増え続ける親族間の暴力 その実態と解決に向けて
増え続ける親族間の暴行事件や殺人事件
親族間における、痛ましい事件がここ最近増加をしています。
警察庁の統計によると、2016年における親族間暴行事件は6148件。
ここ10年で3.8倍の統計となっています。
また、殺人事件に目をむけると国内の殺人事件の内、親族間の殺人の割合は53%にものぼっています。
このような痛ましい事件から、どのようなことが考えられるでしょうか。
親族間暴力の実態について
1つはDVや虐待といった社会問題が親族間暴力の増加に結びついているということです。
DVや虐待は、未だ出口が見えてこないのが社会問題です。
そこに至るまでの事前予防や早期対応の取り組みが不十分な現状では、おのずと親族間暴力へとつながることは、想定されうることです。
2つ目は、親族間暴力は、今になって増え始めたのかという疑問です。
例えば児童虐待については統計を取り始めた平成2年以降、増加を続けているという現実がありますが、一方では平成2年頃の虐待は表面化されていなかっただけで、今も昔も変わらないという見解もあります。
この視点を親族間暴力であてはめた場合はどうでしょうか。
家庭内暴力も単に表面化されていなかっただけで、実は以前から顕在していたものではないでしょうか。
賛否は別として、家庭の中で親が子どもに手をあげたり、夫(妻)が配偶者に手をあげるという事は、昔から存在することで、その中には躾や夫婦喧嘩の域を越えた痛ましいものがありました。
こういった家庭内問題に警察が介入することは、以前は稀でした。
しかし、子どもや配偶者への人権が叫ばれるようになり、警察もこういった問題に目を光らせことが増え、結果として表面化してきたのではないでしょうか。
身内内での憎悪は他人に対してよりも激しくなりやすい
家族というのは自分にとって最も身近な存在です。
自分のことを受け入れてもらえるという安心感がある一方、受け入れてもらえない時やわかってもらえない時の傷つきや憎しみは他人以上のものでもあります。
この負のエネルギーがマックスに到達した時、怒りの矛先が家族に向かい、結果としてお互いに傷ついてしまうことになってしまうのです。
そういった意味で、自分が家族を傷つけてしまいそうになったり、傷つけられそうになったら、適度な距離(一緒に過ごす時間を減らす。干渉をしない等)をとることも場合によっては必要です。
(中原 崇/社会福祉士)
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