各市町村の同一ネットワークでのデータ運用 ネックは個人情報保護法

6回目を迎えたIT復興円卓会議

 ITによる東日本大震災からの復興策を議論する「IT復興円卓会議」の第6回「政治の役割」が2012年01月17日夜に都内で開かれ、ニコニコ生放送で中継された。民主党・自民党の国会議員3人が出演し、震災復興を見据えた制度設計のあり方などを議論した。ゲストの民主党・藤末健三参議院議員は、「各市町村がデータを同じネットワーク上で管理・運用する『自治体クラウド』を導入すれば、データの安全性も高まるし、コストも下げることができる」と力説した。

 今回のゲストは藤末議員の他、民主党の高井崇志衆議院議員、自民党の世耕弘成参議院議員、株式会社アゴラ研究所所長の池田信夫氏。

 議論では、自治体クラウド導入とそれに伴う制度改革が話題になった。池田氏はここで、「個人情報保護法案の可決により、個人情報の取り扱いに関しては非常に慎重にならざるを得なくなった。特に行政は個人情報に触れないくらいにまでなってしまっている。このままでは実務に影響が出てしまうレベルである」と述べ、個人情報保護法の緩和や運用の弾力化を主張した。

 これに世耕議員は、「現状の個人情報保護(法)の厳しさの延長でシステムを構築すると、非常にコストがかかるし、かつ使いづらいものが出来上がってしまう。今政府で議論されている納税番号制度に関しても同じような危惧を抱いている」と応じた。

 議論ではさらに、高井議員が周波数オークションに関して「国家のIT戦略に関する予算配分が効果的にできていない。縦割り行政ではなく、IT戦略本部がしっかりと予算管理をする上で、オークションを財源としてつけることが重要になってくる」と強調。藤末議員は国民の声を反映した政策の立案方法について、「例えば20代の若い方の意見を聞くチャンスは少ないため、インターネットで意見を集約して政策的にまとめ、それを政治家が実現するというシステムがあるとよい」と述べた。

 IT復興円卓会議は次回で最終回。2月21日18時より都内で、総括の議論を行う。出演者は総務省大臣官房企画課長の谷脇康彦氏や東洋大学の松原聡教授、ニワンゴ代表取締役社長の杉本誠司氏ら。公式サイトで、一般参加者を募集している。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]民主党参議院議員 藤末健三氏の発言から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv77340472?po=news&ref=news#0:31:18
・IT復興円卓会議 – 公式サイト
http://ithukko.com

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科・上杉類)

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