「障害者差別解消法」から8カ月、企業に義務化された”合理的配慮”とは?

 「あなたはこれまで、『障害者』と呼ばれる人と知り合ったり、接したりしたことがありますか?」

 こんな書き出しで始まる書籍『今日からできる障害者雇用』。本書によれば、今年4月、「障害者差別解消法」施行に伴い「障害者雇用促進法」が改正され、障害者が働く上での困りごとを改善する「合理的配慮」の提供が企業の義務となりました。

 同法の施行を受けて、社会的にも障害者雇用が推進されていますが、その一方では心理的不安や負担感を感じる人が少なくないのではないでしょうか? 本書では、そんな不安や懸念に対して以下のように述べています。

 「怖さ、不安感、負担感の原点は、知らないことです。障害のある人のことを知ってしまえば、また、知ろうとする気持ちがあれば、そうしたマイナスのイメージをなくすことができます。まずは、やってみようという思いさえあれば大丈夫です」(本書より)

 本書では、「障害者を雇用するメリットは?」「職場でいじめが起きたらどうするか?」「職場で恋愛トラブルがあったら?」など、初めて障害者と接する人が抱く疑問を、わかりやすいQ&A形式で徹底解説。

 編著者の1人、大胡田誠(おおごだ・まこと)さんは、自身が12歳で失明した視覚障害の当事者であり、苦学の末に司法試験を突破したという、本邦で3人目の全盲の弁護士。その半生を綴った『全盲の僕が弁護士になった理由』(日経BP社刊)は、2014年に松坂桃李さん主演ドラマの原案となり、大きな反響を呼びました。

 大胡田さんはじめ”障害者雇用のプロ”が、今日からすぐ使えるノウハウをまとめ、就労問題にとどまらず、障害者それぞれの特性についても丁寧に説明した本書からは、合理的配慮さえあれば、障害を持つ人々は企業で活躍できる人材であり、社会を構成する労働者の一員であることが伝わってきます。本書を読み終えた後には誰しも、「障害者」に対するイメージが一変するのではないでしょうか。

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