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ガレージがオンとオフを切り替える ヨーロッパテイスト溢れる豪邸【edge HOUSE】

▲門から玄関まで続く石畳のアプローチ。美しく刈り込まれた芝のカーペット。電線のない空間愛車のために十分以上に確保されたスペース。すべてが日本離れした垂涎の空間だ

▲門から玄関まで続く石畳のアプローチ。美しく刈り込まれた芝のカーペット。電線のない空間愛車のために十分以上に確保されたスペース。すべてが日本離れした垂涎の空間だ

シンプルで美しい異国情緒溢れる家|建築家・新井 透(グリーンアンドハウス)

ヨーロッパの田園風景の中に迷い込んだかのような、そんな錯覚に陥った。門から建物までのアプローチには天然石が敷き詰められ、その左右には丁寧に刈り込まれた芝生が美しい緑を輝かせている。今回ご紹介するI邸は、広大な敷地に建つ異国情緒溢れる佇まい。正面から観察すると建物は3分割してあり、中心にガレージスペース、向かって左側が住居棟、右側がオフィス兼倉庫棟というレイアウト。建物の中心部分に、3台が並列するガレージスペースを設けていることからも、車への愛着が見てとれる。

場所は埼玉県深谷市。関越自動車道の花園インターチェンジからほど近い住宅街で、周辺には農家が多く自然豊かな環境。すぐ裏手に神社があるせいか、どことなく厳かな雰囲気が漂う。門からアプローチを進んでいくと、まるでテーマパークにでもいるような気分に浸れ、敷地全体から非日常が味わえるような、じつに羨ましい空間。建物自体のデザインはもちろん、広大な敷地を有効に使ったゆとりあるレイアウトが、より異国感を増幅させているという印象だ。ここには、施主であるIさんの「海外のガレージハウスのような趣にしたい」という強い思いが詰まっている。

設計を担当したのは建築家の新井 透さん。Iさんと新井さんとが出会うきっかけとなったのは、Iさんが偶然新井さんの作品を目にしたことに始まる。以前からIさんが思い描いていた住宅と新井さんの作品のイメージが合致し、まさに「ひと目惚れ」したという。その後、新井さんが手掛けた住宅を実際に内覧し、自邸を設計するにあたりイメージをリアルなものにしていったようだ。

ところが、いざ設計を依頼することを決心した段階では、多忙な新井さんが着手できるまで3年待ちという状態。しかし他の建築家は視野になかったIさんは、長期間待つことを覚悟して設計を依頼。実際には竣工まで約2年待ちだったようだが、その間もIさんの自邸に対する想いは強くなっていくばかりで、自身の理想を現実のものとするために努力を惜しまなかった。外出先で印象的な住宅を見かけたら写真を撮って記録に残したり、新たなイメージが湧いたときには忘れないうちにスケッチに落とし込むなど、時間をかけて理想を形にしていった。このような積み重ねによって、

「設計に着手した当初からIさんのイメージが明確だったので、設計プランは比較的短期間で提案できました」と新井さんが言うほどスムーズに進んだという。実際には、ヒアリングを含めて3回程度の打ち合わせで着工できたらしい。

写真をご覧になっておわかりのとおり、I邸には電線が存在しない。外国の雰囲気を感じさせる要因のひとつともなっているが、じつはこれもIさんの希望による。シンプルさを追求するIさんの「外観上建物にかかる電線はデザインを損なう」という理由から、敷地の片隅にアンテナ塔を設置。電線を地下に埋設することで、徹底して見栄えにこだわったのだ。

愛するものに囲まれた優雅な生活

そんなこだわりは、もちろんガレージにも反映されている。格納されるラインナップはGクラスを中央に、左右にスマートブラバスとEクラス。ガレージ内部は1台ずつ柱壁によって仕切られていて、1台分のスペースは幅約3.2m、奥行き6m以上と贅沢なほど十分なもの。フロアや壁面は上質な素材で構築されるとともに、オーバースライダーには自然光が取り入れられる窓が設けられているので、ガレージにありがちな冷たく無機質な雰囲気は皆無。もはやガレージというよりも「愛車のための家」と表現しても大げさではないほどだ。3台のうち、とくにGクラスに対してIさんは強い思い入れがあるという。

「長い歴史を経ても変わらないGクラスの普遍的なデザインが好きで、いつかは手に入れたいと思っていました。家も同様で、長く住むためにシンプルさを求めたのです」と、Iさんが家に対して抱いている「シンプルでよいもの」というイメージがGクラスのキャラクターに合致したことを教えてくれた。当然、ガレージの設計段階ではGクラスが収まることを前提にしている。

Iさんにとってガレージは車をいじるための空間ではなく、眺めて暮らすことが目的でもなく、かといって単なる駐車場でもない。自らが厳選したものを身近に置き、生活の動線上でつねに触れられる空間。そんなイメージだろうか。

前述のように、ガレージスペースを中心に住居棟とオフィス棟に分かれているが、どちらへもガレージ内からのアクセスが可能。その様子を見ると、ガレージの存在がオンとオフとを切り替える役目を果たしているようにも思える。そのため居住棟側にはI夫人専用のスマートブラバスが置かれ、オフィス棟側にはビジネスシーンで活躍するEクラスが収められている。そして、念願かなって入手したGクラスがその中心で堂々たる存在感を放っているというわけだ。

美しい庭は、290坪という敷地の約半分を占める。芝は週に1回、Iさん自ら芝刈り機を使って念入りに手入れをしているそうだ。裏庭には将来的に家庭菜園にするためのスペースを設けてあり、「時間にゆとりができたら野菜作りにも挑戦したい」とI夫人は今後の楽しみを語ってくれた。現在Iさんは、夫人と愛犬との2人+1頭暮らしで、仕事の大部分を子息に引き継ぎ、隠居生活をスタートさせたところだという。

愛するものに囲まれ、シンプルさと上質さを巧みにバランスさせた優雅な生活は、今始まったばかりだ。

▲ヨーロッパ郊外にある領主の館……という趣。ガレージを邸の中央に設けていることから、どんな車が収まっているのだろうと期待が膨らむ

▲ヨーロッパ郊外にある領主の館……という趣。ガレージを邸の中央に設けていることから、どんな車が収まっているのだろうと期待が膨らむ

▲いつかは乗りたい……そう思っていたGクラスを中央に、Eクラスとスマートブラバスが並ぶ

▲いつかは乗りたい……そう思っていたGクラスを中央に、Eクラスとスマートブラバスが並ぶ

▲オーバースライダーは1台分ずつ設置。車同士の隙間も十分以上にとってあるため閉塞感は皆無だ

▲オーバースライダーは1台分ずつ設置。車同士の隙間も十分以上にとってあるため閉塞感は皆無だ

▲ガレージ内は天然石の床材とオーク材を用いた壁面で構成されている

▲ガレージ内は天然石の床材とオーク材を用いた壁面で構成されている

▲1階と2階にはドアなどの仕切りを設けず、すべてひとつの空間として繋がっている。「冬場はストーブとエアコン1基ですべてまかなえたのには驚きました」とI夫人。気密性が高く住み心地は格別だという

▲1階と2階にはドアなどの仕切りを設けず、すべてひとつの空間として繋がっている。「冬場はストーブとエアコン1基ですべてまかなえたのには驚きました」とI夫人。気密性が高く住み心地は格別だという

▲ダイニングルームとリビングルームも、ご覧のとおり仕切りがなく連結している。つねに人や愛犬の気配を感じながら、穏やかに暮らせる空間だ

▲ダイニングルームとリビングルームも、ご覧のとおり仕切りがなく連結している。つねに人や愛犬の気配を感じながら、穏やかに暮らせる空間だ

【施主の希望:期待以上の対応と丁寧な作業に感銘を受けた】

■3台収容できるガレージスペースが欲しいということと、住居とは別にオフィス兼倉庫が必要である。具体的な希望はそのぐらいで、あとはすべて新井さんを信頼してお任せしました。よりよいものにするために、と急遽デザインの変更をしてくれるなど、新井さんをはじめスタッフの皆さんによる細部にまでこだわる丁寧な作業や臨機応変の対応には感銘を受けました。おかげさまで、理想の住まいに仕上げていただくことができました

【建築家のこだわり:経年変化の楽しみも残した、こだわりの手作業】

■Iさんの住宅に対するデザインやコンセプトが明確でしたので、こちらからプランを提案する際にもスムーズに運びました。ですので、とくに難しかった点もないぐらい順調だったのですが、工夫した点は内外の壁をすべて手塗りとしたり、門回りの塀はモルタルで盛って手作業で彫る…という特殊作業を施したことです。われわれが得意な手作りによるI邸ならではの特別感を出していますので、時間が経てばエイジング効果が出てきますよ

■主要用途:専用住宅

■構造:ツーバイフォー構造

■敷地面積:973平米

■建築面積:172平米

■設計・監理:グリーンアンドハウス/新井 透

■TEL:0494-23-3849

【関連URL】

グリーンアンドハウスtext/菊谷 聡

photo/木村博道

※カーセンサーEDGE 2016年10月号(2016年8月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています

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