「大阪から日本を変えよう。全国の志あふれる若者よ『大阪へ結集せよ』」古賀茂明氏スピーチ書き起こし
未曾有の災害の中にあっても動きが鈍かった政治。足の引っ張り合いばかりやっている永田町の政治家達。その中にあって公務員改革や東京電力の改革を唱えた改革派の官僚に「仕事を与えない」という陰湿な対応をとり続けた民主党政権、そしてその状況を知りながら見てみぬふりをしたリーダー失格の経産大臣(海江田大臣、枝野大臣)。「民主党政権では改革はできない」としてその職を辞した古賀茂明氏は、先日大阪の「府市統合本部顧問」に就任されました。もはや東京永田町の政治や霞ヶ関には期待はできず、西の大阪から新しい風が吹き、その風が届くのを待つしかないようです。
今、大阪では新しい改革の動きが活発になっており、とても面白いと古賀氏は述べておられます。日本中から、志が溢れる人達に集まってもらいたい。そういう、志の溢れる人達が集まることができる仕組みも整えていっているとのことです。優れた人々が集まればそこから新しい歴史がつくられる可能性もあるでしょう。この流れに加わりたい方は連絡してみてはいかがでしょうか。
そんな古賀さんの熱いスピーチの一部を書き起こしさせていただきました。
(動画はこちらからご覧いただけます)
その1 危機意識が足りない
まず第1のポイントなんですけれども、現状の危機認識というものについて申し上げたいと思います。
橋本知事は退任される際「大阪府というのは最初は破産会社だと言ったけれど、今みなさんは優良会社の職員ですよ」といって去られたという風にお聞きしていますけども、しかし、これは国も同じなんですけれども、府も中長期的に見れば財政は非常に厳しいというふうにまず考えていただかないといけないと思います。決して前途洋洋たる優良会社になったということではないんじゃないかというのが私の認識です。そういう意味では待ったなしの状況にあるというのを議論の前提にして頂きたいなと思います。
いろいろ資料を見させて頂いたんですけれども、府の総務部の方で作られた「論点メモ」とか、或いは「確認を要する事項」というような資料、かなりぶ厚い資料がございましたけれども、どうも今のこの危機的状況というのをあまり認識されていないんじゃないかなという風に思います。
参考)
確認を要する事項
http://www.tokyopressclub.com/2011/10/680.html [リンク]
※編注)この「確認を要する事項」という資料は大阪維新の会が議員提出という形で出した「職員基本条例案」(つまり公務員改革案)と「教育基本条例案」に対して、反対派の役人が批判をおこなうためにつくられた文書。維新の会の出した条例案には欠陥がたくさんあるということをアピールする目的があると言われ「680問の質問」とも呼ばれている。
一言でいえば危機感が足りない。
府の職員に危機感が足りないのは非常に大きな問題だと思います。一例をあげれば、前文にこの府の人事に関して、これからは年功序列ををやめて、変えていかなくちゃならないという風に書いてありますが、それについて「いやいや、今でも色々な取り組みをしているんで年功序列じゃない」と言う記述がある。そのどこが年功序列というんだ、そういう事実があるんだったら指摘してみろみたいなことが書いてあるんです。今、府の人事が年功序列になっていないと思われる方は多分いないと思うんですけれども、そういう意見が出てくる。
あるいは、人事の一般原則についての第三条。業務目標を効率的かつ効果的に達成するということを目標にしたらどうですかと書いてある。今までみたいに年功序列や処遇本位はやめた方がいいですよということが書いてある。それについて、いやいやそんなことばかりじゃなくて人材育成の視点をいれてくれと――それはもちろん人材育成も大事なんですけれども――その基本とするところは年功序列や処遇本意をやめて業績をどれだけ達成するかとそういう観点でやってくれと書いてある所についてそういう質問が出てくる。非常に悠長な議論を展開しているな、という気がします。
その2 公務員は恵まれている」という認識がない
この資料を色々読ませて頂いて感じたのは、公務員の待遇についてどういう認識をもっておられるのかなということです。これは非常に重要なんですけれども、公務員の待遇って言うのはですね、私は、今現在ですね、非常に厚い待遇を受けている。非常に待遇が“良い”状況になっている。これは民間と比べてですね。
民間の世界では失業というのは当たり前です。みんないつクビになるかビクビクしています。そして、新しく就職する時にもですね、正社員になれるという人、これは物凄く数が減ってきて、むしろ非正規の方が当たり前だというくらいの非常に厳しい状況になっています。そういう風に民間の世界は大きく変わりました。
しかし、公務員の方はですね、制度的にはもちろん分限免職というのもあるんですけども、実際には絶対にクビになりません。降格はもちろん、給料もさがりません。年功序列でずっと給料が上がる。これは民間に比べて非常に優遇されているという風に考えるべきだと思います。給料は民間に準拠していますといいますけれど、そもそも去年と今年で上がったか下がったかというのを比べる時にクビになっちゃった人とか、あるいは潰れちゃった会社、そういうものは比較対象に入らない。本来、民間との比較であれば潰れちゃったというところは、給料はゼロになっているわけですから、そういう人達はゼロになったという風に考えるべきなんです
。
自分達は恵まれているんだという認識が無いんじゃないかなという気がしていまして、そのこと自体が非常に大きな問題だと思います。恵まれているっていうことさえわからない、そういう文化を変えていくことが非常に重要だと思っておりまして、そういう観点からこの条例で民間からも人材を登用しようということをいっておりますけど、この点は非常に重要だと思います。つまり公務員の文化を変えていくという意味です。公募というのはそのためには必要不可欠です。特に幹部職員を公募するというのは非常に重要なポイントだと思いますけども、これについてはこの総務部の方から出ている資料ではですね、非常に何というかネガティブな反応になっています。
文化を変えたくないというふうに思っているとしか思えないような質問も出ています。例えば『組織風土を熟知した、はえぬきの職員が一定数幹部ポストにつくことで組織の継続制が担保されるんだ』というようなことが書いてあるんですけど、これ普通の人が読んだらですね、驚くと思うんですね。今、変えようとしている時にですね、この組織風土を守ることが大事だということが平気で出てくるということ自体がわたしは非常に驚きだなと思いました。ちょっと全体的に辛口になって、府の職員の方には申し訳ないんですが、大阪府というのは他のところよりは色んな努力をされているかもしれませんけれども、しかし今何を議論しているかと言うと、どうやったらもっと良くなるかというのを議論しているので、あえて少し辛口でお話させていただいています。
その3 「公務の特殊性」って何?
それから次に、3つめのポイントとしてですね、公務の特殊性というのがあるんですね。必ずこれが出てきます。公務というのは民間の職務と違ってですね、いろんな所が違うんです、というんですね。成果が計りにくいとか、金もうけのためにやっているんじゃない、人のためにやっている仕事だとか。
もちろん違います。民間の仕事とは違うんですけども、特別なことをやっているということによって、色んな所を甘くしてもらって当たり前だと、いう所に繋がって行くんです。だから少しくらい待遇が良くても当たり前だと、俺たちは良い仕事をしているんだから高い給料をもらって当たり前だという意味での特殊性じゃなくて、自分達はこんなに面白い、良い仕事をさせてもらっているんだとそれが嬉しい、それが公務の特殊性だというのであれば、私はいくらそういう気持ちを持って貰ってもいいと思います。
公務がですね、民間の仕事と違うという点がもう1つあるとするとですね、「税金で養ってもらっている」ということですね。これは決定的な違いです。
このことをどんな場合にも常に一番に頭において考えなければいけません。もう1つ、ハッキリ認識しておく必要があることがあります。それは「競争がない」ということです。東京電力がですね、あれだけ優秀な人を集めて、高い給料を払っているけど、何であんな事故をおこしたのか。九州電力が何んであんなやらせをやったのか。彼らは民間企業なんですけれども、でもこれは公務と非常に似た性質をもっている。それは競争がないということなんですね。競争がないとこういうことになってしまいがちなんです。
その4 公務員改革はなぜ必要か?
公務員制度改革の真の必要性は何かということについて申し上げます。
よくですね、公務員改革というと給料下げろとか、人をクビにしろとかですね、そういう議論が出てくるんですけれども、もちろん無駄なことはどんどん削る必要がありますし、仕事もしないのに給料をもらっている人がいるとすればそれは下げなくてはいけません。だけど、それが本丸ではないということです。
公務員制度改革の本当の理由というのは、今回の基本条例の本当のやらなければいけない理由というのが、公務員が真に府民のために働く仕組みに変えると、それが目的だということです。橋本知事がいなければ、水道を民営化して新しいビジネスにしていこうという発想がなかなか出てこない、それが問題なんですね。そういうことが府の中から出てこないといけない。そういう独創的な政策を出せなくなっている。
変化を求められている時に、幹部というのは本当に居てもらう必要があるのか。これからはそういう独創的なアイディアを出して実施出来る、そういう人が求められていて、そういう人が昇進し給料も上がるようにしなくてはならないのではないでしょうか。逆に「そんなことは出来ないよ」という幹部であれば、それは給料が下がったり、降格されても仕方がないと思うんですね。これは民間では当たり前のことです。
そのために重要なのは評価です。しっかり評価をするということ。でも、この評価について、本当にネガティブな考えを持っていらっしゃるんだなというのがこの資料を読むと良くわかります。
例えば、「個別ポストの業績のみに着目すると 全体最適の人事異動が出来なくなる」とか、「あるポストで良い業績を上げたからといって、他のポストで出来るかどうかわからないだろう」とかなど。そんなの当たり前です。
だけど、だからといって評価をやめろということには全然ならないので、もし意見を出すのであれば、いや、評価をするのであれば、こういう評価の仕方にしたらいいんじゃないですか、360度評価を入れたらどうですかと、そういう積極的な意見が出てくるのであればいいんですけど、何か評価を否定する意見ばかりが出てくる。
ここら辺の文化を変えていかなくではいけないと思います。マスコミの方にもですね、是非報道して頂きたいのは、条例案の中身だけでなくこの総務部が作った論点メモとかですね、あるいは職員基本条例案の内容について687項目の質問が並んでいますけれども、そういったものをよく読んでいただいて、府がですね、どういう考え方を、府の職員がですね、持っているのかということをしっかり報道していただければ、もうちょっとバランスのとれた議論になるんじゃないかなという気がします。
その5 「全国の有為な人材を大阪に結集!」
一番大事なことなんですが、この改革というのは若い人達のための改革だということです。
それからもう1つは全国の有為な人材を大阪に結集するための改革だということです。
頑張った人が報われる、頑張った人が昇進して物事を実施する権限を与えられる。若い人でも頑張ればですね、どんどん色んな面白い仕事が出来る、人のための仕事が出来る、そういう仕組みにしていくということです。しかし、そのためにはですね、若い人を登用する登用するといっても、そのためのポストが空かなければ出来ないんです。そのポストを開けていくということ、そして、どんどん新陳代謝を良くしていくということです。このためにはやはり幹部をですね、入れ替えていくということが必要になります。
幹部を任期付きにする、あるいは公募にするというのは、そういう意味合いが非常にあるので非常に大事なんです。これについても、幹部ポストが任期付きになったら若い人はそんな怖いポストにつきたくないから優秀な若手が手をあげないんじゃないかという意見も出ています。そんなことを思っている幹部がいるとしたら、そういう人こそ早く退いてもらった方がいいなと思います。
民間の企業でも役員というのは任期付きです。でも任期付きで不安定だからといって「わたしは役員になりません」という若手がいるとしたら、そんな人は役員になる必要はない。要するに「府をこういう風に変えたい、府民のためにこういう仕事をしたい」強い気持ちがあって、アイディアがあって、それをやるためには権限がなければできませんから、だから幹部になりたい、そういう若手をどんどん登用してもらいたい。
それから民間人の登用についても同じです。ポストがなければ民間人は登用出来ません。
これから大阪では大きな改革が起きるでしょう。これは国では出来ない改革がたくさん入っているんですね、それぐらい面白い仕事です。松井さんや、橋本さんは命がけでやられるんだろうなという風に私は期待していますけど、それに期待している人は東京にもいます、全国にいます。だったら日本中から志が溢れる人達に集まってもらったらいいんじゃないでしょうか。そういうアイディアがこの条例には入っています。
東京がモタモタしている間に、霞ヶ関がモタモタしている間に、大阪がもっともっと新しい世界を切り開いてどんどん東京を追い抜いていくことだって夢ではないんです。そういう関西ドリームの鍵となるのが、この職員基本条例だという風に思います。
参考資料)
大阪府職員基本条例
http://www.tokyopressclub.com/2011/10/680.html [リンク]
そして最後に、府の職員の皆さんにお願いをしたいんですけれども、私は国の方で改革を唱えていました。ですけど、今の民主党にはそんなことをやる気もありませんし、やる能力もありません。私は今、国にいてもそういうことが出来ないと思って辞めたわけですけれども、大阪の公務員の方は非常に幸運だと思います。
何故かというと、橋本さん、松井さんという改革のリーダーに恵まれて「何でもおかしなところがあったら言ってくれ。変えようじゃないか」と言ってくれるそういうリーダーがいるんですね。そういうリーダーの元で働けるということは、こんなに幸せなことはないと思うんです。変化というものをどうしても人間は怖くなります。特に今のような世の中で、なんとなく先が見えないみたいなところでは変化は怖いんですけど、実は変わらないでいること、変化を恐れて自分を守る、そのために動かないでいることというのは、実は中長期的に見ればこれが一番危ないギャンブルなんですね。
もうその組織全体が崩壊するかもしれないんです。ですから、是非変わる勇気をもって頂きたい。大阪府にいらっしゃる公務員の方は能力もあるし、やる気もあるはずです。だから、変わるということに勇気を持って、是非大阪を変えて頂きたいですし、国にその模範を見せて頂きたい。
そして、全国の地方公務員の方々や、霞が関の公務員の方々、更には広く民間の方々にもお願いなんですけども、これから大阪が変わる、これを手伝ってみたい、という方々がいらっしゃったら、是非大阪の職員公募に応募して頂きたい。そして大阪を変える。大阪から日本を変える。そういう仕事に参加してもらいたい、そういう風に思います。それを可能にするのがこの職員基本条例だという風に思っております。
以上です。ありがとうございました。
[写真:深水英一郎撮影]
[資料提供:大阪プレスクラブ、東京プレスクラブ、編集協力:やまねこ軒さん]
トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。
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