住宅ローン上昇の気配!? ローン金利は?住宅市場は? どうなる2017年
長期固定型の住宅ローンの代表格【フラット35】の金利が2カ月連続で上昇した。住宅金融支援機構によると、1月の適用金利で利用が最も多い「返済期間21年以上35年以下(融資率9割以下)」の最低金利は1.12%となり、昨年11月の1.03%から12月の1.10%に続いて金利が上昇する結果となった。住宅ローンの金利はこのまま上昇を続けるのか? 住宅市場はどうなるのか? 2017年の市況について考えてみよう。【今週の住活トピック】
「【フラット35】」の平成29年1月適用金利を発表。2カ月連続で上昇/住宅金融支援機構
【フラット35】の金利はじりじり上昇しているが、1年前よりかなり低い水準
【フラット35】は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する住宅ローンで、35年などの長期間金利が変わらないのが特徴だ。適用される金利は、取り扱う金融機関によって異なるが、2017年1月に適用される金利の幅は、1.12%~1.69%だった。
【フラット35】の金利は、日本銀行のマイナス金利政策を受けた昨年8月の0.90%(最低金利)を底に、じりじりと上がっている。それでも、1年前(2016年1月最低金利)の1.54%と比べると、1.12%はまだかなり低い水準にある。
住宅ローンの金利の推移は、【フラット35】などの長期固定型と、変動金利などの短期間しか金利が固定されない型とでは、異なる動きをする。銀行などの住宅ローンの1月の適用金利を見ると、変動金利の金利は変わっていないが、当初10年間金利を固定するもの(10年固定)では前月より上昇しているものが多い。
長期固定型の金利は、経済政策や国際経済の影響を受ける傾向がある。日銀のマイナス金利の影響を強く受けたのは長期固定型だったし、アメリカ次期大統領にトランプ氏が決まった後、期待感が高まってアメリカの国債の金利が上昇したことなどで、長期固定型の金利が変わっている。
では、今後の金利はどうなるのだろう?
日本銀行は企業の設備投資などを増やすなど景気回復策として、今後も低金利を維持しようとすると見られているが、一方で、アメリカの金利引き上げやトランプ政権の政策、ヨーロッパの保護主義の台頭などの影響で国際経済は不透明だ。
住宅ローンの金利動向も予測が難しいところだが、当面は低金利の水準が続くとみてよいだろう。【図1】【フラット35】の金利推移(出典:住宅金融支援機構)
2017年の住宅市場は? 供給は増える? 減る?
では、2017年の住宅市場はどうなるのだろう?
まず、消費税率10%への引き上げ時期が、再延期になったことの影響について考えてみよう。
当初予定の2015年10月から2017年4月に延期になり、さらに2019年10月に再延期することが決まった。住宅の場合は、引き渡しが増税前か後かで税率が変わるが、増税時期の半年前に契約を交わせば、引き渡しが増税後でも旧税率が適用されるという経過措置がある。
再延期されずに2017年4月1日から税率が上がる場合であれば、2016年9月30日までに注文住宅などの建築請負契約を交わすか、分譲住宅の売買契約の際に床の色やドアの形状などの注文を付した契約を交わせば、引き渡しが増税後でも8%の税率で済むので、当初は駆け込み需要が期待できた。
ところが、再延期になってしまったので、こうした駆け込み需要を当てにできるのは、2019年3月末に延びてしまった。この影響で、デベロッパーが2016年の供給量を抑制したといわれている。【図2】経過措置のイメージ(筆者作成)
また、住宅価格について見ると、特に新築マンションの価格が、建築費用の高騰や海外からの需要などもあって、ここ数年で急上昇した。不動産経済研究所の調査では、2016年の新築マンションの平均価格は首都圏で5490万円(対前年0.5%減)、近畿圏で3919万円(対前年比3.5%増)だった。特に都心部では、一般消費者にとって手が届きにくい価格帯になっていて、新築マンションの需要が薄くなっているといわれている。
こうした影響もあって、不動産経済研究所によると、2016年の新築マンションは、首都圏で3万5772戸(対前年11.6%減)、近畿圏で1万8676戸(対前年1.3%減)と低い水準の供給量となった。2017年の供給予測については、首都圏で3.8万戸、近畿圏で1.9万戸と、それぞれ2016年よりやや増加する予測を立てている。
2017年の新築マンションの価格は、地域にもよるがおおむね横ばいと見られている。中古マンションの価格は新築と連動して上昇傾向にあったが、新築ほどの上昇ではないこと、一戸建ての価格は新築・中古とも価格の上昇は限定的ということもあって、2016年と同じような市況が2017年も続くと見てよいだろう。
2017年は、安定した市場になり、引き続き税制等の優遇制度が多い好環境が続くと考えられる。買い手側は購入する目的を明確にして希望条件などを整理し、長期的な視点でじっくり物件を選ぶとよいだろう。
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