カカオ豆を1個ずつ選別!? チョコ専門店「マジドゥショコラ」のこだわりがスゴイ
最近よく聞く言葉、”ビーントゥバー“の意味をご存知ですか? 英語を直訳すると“カカオ豆(Bean)から(to)店のカウンター(Bar)へ”という意味で、カカオ豆からチョコレートまで製造する全工程をショコラティエ(チョコレートを作る職人)が管理するという意味です。頭では理解できていても、カカオ豆からチョコレートまでの全工程って実際に見てみないとピンときませんよね?そこで今回は、先日12月17日に自由が丘にオープンしたばかりのチョコ専門店『MAGIE DU CHOCOLAT マジドゥショコラ』の工房に潜入し、“ビーントゥバー”の工程と今話題の“ブロンドチョコ”について取材してきました!
■“ビーントゥバー”基本の工程
(1)カカオ農園と“ダイレクトトレード”『マジドゥショコラ』のショコラティエでオーナーシェフでもある松室和海さん(写真下)は、約20カ国のカカオ農園からカカオ豆を直接買い付けています。「カカオ豆はとても繊細な生き物です。生産者が生育・発酵・乾燥などの工程をその年その時期によって変化する条件に対応し、丁寧に行うことでおいしいカカオ豆が作られます。そんな難しいカカオ豆の生産において信頼できるカカオ農園を選ぶことが最も重要です」と松室さんは力説します。
しかし、発展途上国にあるカカオ農園では多くの子供たちが学校に行くことをあきらめ、家計を助けるために働いているという現状……。“フェアトレード”はそういった現地の生産者・労働者が公平な取引を受けられるよう作られた国際的な運動ですが、実情はたくさんの業者が輸入元と現地の生産者の間に入っており、生産者・労働者がビジネスの恩恵をうけていない場合もあるそう。松室さんは「農園の人々に少しでも豊かに、そして笑顔になってほしいという願い」から“ダイレクトトレード”という形をとり、カカオ農園の生産者と直接貿易を行っています。
(2)カカオ豆の選別 カカオ豆が輸入された後、カカオ豆の選別をショコラティエが行います。『マジドゥショコラ』では、全ての豆を大体3つのサイズに手で仕分けしていきます。ここまでする理由は、豆のサイズにバラつきがあると焙煎するときに小さな豆のほうが火が余計に入ってしまい、焼きムラがでるのを防ぐためなんです。ちなみに通常のチョコレート製品は大きなカカオ豆のサイズに合わせて焙煎しているので、小さなカカオ豆の風味が損なわれているのだそう。
(3)カカオ豆の皮をむき、焙煎 機械にかけてカカオ豆の皮をむきますが、小さな豆の皮はむきにくいため手で皮をむくことも多々あります。
(4)カカオ豆を液体状になるまで粉砕する フードプロセッサーのような機械で皮をむいたカカオ豆を液体状になるまで1時間ほど粉砕します。カカオ豆の油分がにじみ出て液体チョコレートのようなテクスチャーになります。
(5)石うすで粉砕したカカオ豆を挽く さらに電気石うすで液体状になったチョコレートを3日~1週間ほどかけて挽きます。金属製のうすを使うとまさつ熱でチョコレートの香りがとんでしまうので、松室さんは石うすを使っているのだそう。カカオ豆からチョコレートまでの生産工程は、なんと10日間もかかるのだとか! チョコスフレだと1日、ブロンドチョコレートだと1週間ほどの賞味期限しかないのに、ここまでこだわっているなんてスゴイですね!
■そもそもカカオ豆ってどんな風味?
チョコになる前のカカオ豆を見たことがない方も多いですよね? 写真上がカカオ豆。皮をむいてかじると、ナッツのような食感です。アプリコットのようなフルーティーなテイストにえぐ味がプラスされているような、ちょっと苦い味ですっぱい香りがします。「カカオ豆は違う種類はもちろん、同じ土壌で育った同じ種類のカカオ豆でも味が違うんですよ。砂糖を少し加えるだけで、香りや風味がまろやかになって個々のカカオ豆のよさが引き立つんです」と松室さん。実際に粉砕したカカオ豆をまず食べてみて、その後、甜菜糖と一緒にカカオ豆を食べて風味の違いを比較してみました(写真下)。 甜菜糖とカカオ豆を一緒に食すると“えぐ味”がなくなりまろやかな味変化したのに、オドロキ!「カカオ豆の個性が引き立つように焙煎時間や砂糖の量を決めているので、私には定番のレシピがないんですよ」と松室さん。毎年カカオ豆の風味は違うので、カカオ豆が輸入されてからレシピが完成するまで、半年ほどかかることもあるそう! 味には絶対に妥協しない情熱に脱帽です!
■世界初カカオ豆コーヒー!?
カカオ豆をこよなく愛する松室さんが開発したのは、“カカオ豆コーヒー”。カカオ豆とコーヒー豆を挽いたものを2層にして、コーヒーを抽出したものです(写真上 左がコーヒー豆、右がカカオ豆)。写真下がカカオプレッソ(カカオ豆コーヒーのエスプレッソ)ですが、カカオ豆の油分で口あたりがとってもイイ! まろやかなのにカカオ豆の酸味が効いて、かなり個性的な味でした。酸味や渋みが強いコーヒーが好きな方にオススメです。
■2017年バレンタインオススメ! “ブロンドチョコ”
今大ブームのブロンドチョコは第4のチョコレートともよばれ、フランスのメーカー『ヴァローナ社』が“うっかり”開発したもの。ホワイトチョコ製造中になぜかブロンド色の美味しいチョコに変わっていた経験を基に開発されたそうです。 写真上は松室シェフオジリナルのブロンドチョコ『NO.4』ですが、本当にキャラメルのようにソフトで美味しい! でもキャラメルよりもどこか香ばしいカカオ豆のコクが加味されている不思議なチョコレートなんです! ミルクチョコやホワイトチョコとも異なるブロンドチョコ、2017年のバレンタインにぴったりですよ。
松室さんのオススメは生チョコスフレの『マジドゥショコラ』(写真上)。カカオの素の風味が生かされたとろける生チョコと、クッキーがさくさくとしているのにふわっとしたミステリアスな食感の黄金コンビは、洋菓子の域を超えたスイーツと言えるでしょう。
ほかにも、『抹茶のテリーヌ』(写真上)や『マジ ド カカオ』(写真下)など、パンや和菓子にも造詣が深い松室さんだからこそ完成した焼き菓子がユニークで絶品でした!
来るクリスマスや年末年始の手土産に、来年のバレンタインにと喜ばれること間違いなしですよ! 『マジドゥショコラ』にはイートインコーナーもあるので、こだわりにこだわったチョコを味わって下さいね。
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