「ネイティブ広告ハンドブック」騒動に思う、広告業界と消費者の壁。

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2016-11-10_124551

面識はないが個人的に大好きなWEBライターがいる。その彼が荒ぶっていた。
この度広告業界の立派な集まりから発表された「ネイティブ広告ハンドブック」についてである。

ネイティブ広告ハンドブック
http://www.jiaa.org/download/JIAA_nativead_handbook.pdf

といっても彼はハンドブックの内容に荒ぶっているのではない。このハンドブックに対する意見を述べたところ、広告ギョーカイの偉い人たちに素人扱いされ失笑されたことにより怒っているのだ(たぶん)。
詳しくは彼のエントリーを見ればわかると思う。
http://yoppymodel.hatenablog.com/entry/2016/11/10/111014

この騒動の根本はただ一つ“送り手と受け手の温度差の理解不足”である。
ネイティブ広告ハンドブックに書いてあることを超要約すれば「受け手にとって有益な情報を有益な場所に置いておきましょうね。」ってことなのだが、ギョーカイ人の僕が読んでいてもわかる。長い。
PDFにして50P弱、文字数4万。卒論か。
でも中身はとってもいいことが書いてあって、今すぐギョーカイ人は一言一句落とさずに読むべきだと思う。いや全てのクライアント、ライター、デザイナー、広告に関わる人間は絶対に読むべき内容であることに間違いはないのだ。

ただその内容がモニタ越しに見るにはとても重くて、すっかり眼が乾いてしまった。
これが本来の使用用途として考えられるような、出力したものに偉い講師が説明を加えていく。といったものであればそれは大変有益な資料であろう。
つまりここに“送り手と受け手のギャップ”が生じている。
ハンドブックを作った方々は、この資料を出力での読み物として想定した。そして“良かれと思い”PDFとしてWEB上に公開。
ただそれを見たWEB上の人間、受け手たちはこれを「読みにくい」と感じその思いをそのままWEB上に吐露した。作った人は「リテラシーのない奴ら」と罵り、罵られた受け手もまた「リテラシーのない人たち」と、泥試合になってしまったのだ。

ギョーカイで飯を食っている人間として、この問題は他人ごとではない。
僕たちは伝えたいことを形にしてアウトプットする。しかしそれが受け手の求めている情報でなかったり、過剰梱包されていることが往々にして発生しているのだから。

“1億総発信者”とも言える時代。一つのばかばかしい投稿で何十万と再生数を稼ぐ学生もいれば、渾身の論文が関係者の目にしか留まらない教授だっている。
我々はギョーカイ人は、プロとして受信者に合わせた発信を心がけていかないと思う今日この頃である。

過去に比べれば、情報を受け取る回数も、場所も、議論するチャンスも遥かに増えているのだから。
受信者はバカじゃない。そうやって自分に必要な“ネイティブな情報”を取捨選択して行動しているのだ。
送り手と受け手の壁、広告業界と消費者の壁をまずは発信者からなくさないと、いつまでたっても独りよがりなギョーカイになってしまうことを危惧している。

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(執筆者: ぶらっくまぐろ) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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