「後期中年」の適度に枯れた毎日にたぶんちょうどいい、「後期ボルボ C30」という選択

▲現在販売されているボルボ V40の前身にあたるC30。その後期型がいいあんばいで安くなってきているのですが、それっておそらく40代後半以上の人にはかなりジャストな選択なのではないかと思う次第です

▲現在販売されているボルボ V40の前身にあたるC30。その後期型がいいあんばいで安くなってきているのですが、それっておそらく40代後半以上の人にはかなりジャストな選択なのではないかと思う次第です

欲しいのはパンチの利いた車ではなく「上質な小型車」

世の中に「後期高齢者」という失礼な用語はあっても、「後期中年」というオフィシャルな用語はない。まあ「中年後期」という言葉はそれなりに使われているようだが、いずれにせよ齢四十八の筆者は最近、まさに「後期中年」という造語が当てはまるようになった気がしている。老眼は進み、運動神経や反射神経は日々衰え、金を稼いだり「有名になってやるぜ!」みたいな野心も減少。状況さえ許せば明日からでもシブい隠居暮らしを始めたいほどだ。

そういった心身の衰えに伴い、車趣味の方もこれまでの「スポーティでパンチの利いた、それなりのサイズ感がある何か」ではなく、「衰えた目や運動機能でも運転しやすい、小ぶりで落ち着いた何か」にボチボチと長く乗りたい気分へとシフトしてきている。ご同輩の何割ぐらいがこういった気分に共感していただけるかは不明だが、決して少なくはない数の人が「実はオレも最近、ちょっとそんな気分なんだよね」と言っていただけるのではないかと推測している。

とはいえ決して完全に老人化したわけではないので、それなりに洒落っ気のようなものがある車に乗っていたいとは思う……という我ら後期中年世代にぜひオススメしたい1台が、ボルボ C30、それも2010年2月以降のいわゆる後期型だ。それが今、なかなかお買い得な相場になってきたのである。

▲こちらが後期型のボルボ C30。2010年1月までの前期型と比べると程良くファッショナブルなフロントマスクに変更されているのが大きな特徴

▲こちらが後期型のボルボ C30。2010年1月までの前期型と比べると程良くファッショナブルなフロントマスクに変更されているのが大きな特徴

なかなかの好条件車を車両100万円前後で検索可能

ボルボ C30とは、07年7月から12年12月まで販売されたボルボのプレミアム・コンパクト。デビュー時のコンセプトは、活動的なライフスタイルの若年層に加え、子育てを終えて自由な時間を持つ「エンプティ・ネスターズ(子離れ夫婦)」と呼ばれる世代の人々に最適な1台というものであった。どちらかというと、その落ち着いたたたずまいと乗り味は「若年層」ではなく「エンプティ・ネスターズ」の方にお似合いかも……と、発売当時ギリギリ30代だった筆者は感じた。つまり「なかなか上質なたたずまいを備えた3ドアハッチバック」ということだ。

C30の初期モデルは2.4Lの直5自然吸気と2.5Lの直5ターボというエンジンラインナップだったが、途中から2Lの直4自然吸気を追加し、10年3月からの後期型はこの2L直4と2.5L直5ターボのみ。そして後期型になるちょっと前に、トランスミッションも「パワーシフト」とボルボが呼ぶデュアルクラッチ式のギアボックスに変更された。

で、C30の前期型は早くから比較的お安い相場状況になっていたわけだが、なかなかスタイリッシュな造形に生まれ変わった10年2月以降の後期型も、ここへきて80万から100万円そこそこぐらいの車両価格で狙えるようになってきたのである。それもせいぜい走行距離3万から4万km台ぐらいのやつが、だ。実際の市場に並んでいる個体は千差万別だが、イメージとしては「走行3.5万kmの11年式2.0e アクティブ(ワンオーナー車)が100万円」みたいな感じと思っていただければ、当たらずといえども遠からずである。

これが、我ら後期中年にはなかなか素晴らしい選択肢だと思うのだ。

▲開放感の強い大きなガラスハッチが埋め込まれたテールゲートが特徴的な、後期型ボルボ C30のリアビュー

▲開放感の強い大きなガラスハッチが埋め込まれたテールゲートが特徴的な、後期型ボルボ C30のリアビュー

最小回転半径以外のすべてが中高年にジャストフィット!

理由はまず第一に、スリーサイズが4265×1780×1430mmとなかなかコンパクトなため、ビミョーな感覚がビミョーに衰えつつあるわたしら中年でも非常に運転しやすいということ。狭い道で対向車とすれ違うときなどにも余計なプレッシャーを感じずに済むわけだ(ただ最小回転半径が5.3mと、コンパクトカーとしてはやや大きめなのが残念ではあるのだが)。

しかし第二の理由として、そんな小ぶりな車ではあるものの、そもそそも「プレミアム・コンパクト」であるため、いわゆる貧乏くささのようなものは皆無というのがある。いかにも北欧してる明るく上質な内装デザインも、そしてその素材などの質感も、いい年こいた我々になかなか似合う水準である。ついでに言えば後席がベンチシートタイプではなくセパレート式になっている点からも、ほのかな上流くささが漂う。ステキである。

そして第三に、高効率なデュアルクラッチ式ギアボックスが採用されたことで、後期型C30は燃費がさほど悪くはないということ。もちろんカタログ燃費は11.6km/Lにすぎないため、最新世代の超高効率エンジンと比べてしまうとかなり分が悪いが、そのあたりの燃料代差額は「中古車価格がそもそもかなり安い」ということで十分相殺可能なはずだ。

そして第四の理由は、走りの感触が「中年各位にとってちょうどいいあんばいである」ということだ。後期C30の「スポーティすぎず、かといってダルすぎず」という走行感覚は、ともすれば若い人には「ちょっと物足りない」と感じられるかもしれない。しかし速くて俊敏な車にはもうさんざん乗ってきた筆者のような中年としては、「これからはこのぐらいがちょうどいいかな……」とも感じられるのだ。テレビをみるにもにぎやかなバラエティ番組ではなく、NHKスペシャルとかを見たい世代に最適なニュアンスといいましょうか。

そんなこんなの後期型ボルボ C30を、車両価格100万円程度で手に入れることで手持ちの現預金をシブく防衛しつつ、ちょうどいい程度に枯れた毎日を静かに過ごす。……それもまたオツなものかもしれないと考え始めた不肖筆者48歳だが、ご同輩各位はいかがお考えだろうか。

▲この写真では若干わかりづらいかもしれないが、後席はセパレート式の2人がけ。また、個体によっては洒落た明るい色合いのインテリアが採用されているのも、C30の魅力の一つだ

▲この写真では若干わかりづらいかもしれないが、後席はセパレート式の2人がけ。また、個体によっては洒落た明るい色合いのインテリアが採用されているのも、C30の魅力の一つだ

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車両価格140万円以下の後期ボルボ C30をチェックしてみるtext/伊達軍曹

photo/ボルボ

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