次世代のIT・家電展示会「CES2017」、住まい関連の先端技術はコレだ!

次世代のIT・家電展示会「CES2017」、住まい関連の先端技術はコレだ!

毎年1月、米国ラスベガスで開催される「CES(Consumer Electronics Showの略で、通称「セス」)」。さまざまなカテゴリの革新的な次世代テクノロジーが集結する展示イベントで、世界中から注目を集めます。50周年目の今年も「CES2017」が1月5日から8日に開かれ、世界中から3800 社以上の企業が出展しました。そこで、住まいや暮らしにまつわる新商品にはどのようなものがあったのか、同イベントに参加した株式会社 HEART CATCHの西村真里子さんに話を聞きました。

声で家電をコントロールする「音声認識家電」が進化

世界最大規模の国際的な見本市として知られる「CES」。毎年さまざまな分野の最新プロダクトが発表され、話題を呼びます。西村さんによると、今年は暮らしにも直結する技術の分野で、目覚ましい変化が見られたそう。

「今年のCESのトレンドは、『音声認識』にまつわる技術革新です。日本でも、グーグルやアマゾンが音声認識に関するテレビCMを展開していますが、その音声認識技術を家電に搭載した新商品が見受けられました。例えば、今だと料理をつくったり洗濯したりしながら、スマホで検索するのって難しいですよね。でも、冷蔵庫や洗濯機自体がネットにつながり、音声認識機能も活かせるようになる。そうした製品も韓国の家電メーカー『LG』などから出品されており、多数見受けられました」(西村さん)

「家電」×「音声認識」×「検索」によって、こんなことが可能になるようです。

「ハンバーグをつくっているときに、冷蔵庫に向かって『ハンバーグのつくり方教えて』と投げかけると、冷蔵庫がハンバーグのレシピを読み上げてくれます。あとは、タクシーを呼びたいときに『10分後に家に迎えにきて』とお願いすると、呼べるようになるという製品もありました。スマホやパソコンで打ち込むのではなくて、音声認識と家電が結びつくことで、声で家庭内をコントロールする暮らしが現実味を帯びていると実感しました」【画像1】今年のデジタル業界のトレンドを占う「CES2017」。自動運転の自動車やAI搭載の技術製品だけではなく、暮らしにまつわる革新的な製品も数多く展示されていたようだ(画像提供/西村真里子)

【画像1】今年のデジタル業界のトレンドを占う「CES2017」。自動運転の自動車やAI搭載の技術製品だけではなく、暮らしにまつわる革新的な製品も数多く展示されていたようだ(画像提供/西村真里子)

次世代家庭用ロボにハイテクベッド……暮らしの質を高めるテクノロジー続々!

では、住まいや暮らしにまつわるものはどのようなプロダクト製品があったのでしょうか。西村さんに注目する4つの製品を教えてもらいました。

●10万円以下で手に入る! 家庭用ロボ「KURI」

「一緒に暮らせるロボットといえば、『Pepper』を思い浮かべる方も多いと思いますが、毎月利用料を払うと結構な金額になるので、気軽には買えませんよね。そこで、注目したいのが今年のCESに出品されていた『KURI(クリ)』です。Bosch(ボッシュ)という自動車のパーツメーカーが出資しているスタートアップ企業から発売されているロボットで、音声認識機能とスピーカー機能を搭載。話しかけると天気予報を知らせてくれたり、タクシーを呼んでくれたり、またbluetooth やwi-fiとつなげることもできるので、『ジャズが聞きたい』と話しかけると、スマホと連動してスピーカーから音楽を流してくれたりと多機能です。

位置情報もあって障害物も認識できるので、家の中を動きまわってくれます。さらに、カメラもついているので、アプリを立ち上げると家の中を映し出してくれます。ペットを飼っている人にはうれしい機能かもしれません。ピクサーのアニメーションを手掛けているメンバーもデザインに参加しているので、見た目もとても可愛らしい。10万円以下ですが、“ペット兼アシストロボット”のようなかたちで、側に置いておきたくなるロボです」【画像2】コロコロと愛くるしい動きをする「KURI」。低価格ながら機能性もバツグンのロボットだ(画像提供/西村真里子)

【画像2】コロコロと愛くるしい動きをする「KURI」。低価格ながら機能性もバツグンのロボットだ(画像提供/西村真里子)

●ジャスチャーでロックを解除! 日本発の革新的な“家の鍵”

「日本のハードウェア・スタートアップ『tsumug(ツムグ)』が出品していた製品で、『TiNK』は新しいと思いました。この製品が革新的なのは、『TiNK』のパネルに直接指でジェスチャーを読み込ませることで、鍵が開くという機能。例えば、家に泊りにくる友達とアプリでジェスチャーを『ハート』に決めてシェアしておく。すると、鍵の受け渡しがなくても、ジェスチャーを読み込ませれば家に入れます。最近は民泊も普及しているので、これからの時代により求められるようになる製品だと思います」【画像3】ジェスチャーを決めておくだけで鍵が開く、画期的な技術で注目の『TiNK』(画像提供/西村真里子)

【画像3】ジェスチャーを決めておくだけで鍵が開く、画期的な技術で注目の『TiNK』(画像提供/西村真里子)

●ペットの水&餌やりもテクノロジーで解決!

「ペット関連で目を引いたのは、『Catspad(キャッツパッド)』というアイテムです。猫は餌ときれいな水があれば、数日は飼い主が家を空けていても大丈夫なんですが、『Catspad』は設定したグラム数でエサや水を自動で出すことができます。猫はきれいな水が好きで汚れた水を飲まないので、一回入れて放置したままでは飲みません。このアイテムのすごいところは、一度トレイに出した水を浄化することができる点。容器の下部にあるタンクにストックされている水がろ過されて、循環するんです。また、スマホで餌と水の量や、餌やりをするタイミングを管理できます。そのため、『Catspad』があれば3日間ほど家を空けても安心です」【画像4】自動で餌&水やりができるうえに、浄水機能もついた『Catspad』。スマホのアプリ経由で、餌をきちんと食べているかどうかも確認できるそう(画像提供/西村真里子)

【画像4】自動で餌&水やりができるうえに、浄水機能もついた『Catspad』。スマホのアプリ経由で、餌をきちんと食べているかどうかも確認できるそう(画像提供/西村真里子)

●眠りのテクノロジーもここまできた! ベッドが快適な眠りをアシスト

「今年初めてCESの会場に新カテゴリとして登場したのが、『Sleep tech(スリープテック)』。最近アメリカでは、ビジネスの成功者たちがこぞって“睡眠が大事”と訴えるようになったので、眠りにまつわる関心度が高まっています。それに応じるように、眠りにまつわるテクノロジーも進化しています。例えば、『The Sleep Number 360』がリリースした『SMART BED』は、キングサイズベッドで、夫婦一緒に寝ることを想定しているのですが、それぞれが寝る場所のマットレスの温度を変えられるようになっています。また、『Sleep IQ』という技術を内蔵していて、眠りの状態を追跡することができます。眠りの状態を知る技術はこれまでもありましたが、データを取ったうえで、実際に寝具自体がパーソナルなデータを読み込んで、カスタマイズできるようになったのは革新的だと思います」【画像5】 “いかに良く眠るか”を先端技術で実現しようとする動きが見られたCES2017、なかでも『Sleep tech』は印象深かったと振り返る西村さん(画像提供/西村真里子)

【画像5】 “いかに良く眠るか”を先端技術で実現しようとする動きが見られたCES2017、なかでも『Sleep tech』は印象深かったと振り返る西村さん(画像提供/西村真里子)

未来の暮らしを劇的に変える先端テクノロジー。その一部を垣間見られるこれらの製品が、私たちの生活にさりげなく寄り添ってくれる日もそう遠くなさそうです。●取材協力

株式会社 HEART CATCH 代表取締役、プロデューサー 西村 真里子さん

国際基督教大学(ICU)卒。エンジニアとしてキャリアをスタートし、その後外資系企業のフィールドマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブ会社のプロデューサーを経て2014年株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×デザイン×マーケティングを強みにプロデュース業や編集、ベンチャー向けのメンターを行う。Mistletoe株式会社フェロー、日本テレビSENSORS.jp編集長。経産省「第4次産業革命クリエイティブ研究会」常任委員。
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