子どもの声は騒音か?

子どもの声は騒音か?

「子どもの声がうるさい」訴訟の判決結果

神戸市東灘区の私立保育園の近くに住む男性が「子どもの声がうるさい」として、防音設備設置と慰謝料の支払いを求めた訴訟で、神戸地裁は「社会生活上、受忍すべき限度を超えているレベルとは認められない」として、男性の請求を棄却する出来事がありました。

子どもの声は騒音か?

子どもの声が騒音か?否か?について、度々同じようなニュースを聞く事があります。
果たしてどうなのか?
私としては、騒音にもなり得るし、騒音では無いのかもしれない、と曖昧な答えしか出せないのが正直なところです。

これは当たり前の事で、犬好きな人が居れば、犬が恐い人も居ます。
田舎が好きな人も入れば、田舎は寂しいと感じる人も居ます。
ロックが好きな人が居れば、ロックをウルサく思う人も居ます。
保育園の子ども達の声を聴いて「微笑ましい」と感じる人もいれば、「騒音」として受取る人もいるのが 当たり前の世界だと思っています。

また受取り方以外にも 状況も関係してくると思います。
私自身も昔はある大きな学校の近くに住んでいた事がありました。
普段はあまり気にならなかった学校からの音(声)も、秋のある日の徹夜明け、朝方やっと就寝しようとした時に 運動会の練習で流れてきた「天国と地獄」という曲、まさに地獄でした。

子どもの声を騒音と受け取る人とどう接するのか?

神戸市の男性が元々子どもの声を騒音と受取る方だったのか?
彼の生活スタイル・状況に合わなかったのか?は分かりませんが、こういった問題は今後も出て来るケースだと思います。
両者の気持ちを摺り合わせる事は難しいですが、私自身も子どもとの活動を多く行う身として気を付けている事が2つあります。

まず一つ目は「子どもの事だからといって、全員が許してくれると思う事は大間違い」であるということ。
子どもの活動をする方は殆どが「子どもが好きな人」でしょう。
しかしながら、子どもが苦手な方が居るのも事実です。
ついつい、我々は「子どものため」という大義名分を振りかざしがちになるのですが、それを振りかざしたがために、結果、子どもが苦手な方と、自分が好きな子どもまでも傷つける結果になってしまう事もあるのです。
その事をしっかりと肝に銘じ、周りに良く気配りをしていけばこういった問題を少しだけ避ける事に繋がるのかもしれません。

もう一つは 「伝え方」
心理学ではよく「YOUメッセージ」「Iメッセージ」と言われますが、お前達の声がウルサい!お前らが悪い!子どもの声をウルサいと思う方がおかしい! あなたは冷たい人だ!など、相手を主語に相手を変えようとするのが「YOUメッセージ」です。
YOUメッセージは、往々にして「クレーム」として伝わることが多いようです。
一旦 クレームとして伝わってしまうと 逆に相手にこちらの状況を理解してもらえる事は難しくなってきてしまいます。

では、どのよに伝えれば良いのでしょうか?
私は、少し伝え方を変えて「Iメッセージ」で伝えてみるのが良いのではと思います。
「(子ども達の声で)私の状況が○○になったら困るんです」
「(保育園の活動で)私はこんなにキツい気もちになっているんです」
「(子ども達の成長のため) 私たちは これだけは必要だと思っているんです」
「(子ども達の活動をする上で)私たちは この時間だけは許して欲しいと思っているんです」
など、主語を私に変えて、相手を変えようとするのではなくただただ自分の気持ちや状況を伝えてみる事から始めてみたらいかがでしょうか?

これでもすぐにお互いの気もちを摺り合わせるのが難しいのは分かっていますが、スタート地点を変えれば 結果が変わって来る事もあると思います。

昔と地域の環境が変わってきた今の時代、こういった問題は度々と出て来ると思います。
その都度、騒音レベルの数字だけで解決するのではなく、こういったときこそ、我々日本人の本領発揮ではないでしょうか?
譲り合い!相手の気持ちを先に汲む!
日本人が昔から得意なこの気質を柱に お互い歩み寄ってもらう事を期待しています。

(つだ つよし。/心理カウンセラー)

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