冷温停止宣言受け「統合対策室」廃止 細野原発相「常に配信したニコ動に感謝」
福島第1原発の「冷温停止」宣言を受けて政府と東電は2011年12月16日夜、「政府・東電統合対策室」の廃止を発表した。廃止を発表した会見で細野豪志原発担当相は、統合対策室の会見中継を続けてきたニコニコ動画に対し「協力に感謝を申し上げる」と述べた一方、廃止により総合的な情報の入手ができなくなるという指摘については、「一区切りつけることを理解いただきたい」と理解を求めるにとどまった。
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この日の統合対策室の会見では、細野原発相が統合対策室の廃止とともに、今後東電や保安院の個別会見は続けていくことを発表。あわせて「統合対策室」に代わり、新たに廃炉に向けた取り組みなどをおこなう「政府・東京電力中長期対策会議」を設置することも明らかにした。
こうした発表に対して、ニコニコ動画の七尾功記者から「会見を閉じることは、総合的な情報を入手することができなくなる点において、情報の隠蔽と言われても仕方がない」と指摘されると、細野大臣は「ニコニコ動画を通じて常に配信をしていただいていることに感謝を申し上げる」と述べた上で、
「七尾さんが言ったようなことを達成するために努力をしてきたが、ここで一区切りすることについては、ぜひご理解をいただきたい。もちろん情報発信なり、皆さんのご質問に答える体制自体はしっかりとこれからも強化していかなければならない。そこはいろいろ皆さんのご意見もあるだろうから、最大限応じることができるような個々の会見というものを目指していきたいと思っている」
と答え、個別の会見での対応に理解を求めた。
冷温停止宣言を受けた政府や東電の動きには、冷ややかな視線を送るジャーナリストが多い。直前におこなわれた官邸での会見では、冷温停止宣言をした野田首相に対して、記者たちから説明不足だと疑問を呈する声が上がっていた。また、統合対策室の会見でも、政府や東電の対応に疑問を持つ記者たちからの質問が止まらず、4時間以上に渡って会見がおこわれていた。さらに、統合対策室の会見を東電の西沢俊夫社長が理由を語らず途中退席したことに対して、記者から「国民をばかにしている」といった不満の声が上がる一幕もあった。冷温停止宣言がされ、政府は「除染・賠償・健康管理」といった3点に注力していくことが既に発表されているが、あわせて情報開示の課題も残されている。
■細野原発相とニコニコ動画・七尾記者とのやりとり
七尾記者: 4月の初会見で、細野さんは「私を信じろ」と言った。また情報の透明性をはかるとも言った。そうしてこの会見が始まった。事故の全貌がまだわからない、まだ燃料がどこにあるのか、完全に放射性物質が抑制していないなかで、総合的な情報を入手することができなくなる点において、こうした会見を閉じるということは、見方を変えれば情報の隠蔽と言われても仕方がないと思う。
大臣を信じるためには、個別の情報よりも総合的な情報の入手と検証が必要になる。この会見は、毎回4万から5万の国民が見に来ている。一部の記者だけを見て判断するのではなくて、国民のニーズこそ見ていただきたいと思う。個別ではなく、総合的な情報を知りたいという国民のニーズについてどう思うか。
細野原発相: 特にニコニコ動画の画像を通じて常に配信をしていただいていると思う。そういう意味でご協力をいただいたことに感謝を申し上げる。4月にこの会見を始めたときは、私が一元化をしてしっかりとお知らせすべきだと思った。それぞれ別々に会見をしていたので、一元化することに対していろいろ意見があったのだが、これはやろうということで実行した。
私が閣僚になってからは、なかなか毎回この会見に出ることはできなくて、むしろたまにしか出られなくて申し訳なかったのだが、そこはバトンを園田政務官に引き継いで、ここまで会見を続けてくれた。そういう意味では常に七尾さんが言ったようなことを達成するために努力をしてきたが、ここで一区切りすることについては、ぜひご理解をいただきたい。
もちろん情報発信なり、皆さんのご質問に答える体制自体はしっかりとこれからも強化していかなければならない。そこはいろいろ皆さんのご意見もあるだろうから、最大限応じることができるような個々の会見というものを目指していきたいと思っている。
七尾記者: 新しい体制でも週2回とまでは言いませんが、開催が必須だと思う。でないと、今まで細野大臣や園田政務官が国民に対して情報の透明性をはかるということを、何かここで少し否定しているという感じも持ちます。これは私が判断するのではなくて、国民が判断することだとは思いますが、今後前向きな検討をお願いしたい。
◇関連サイト
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(丹羽一臣)
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