶をしかける人も少ないようで、挨拶の効能は理解しているが実行できていないのが現状です。
挨拶は「相手の人格を大切にして相手とより仲良くなりたいという意思表示」で、良好な人間関係を築くためには必要不可欠です。
従って一番大切な夫婦間や家族間を始め、人に会った時には率先しなければいけません。
この点をきちんと理解し基本を身につけて下さい。
好感の持たれる挨拶、及びシーン別の挨拶のポイントを挙げてみます。
好感の持たれる挨拶
○自分から率先して
西洋の「握手」はビジネスシーンでは上位者から下位者へ、プライベートではレディーファーストの原則が働きますが、日本の挨拶は上も下も、男も女もありません。
「される」のを待つのではなく気がついた方から先に仕掛けて下さい。
○明るく、元気良く
自分から先に挨拶しても元気が無ければ相手に気付いてもらえません。
声の届くところまで近づいて、「明るく、元気良く」が基本です。
そうすれば相手も元気良く返してくれます。
これで互いに緊張が解け、心が自然に通います。
○その場のシーンにおいて臨機応変に
挨拶は「分け隔てなく」が基本ですが、挨拶の目的や挨拶をする相手により、丁寧な挨拶か気軽な挨拶に分かれます。
また明るく元気よく声を出すか、場所や場合によっては軽く会釈するかに分れます。
○明確な言葉で
よく耳にしたり口にしたりする「どうも」は感心しません。
非常に便利がいいようですが、どうもの後に「御免なさい」と続くのか、「ありがとうございます」と続くのか解りません。
ちなみに「御苦労様」と「お疲れ様」の使い方がよく話題になりますが、マナーの視点では相手がどう感じるか?だと考えます。
○心を込める
全ての挨拶には真心を込めることが大切です。
つまり「言葉遣い」は「心遣い」です。
「豊かな感性」+「思いやりの気持ち」が凝縮された挨拶は相手を魅了しますが、数時間のビジネスマナー講習では不可能でしょう。
常に感謝・尊敬・思いやりの心を抱き、その表現方法を身につける事が大切です。
シーン別の挨拶のポイント
〇初対面の相手に好感の持たれる挨拶
身嗜み等第一印象の大切さは良く知られることですが、見た目と同様最初の一言が相手に対する印象を大きく左右します。
好感の持たれる挨拶は「先手必勝+笑顔」です。
初対面の人には「フルネーム」で自己紹介して下さい。
これで相手をきちんと立てた表現になり、これに笑顔が加味されれば鬼に金棒です。
〇久しぶりに会った相手に好感の持たれる挨拶
笑顔を添えて、相手を思いやる言葉が有ればうれしいですね。
たとえば「今日は。ご無沙汰しておりますが、お元気でしたか?」などです。
ちなみに目上の人には「久しぶり」より「ご無沙汰しております」がいいでしょう。
〇別れ際の相手に好感の持たれる挨拶
「お出迎え3分にお見送り7分」と言われますが、挨拶もしかりで、別れ際の挨拶は大きな意味を持ちます。
江戸しぐさに「後引きしぐさ」が有るように、別れた人に「また会いたいなー」と思わせる挨拶が大切です。
例えば「有り難うございました。またのお越しを心よりお待ち致しております」等です。
優しい笑顔と心のこもった挨拶を常に心掛けて良好な人間関係を築く
先人は春になって山の花が咲く頃を「山笑う」と表現しました。
また日本には「和顔愛語」という美しい言葉が存在します。
「和顔」は穏やかな笑顔、「愛語」は優しくて思いやりの在る話し方で、常に優しい笑顔と心のこもった挨拶を心掛ければ良好な人間関係が築けます。
最後に平和な社会を背景に醸し出された日本の礼儀作法には「座礼」があります。
扇子を置きますが、これは自分と相手の位置の境界を意味し、相手側が上座で自分側が下座、つまり相手を立て自分を謙虚にへりくだった作法で、世界に誇れる思いやりの文化です。
(平松 幹夫/マナー講師)
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