今ひとつ盛り上がらなかったミニ クーペだが、100万円台となれば話は別だ!
▲魅力的な「ミズスマシ」ではあるが、小さな2人乗りの車としては高い……というのがネックだったミニ クーペ。しかしその中古車相場は最近になってグッと下がってきたのです!
「もう少し安けりゃ即買いなんだが……」と思う瞬間
商店街やスーパーマーケットの店内などを歩いていると、売り子さんというのか呼び込みさんというのか知らないが、様々な人が「そこのあなた! あなたは、わたしが今売っているこの素晴らしい製品に注目するべきですぞ!」という意味の声をかけてくる。
で、わたくしこと筆者はその声を基本スルーするわけだが、だからといって、その商品に対する興味が常にゼロなわけではない。そちらを見てないようで実はチラ見しつつ、「……良さげな品だな。でもちょっと高いな。あと500円安けりゃ即買いなんだが……」などと内心思っていることも多い。これは、筆者のみならず割と多くの人が取っている行動だろう。
そして「ミニ ミニクーペ」という車に対しても、そんなニュアンスの態度を取っていた人は割と多かったのではないかと推測している。
今ひとつマイナーな車ではあるがミニクーペとは、第2世代(旧型)のミニをベースに作られた2人乗りのクーペモデルだ。
同時期のハッチバックと比べて全高が50mm低く、Aピラーの傾斜も13度強められたかなりスポーティなスタイリングと、軽量・低重心である点が大きな特徴。そしてその走りは「ゴーカートフィーリングの権化」とでも言うべきものだった。ステアリング特性は超絶クイックであり、FFでありながらどこかミッドシップレイアウトの車のようなニュアンスで、キツいコーナーをミズスマシのように駆け抜けることができた。
つまりミニクーペとは、イカしたルックスとイカした走りの能力を持ち合わせた、ある種の人間にとってはかなり魅力的なモデルだったのだ。
▲旧型ミニ コンバーチブルをベースに、低く構えたスポーティなフォルムの2シータークーペとして企画されたミニクーペ。写真は09年8月発表の「ミニ クーペ コンセプト」
▲全高は同世代の3ドアハッチバックより50mm低い1380mm。ミニ クーペと同時期、手動ソフトトップを備えた「ミニ ロードスター」も販売された(写真はミニ クーペ コンセプト)
新車はなんだかんだで400万円級だったが、中古車は今や100万円台
だが、ミニクーペを実際に購入する勇者はそう多くはなかった。
考えてみればそれも道理である。筆者はとりあえず他人事なので「ミニクーペはイカしたルックスとイカした走りの能力を持ち合わせた魅力的な車です」とかのんきなことを言っているが、「じゃあお前、新車価格約350万円+オプション料金コミで400万円ぐらい出してアレを買ったのか?」と問われれば、申し訳ないが買っていない。筆者も人の子なので、2人しか乗れない1.6Lの小さな車に(だいたい)400万円もの大枚を払う勇気は持てなかったのだ。
そう思ったのは筆者だけではなかったようで、12年1月発売のミニクーペは15年2月の「生産を終了します」との公式発表をもって、今ひとつ盛り上がらないままの短い現役生活を終えた。
しかし冒頭の売り子さんの話ではないが、「安い」となれば話はまた別である。
今、ミニクーペの中古車相場はけっこうな勢いで下落している。具体的には、昨年10月半ば頃の平均価格は223万円ほどだったのだが、現在はおおむね200万円。そしてさらに具体的に市場を見てみれば、「車両価格100万円台のミニ クーペ」もガンガン流通していることに気づくはず。それもボロい個体ではなく、走行1万kmぐらいからせいぜい3万km台ぐらいの個体が、である。
……このぐらいのプライス感であるならば、そして「わたしは2人乗りでも別に構いませんよ」という生活状況であるならば、世間的には今ひとつ盛り上がらなかったミニクーペも、その人の心のなかで激しく燃え盛るのではないだろうか。少なくとも筆者の心は今、燃えている。
▲実際に買うとなると何かと躊躇する部分もあったミニ クーペだが、「手頃な価格の中古車で」ということなら話はずいぶん変わってくる?(写真はミニ クーペ コンセプト)
できればMTを選びたいが、ATの流通量も豊富
問題はどんな中古ミニクーペを買うかだ。
グレードは大きく分けて、1.6L自然吸気エンジンの「クーパー」と、同エンジンにターボをカマした「クーパーS」、そしてクーパーSにさらなるチューンを加えた「ジョン・クーパー・ワークス」の3種類。そしてそれぞれに6MTとATがある。個人的な好みで言えば「この種の車はMTで乗るべきだ」と思うわけだが、車両価格200万円以下の物件が全国で18台あるなか(16年12月26日現在)、AT仕様も9台流通しているので、「実はATの方が好き」という人はそちらを選べばいいだろう。
グレード別ではクーパーが8台で、クーパーSが10台。最強のジョン・クーパー・ワークスは210万~270万円といったニュアンスなので、「車両100万円台!」という今回の選択肢からは残念ながら外れる。クーパーとクーパーSそれぞれのAT/MT比率は「おおむね半々ずつ」といったところだ。
以上の基本情報というか基本状況をベースに、あとは各自の好みと予算に応じた選択をすれば良いわけだが、筆者個人としては「クーパーSのスポーツボタン付き」が気になっている。これは新車時5万円だったオプション装備で、走行中にボタンを押すとオーバーブースト機能が働き、いきなり怒涛の加速を開始するというもの。車両価格100万円台のクーパーSだとこのオプション装備が付いていない個体も多いのだが、探せば「スポーツボタン付き」もなくはない。このあたりの好みは人それぞれだろうが、ご参考までに。
ということで今年は、やっと100万円台になったミニクーペに、ある種の人はぜひご注目いただきたいと思う。ま、あくまでも2人乗りでも全然OKな「ある種の人」向けではあるのだが……。
▲普通のミニだと「街を走ってる数が多すぎる……」という印象もあるが、レアなミニ クーペであればそういった心配も無用。2シーターでもOKな個性派はぜひ!(写真はミニ クーペ コンセプト)
【関連リンク】
車両価格200万円以下のミニ ミニクーペをチェックしてみるtext/伊達軍曹
photo/ミニ
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