プロジェクトを成功させるには「良いニュースを早く聞きたいと思うな」
「情報を欲しがるあまり判断を誤ることがある」。小惑星探査機はやぶさのプロジェクトマネージャーで、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の川口淳一郎教授は2012年1月8日、獨協大学の講演会で、プロジェクトを成功させるためには「良いニュースを早く聞きたいと思わないこと」が重要であると語った。
川口教授は、小惑星イトカワからサンプルを採集し2010年地球に帰還した探査機はやぶさのプロジェクトマネージャーを務めた。教授は、プロジェクトを進めるなかで徹底したことの一つとして、「早く良いニュースを聞きたいと思わない」ことを挙げた。川口教授によれば、はやぶさはサンプル採取装置の軽量化が限界に達していたが、担当者はここに、サンプルを採取できたかどうかを確認するための「センサー」を付けたいと言いだした。だが川口教授はこれを止めさせたという。その背景には「早く良いニュースを聞きたいと思うな」という教訓があった。
「小惑星のサンプルを採取できていないことがわかっても、(地球からは)どうしようもない。”不幸”が早くわかるだけ」
「人は良いニュースを聞きたがるもの。だが情報を欲しがるあまり判断を誤ることがある」と、川口教授。「信念があれば余計な情報に手を出さなくても済む・・・というのは言いすぎかも知れないが、ぶれないことは大切」とプロジェクトを成功させるためには自身の発想を貫く姿勢が重要だと訴えた。
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(土井大輔)
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