ネオクラシックもいいけど、もうそろそろ「ネオネオ(ネオ・ネオクラシック)」が狙い目かも?
▲ちょっと前までは単に古くさく感じられたのに、時がたって古くなりきったことで、逆に魅力的に見えてくる車……。それが、ここでいうネオ・ネオクラシック。写真は96年から03年まで販売されたBMW Z3
1周回って「逆におしゃれ」となった90~00年代の輸入車
「クラシックカー」というのは主に第二次世界大戦より以前に製造された名車のことを指しますが、そこまで大仰なモノではなくせいぜい30~40年前、つまり1970年代や80年代に作られた車たちも今、「ネオクラシック」という俗称で大いに愛されています。例えばちょっと古いW123と呼ばれるメルセデスとか、まるでベネチアの運河に浮かぶ小舟のような往年のアルファロメオ スパイダーとか、ですね。
ネオクラシックはネオクラシックで非常にステキなジャンルですが、それに加えて「ネオ・ネオクラシック」とでも呼ぶべき一群にも、近ごろは注目すべきかもしれません。
ネオ・ネオクラシック(略称ネオネオ)というのは編集部の勝手な命名で、特に明確な定義はないのですが、「ネオクラシックと呼ぶにはまだ新しい、でも最近どこかノスタルジックな風味が出てきた車」のことをそう呼びたいと思います。具体的には90年代初頭から00年代は初めぐらいに製造販売された輸入車で、その中でもデザイン的な風情が感じられるもの……といったところでしょうか。
より具体的な例を挙げるなら、例えばBMW Z3。
▲96年8月から03年12月まで販売されたBMW Z3。ロングノーズ+ショートデッキ、スモールキャビンという典型的なクラシカルスタイルを採用した2シーターオープンカーです
また、例えば初代アウディ TT。
▲こちらは99年10月から06年9月まで販売された初代アウディ TT。走りに関しては後の2代目、3代目の方が上ですが、ことデザインに関しては「やっぱりコレが一番!」という声も多いステキな2+2クーペ
あるいは初代メルセデス・ベンツ SLKクラス。
▲初代メルセデス・ベンツ SLKクラスは97年2月から04年8月の車。メルセデスとしては初採用の電動格納式ルーフは当時革新的でしたが、今となっては少々ノスタルジックな雰囲気も出てきた印象があります
プジョー 306カブリオレとアルファロメオのアルファ156も、ここのところクラシカルな「味」が出てきたように思えます。
▲94年8月から02年7月まで販売された4シーターオープン、プジョー 306カブリオレ。最近のプジョーはややドイツ車風の味わいですが、これはデザインも走りも柔らかなフランス風である点が特徴です
▲アルファロメオのアルファ156は98年5月から06年2月まで販売されたスポーツセダン。「クラシカル」というにはまだ早いかもしれませんが、最近どことなくそんなムードは生じてきたかもしれません
車というのは、デビュー時からその3~5年後ぐらいまでは「キラキラとイケてる感じ」に見えるわけですが、それを過ぎると「なんか最近、華がないかもね」という印象に変わり、さらに数年が過ぎると「さすがにアレはもう古いでしょ(笑)」とぞんざいに扱われるようになります。で、多くの車はそのまま超激安中古車として売買され続けるか、もしくは廃車となって土に還っていきます。これが、多くの車がたどる基本的な運命です。
しかし一部のモデルは「古くさい車だと思ってたけど、最近は1周回ってオシャレに見えてきたような気がする! 逆に!」ということで、第二の旬みたいなものを迎えることになり、中古車相場もちょびっと上がったりします。つまり「ネオ・ネオクラシック」として評価され始めるということです。
おしゃれで安価、そして(基本的には)手間いらず
そして今、そんなネオ・ネオクラシックとしての再評価が始まりそうなのが、先ほど挙げたBMW Z3などの各輸入車なのではないか……と思う次第なのです。「いよいよ第2ターンが始まるな!」と。
こういった「ネオネオ輸入車」の魅力は、以下の3点にまとめることができます。
1. 内外装デザインがおしゃれ
このあたりは感覚の問題ですので、何をもって「おしゃれ」とするかは人それぞれで、超最新世代のゴージャス系デザインこそおしゃれと感じる人もいるでしょう。しかしこういったネオネオ系のちょっと力の抜けたといいますか、ちょいノスタルジックな感じこそがおしゃれである……と感じる人も最近は多いのではないでしょうか。特にお若い方はそう感じるかもしれません。もしもあなたが「いいじゃん、このデザイン!」と思う人であるならば、ネオネオ系はかなり満足できるはずです。
2. ぶっちゃけ安い
当然ですが戦前の本物のクラシックカーはお金持ち専用機ですし、70~80年代あたりのネオクラシックも、昨今の世界的ブームにより上がっている車種の相場はかなり上がっています。しかし「ネオネオ」は仮にブームが来るとしてもこれからですので、現状はぜんぜん高くありません。実際の価格は車種や個体によりけりですが、イメージとしては「車両40万~90万円ぐらいで見ておけばなんとかなる」といった感じ。お財布にやさしい選択なのです。
3. さほど手間がかからない
これまた当然ですが戦前の本物のクラシックカーは動かすだけでも大変ですし、70~80年代あたりのネオクラシックもそれなりに手がかかるお年頃にはなってきました。しかしネオネオはまだせいぜい(?)20年落ちぐらいですので、動かすだけなら何の苦労もいりませんし、メンテナンスのめんどうくささもそれほどではありません。とにかく気楽に付き合えるんですね。
▲写真は初代アウディ TTのコックピット。十分現代的ではありますが、それでも最新世代のそれとはどこかが違う微妙なニュアンスが、ネオ・ネオクラシックのネオネオたるゆえんです
購入は整備と部品交換の履歴を十分チェックしてから
そんなこんなのネオ・ネオクラシックですから、こういった世界観というか美意識を好む人には老若男女を問わずオススメしたい選択肢ではあります。が、ちょっとだけ問題点というか注意点はあります。
それは「モジュラー生産」という話に関わる問題です。
昔の車というのは部品1点ずつの集合体で、それは今も基本的には変わらないのですが、90年代半ばぐらいからは世界中の自動車メーカーがモジュラー生産という生産方式をとるようになりました。これは、部品メーカーなどが「機能ごとのモジュール(複合)部品をあらかじめ組み上げて最終製品に組み入れる生産方法」のこと。例えばですが、昔の部品はネジ1本とか小さな部品単体で工場に納品されていましたが、今の部品は「最初からある程度まで組み上げられている集合体」として納品されるのです。
これが我々にどういう影響を及ぼすかと言いますと、昔の車というのは仮にどこか小さな部品が壊れたら、その部品だけを交換すれば良かったのですが、最近の車はそうではなく「その小さな部品を含むそこそこ大きな集合体」ごと交換しなければならない場合が多いということです。つまり、部品代がけっこう高くつくということ。
ですので、「ネオクラシックと比べればネオ・ネオクラシックは年式的に新しいから、選ぶときもある程度テキトーで大丈夫だろ」とやってしまうとドツボにハマる可能性もあります。直しやすさと費用の安さという点では、モジュラー生産が導入されていなかったネオクラシック時代の車の方が簡単で安い……という可能性もあるのです。
それゆえこれからネオ・ネオクラシックカーを買う場合は、「整備履歴とその内容を重視する」という中古車選びの王道を、より一層意識する必要があるでしょう。ただ逆に言えば、それさえ忘れなければ「ネオネオ」はかなり魅力的な選択肢です。ぜひ、徹底整備済みのステキでナイスな1台を探し当ててみてください。
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本文中に登場した「ネオネオ」を車両価格140万円以下しばりで探してみるtext/編集部
photo/BMW、アウディ、ダイムラー、フィアット・クライスラー、プジョー・シトロエン
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