エリートが活動を阻害!? 東日本大震災ボランティアの実情

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藤代裕之氏

 ITによる東日本大震災からの復興策を議論する「IT復興円卓会議」の第5回会合が2011年12月1日に都内で開かれ、ニコニコ生放送で中継された。今回のテーマは「ボランティア」。ジャーナリストの藤代裕之氏らが出演し、震災復興における官と民との協力関係のあり方などを議論した。 

 東日本大震災以降、ボランティア情報のマッチングに取り組んでいる藤代氏。会合で、活動の反省と教訓を求められると、「ボランティア保険に加入するためには、ボランティアは社会福祉協議会で保険料を払わなければいけない」ことを引き合いに出し、「行政がボランティアをしっかりと握り、巧妙にコントロールできる仕組みがある」と問題点を指摘。その上で、「(こういう制度を)打破していかないと、いくらITが良いものを作ってもダメだ」と語った。

 また藤代氏によると、阪神・淡路大震災と比べて東日本大震災のボランティアの人数は「(最初の)2ヶ月で3分の1」だったという。その減少の理由について、藤代氏は「阪神・淡路大震災(のボランティア)経験者が『行くな』と止めている」からだとした上で、

「阪神・淡路大震災の(ボランティア)経験者は、この20年の間に”エリート”になった。いろんな政府の役職や自治体の役職やっている」

「『パニックになる』と言う人が(官僚などの)”エリート”だとすれば、彼らが今回のボランティア数が少ない大きな要因だ。ボランティア団体・NPOこそが実は大きな問題だったのではないか」

と語り、行政組織に飲み込まれたNPOの問題点も指摘した。

 「今行くと、(被災地の人に)迷惑だから」――。自身も何度もこのような言葉を掛けられたと話す藤代氏は「『~を○○で行くな』という考え方こそ、間違っている」と主張する。藤代氏は、「初期の一週間はとにかく被災地に行っていい。それぞれの工夫をもってやっていけば、貢献ができる。そこで、いろんなコミュニケーションが起きて、コラボレーションが起きてやっていくのが大事だと思う」と語り、今後への教訓としていた。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 藤代裕之氏が語る行政とNPOの問題点から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv72204163?po=news&ref=news#1:12:18

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科・上杉類)

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