日中トイレ文化考

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在日中国人向けメディア『日本新華僑報』が日本のトイレ文化についての記事を掲載しましたが、それを『中国新聞網』が転載しており*1 、なかなか面白かったので、これについて少し。

*1:「日本マスコミ:日中”トイレ文化”の差異と交流」2011年11月26日『中国新聞網』
http://china.huanqiu.com/eyes_on_china/economy/2011-11/2209412.html

1 日本のトイレ文化

私も知らなかったのですが、11月10日はトイレの日で、元々の記事はこれを踏まえて書かれたもののようです。日本はトイレに対する独特の思い入れがあり、“トイレ文化”を有しており『トイレの日』『トイレの神様』『日本トイレ協会』まであるという記述から始まっております。

ちなみにインターネットで調べたところ、11月10日が『トイレの日』というのは「い(1)い(1)ト(10)イレ」の語呂合わせで、日本トイレ協会が1986年に制定した日だそうです。確かに日本には八百万もの神様がいるので、トイレにも神様がおり、妊婦がトイレをきれいに掃除をすると、健康で美しい赤ん坊が生まれるという伝承を聞いたことがあります。

この記事によると、日本人は国内だけでは満足せず、この『トイレ文化』を海外にも推し進めようとしているそうです。その証拠として2010年の『上海万博』で未来のトイレが展示されていたことや、横浜でトイレの国際フォーラムが開催され、留学生などが参加したことを挙げております。

これについては、単にTOTOが中国における輸出拡大を狙っただけではなかったのか、トイレ以外にも日本では数多くの国際フォーラムを開催しているが、それとも同じく海外進出を目論んでいるのか等、いろいろつっこみどころ満載ですが、とりあえず先に進みます。

2 日中トイレ文化差異

トイレ文化の“差異”という標題どおり、日本と違う中国のトイレ事情の説明も行っております。何でも日本人が中国に来て最も耐え難いのは公衆便所で、ドアがない、紙がない、隣の人はいきなり「ご飯食べた?」と聞いてくる(因みにこれは中国の通常の挨拶用語ですが、トイレで使うのはどうかとこの記事は言いたいようです)。
したがって、添乗員はホテルの中でトイレを済ませておくようにというしかないとしております。

さて次は中国人が見た日本のトイレ事情ですが、これによると、日本はかつて世界第二位の経済大国だったにもかかわらず街中に公衆便所が少ないのはどういうことだ、と指摘しています。

その結果トイレを探すのが間に合わなくなり、立ち小便をする者が多く、「立ち小便禁止」の張り紙が至る所にあり、何故日本ではこうした“下品な行為”が、いまだに続いているのか理解できないと続きます(これについては後述)。

またトイレットペーパーの処理の違いも大きな問題としております。中国ではトイレが詰まってしまうため、備え付けのゴミ箱に捨てるのですが、日本に来たばかりの時はゴミ箱がなくトイレットペーパーをどう処理したらよいかわからなかったという体験談を記載しています。

3 日中トイレ文化交流

最後に日中トイレ文化交流についてですが、中国のトイレも大都市では既に昔とは全く異なっており、この30年で最も変わったものの1つといってもいいのではないかと述べています。これは私も異論はなく、以前の近づきたくもなかった公衆便所からみるとかなりマシになっております。そしてその過程で日本から多くのものを学んだと続きます。

それに対して日本が中国から学んだものの1つとして、日本は中国の経験を活かして、駅、公園、デパートなど公共の場にトイレを設置するようになり、表示の国際化も進み、日本語だけではなく、英語、中国語、ハングルなども並記するようになったと書いてあります。

日中文化交流ということで、日本が何も中国から学ぶものがないということに危機感をおぼえたのでしょうか。少し度が過ぎると感じました。先に指摘されているように、確かに中国人にしてみれば(かつての)日本人の立ち小便は理解しがたいことのようですが、思うにこれは習慣であって、公衆便所の数とはあまり関係がないように思います。

実際この行為は基本的に男性しかしませんし、以前では近くに公衆便所があっても“開放感”うんぬんといって外ですることを好んでいただけかと思います。また、この記事を見ると、以前の日本の駅や公園には公衆便所がなかったかのような書き方となっておりますが、そんなことがないのは周知のことではないでしょうか。

それに、日本語がわからない外国人の方のために、ピクトグラム(絵文字)を用いたのは1964年の『東京オリンピック』の時ですが、1970年の『大阪万博』においてトイレの男女別のマークが発案され、その時以来使われるようになっています。
外国語の並記は最近のことかもしれませんが、これを見ても公共の場にトイレが少なかったというのは不自然な説明であることがわかります。また、この記事の冒頭の指摘によると日本は“トイレ文化”を重視しているはずなのに、その日本が公共の場にトイレを設置しないのは論理矛盾を起こしているような気がしてなりません。

画像引用元:flickr form YAHOO
http://www.flickr.com/photos/[email protected]/5863763450/

※この記事はガジェ通ウェブライターの「凜」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
 ブログ『政治学に関係するものらしきもの』を運営しております。
 専門は国際政治(主に日中関係)で、博士課程中退(正式に手続をとったわけではないのですが、たぶんそうなっているでしょう)。  ただ、基本的に雑食系ですので、特に専門にこだわらずにやっていきたいと思っております。

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