11月30日は「ゲゲゲ忌」! 作家・京極夏彦が明かす、水木しげる秘話
昨年2015年11月30日に93歳で生涯を終えた、漫画家の水木しげるさん。水木さんに名誉市民の称号を贈っていた調布市では、命日を「ゲゲゲ忌」に制定し、記念事業を実施。『ゲゲゲの鬼太郎』の棲家があったという設定の布多天神社(ふだてんじんじゃ)をはじめ、水木さんにゆかりの深いスポット11カ所をめぐるスタンプラリーを企画するなど、盛りだくさんの追悼イベントを開催しています。
水木さんの論考を収録した『別冊 怪 追悼・水木しげる 世界妖怪協会 全仕事』は、世界で唯一の季刊妖怪マガジン『怪』に掲載した原稿を、1997年の創刊時からまとめた1冊。
『怪』創刊にも深く関わった、ミステリー作家の京極夏彦さんも追悼寄稿を寄せていますが、創刊時のエピソードとして、京極さんの『巷説百物語シリーズ』執筆のきっかけや、水木さんの意外な一面についても明かしています。
それは、京極さんが水木プロダクションを訪れた際のこと。水木さんが京極さんに向かっていきなり、以下の一言を言い放ったことがあったそうです。
「あんた、整理整頓が得意デスな」(同書より)
現在でこそ「趣味は整理整頓」と公言している京極さんですが、当時はまったく自覚していなかったと言い、ほぼ初対面にも関わらず瞬時に人の性質を見抜いた水木さんの眼力に、驚きを隠せなかったと振り返っています。
また、同時期に「あんた、絵も描けるネ。うちに来ませんか」(同書より)と水木プロに勧誘されたこともあった京極さん。しかし、その時すでに小説家デビューが決定していたため、泣く泣く固辞。もしこのとき水木プロに入社していたら、のちの直木賞作家・京極夏彦は誕生しなかったかもしれません。
京極さん以外にも、荒俣宏さんや宮部みゆきさんとの対談や、ノンフィクションライターの足立倫行さん、大泉実成さんによる道中記をはじめ、単行本未収録の紀行文も多数収録し、さらに今年1月31日に青山葬儀所にて行われた「水木しげるサン お別れの会」レポートまで掲載した同書。水木さんの代表作『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』で育った世代にとっては、見逃せないものとなっています。
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