自宅・海外どこからでも自分の仕事ができるワーママになりたかった話
こんにちは。シックス・アパート株式会社で、広報とオウンドメディア編集長を担当している、壽 かおり(ことぶき かおり)と申します。
シックス・アパートでは、今年の8月から、オフィスに限らずどこで働いてもいい制度「SAWS(Six Apart Working Style:サウス)」をはじめました。リモートワークは慣れていたけれど、毎日となると一気に働き方が変わります。小学2年生のむすめを育てつつ、いろんな場所からフルタイムで働き、業務時間外には他社の仕事もお手伝いしている。まだはじまったばかりではありますが、わたしの新しい働き方の実践と、気づいたことをご紹介します。この記事が、働き方を考えるきっかけになれば幸いです。
そもそも自分は、どんな働き方がしたいのだろう?
ところで、あなたは、どんな働き方がしたいですか?
わたしは働き方について考えるとき、中学生の頃に思い描いていた将来像を思い出します。それは、いつかはこどもを持ちたいということ、そして働き続けていたいということ。
中学生だったわたしがハマっていたのは、周りの人よりもちょっとだけ早く手に入れたパソコン98Multi CanBeを使ったパソコン通信でした。パソコンで文章や絵を生み出すことや、通信して誰かと共有することは、とっても楽しかった。パソコンを使った仕事であれば、女性であることの能力的なハンディは少ないだろうし、通信技術が発達すればいつでもどこでも働けるようになる。そんな働き方が出来たら、家族との時間を大事にしつつ、自分らしく楽しく生きることが出来るはず。大人になったとき、そういう生き方ができていたらいいなと、思い描いていました。
それから20年ほど経って、いまわたしは、MacBook 1台持ってカフェを飛び回り、国内外からリモートワークで働くようになりました。大手を振ってリモートワークができるようになったのは、8月にはじまった会社の新制度「SAWS」のおかげです。
リモートワークを推奨する制度「SAWS」で自由になった働き方
わたしが所属するシックス・アパートは、今年の8月に「SAWS」という新しい働き方を開始しました。SAWS とは、全従業員が全ての勤務日において、自由な場所で働くことができるというものです。神保町のオフィスに出社しても良いですし、自宅でも、カフェでも、コワーキングスペースで働いてもOKです。
SAWS について詳しくは、この↓記事をご覧ください。
まだスタートして1か月ほどなのですが、だんだんと自分の働き方が定まってきました。
私の働き方は、週の半分ほどは自宅や外出先の近くのカフェでリモートワーク。残りの半分も、会議のある日は午後のみオフィスに出社、といったスタイルです。出社するのは週2回程度。朝のピーク時をずらせるので、満員電車とも無縁になりました。
リモートワークで変わった、5つのこと
1. プライベートの時間が増えた
毎日出社するスタイルだと、平日の昼間に仕事以外のことを出来るチャンスはほぼありません。でも、自宅やその近所で働いていれば、業務の合間に銀行や病院、こどもの学校などでのちょっとした用事を済ませることができます。
小2のママとしては、だんだん難しくなる漢字に繰り上がり&繰り下がりの筆算、音読や作文のチェック、縄跳びの練習、お友達と遊ぶお約束の確認など、見てあげたいことが大量にあります。出退勤の時間が不要になった分、こどもと過ごす時間は毎日1時間以上増えました。自分の健康維持も兼ねて、早めに学童にお迎えに行って、こどもといっしょに近所の公営プールに週数回通えるようになったのも良いところです。
また、これまで休日に詰め込んでいた用事を平日にこなせるため、休日は休日らしく、家族と過ごすリフレッシュの時間に使えます。
2. 働く時間が朝型にシフト
SAWS 開始以降、出社の必要がない分、早めに仕事をスタートすることが出来るようになりました。
毎日出社していたときは、だいたい9時半ごろにオフィスに到着して業務開始し、19時近くまで働くのが基本。そして、帰宅後に、必要に応じて残りの作業を進めていました。
現在は、むすめを学校に送り出した8時すぎに、そのままMacをひらいて業務開始できます。頭が冴えて集中できる、午前中の業務時間が一気に増えたのは大きなメリットです。
3. ランチ会を活用して社外の方との交流が増えた
もともと広報であるため他社の方とのやりとりが多かったのですが、出社不要なスタイル SAWS をきっかけに、これまで以上に他社の方との交流を増やしています。
そのひとつが、他社の方と情報交換しながらのランチです。週1-2回は、メディアの方や他社の広報、主催しているオウンドメディア勉強会のメンバーなど、普段ご無沙汰しているいろんな方のオフィス近くまで出かけていって、一緒にランチを食べています。社内のメンバーとランチに行くような感覚で、仕事の話もしますがプライベートの話もたくさん。引きこもりがちなリモートワークだからこそ、あえて外に出る用事を作るという意味でも有用です。
4. フリーアドレスで社内他部署の人との交流も増えた
SAWS の取り組みのひとつとして、神保町にあるシックス・アパートのオフィスは、総務スタッフ以外の全ての席をフリーアドレスにしています。
ほとんどのメンバーが、会議など用事のあるときしか出社していないため、オフィスにいる人の顔ぶれは毎回違います。業務上は接点のない部署の人とも、フリーアドレスの席が隣り合って話をする機会ができたのは、思わぬ副産物でした。
5. カフェ・オフィス・自宅・海外など、好きな場所で働ける
SAWSを8月に開始して、まだたった1か月。ですが、すでにさまざまな場所で働いてみました。
<カフェ>
一番多い勤務場所は、カフェです。個人的には自宅よりも、集中できるので多用しています。朝、自宅で作業をスタートして、煮詰まったらすぐに近所のカフェへと移動。または、他社でランチミーティングや会議がある場合はその近辺のカフェで業務を進めています。
ちなみに、カフェワークや自宅の環境整備など、リモートワークのために追加でかかる費用を会社が支援する制度はただいま準備中です。
<オフィス>
次に多いのは神保町のオフィス。会議に参加するためでもありますし、たまにはみんなと顔を合わせて話をしたい、というのもあります。また、移転して間もないため、神保町界隈のランチスポット開拓も楽しみのひとつです。
<同僚の自宅>
同僚と一緒に作業しなければいけない業務があったときは、同僚の自宅に出向き、作業を行うこともありました。我が家とその同僚の家は自転車で20分程度の距離。お互いオフィスに出社するよりも近かったのです。同僚宅の居心地の良い環境と美味しいコーヒーのおかげで、集中して作業できました。
<香港のAirBnB宿からも>
夏休みに家族旅行で香港に行く予定があったのですが、旅行中のとある日にプレスリリース配信が必要になりました。リリース配信は、広報にとって重要な業務のひとつです。このときは、休みの予定もリリースの予定も変更せず、旅先から対応しました。リリース当日の作業は最小限になるよう、休み前に事前にほとんどの準備を終えておけば、問題ありません。
どこからでも働けるというのは、会社としてリモートワーク前提の業務システムを整えているからこそ実現できることです。
リモートワークの難しい点も、自由であるところ
リモートワークのおかげで自由度が増した一方で、難しい点も同じく自由であるところです。
たとえば、毎日働く場所、時間をすべて自分で決める必要があります。出退勤というルーチンが無いため、オンオフの切り替えが難しいこともあります。仕事始めのタイミングがつかめずダラダラしてしまうことや、逆に仕事を切り上げるタイミングを見失ってしまうことも。これについては、自分なりの業務開始・終了のルーチンを作るのがよいかと思います。
また、コミュニケーションについても課題です。社内チャット「Slack」を活用して、業務報告をしているのですが、まわりのメンバーの顔も姿も見えない分、何をやっているのかわかりにくくなっているところがあります。同様に、自分がやっていることも、まわりに伝わりにくくなっているかもしれません。これまで以上に自分がやっていることや進捗、結果を社内にも意識的に発信していくことが重要です。
リモートワークだからできる、パラレルキャリア
そしてもうひとつ、前職からの縁でノルウェーのブラウザ会社 Vivaldi の広報とマーケティングコミュニケーションを、シックス・アパート業務時間外にお手伝いしています。
Vivaldi のオフィスはノルウェーと米国にあり、日本で活動しているのはわたしひとりなので、完全リモートワークで進めています。Vivaldi で働く仲間は、アイスランド、ノルウェー、アメリカ、ロシア、アフリカと世界各地にいます。こちらも業務上のやりとりは、Slack がメインです。
Vivaldi のお手伝いも、シックス・アパートが副業を認めてくれているからこそ出来ることです。広報としては、「主にB2B向けのCMS」と「B2C向けのブラウザ」という違うジャンルの製品を扱うことで経験値や人脈が広がることが何よりのメリットです。また個人としても、英語を使う機会を維持できるという点もよいところです。
リモートワークもパラレルキャリアも、業務と学びのための時間の使い方、業務環境の整備など自分でマネジメントしなければいけないことがたくさんあります。より良い働き方を自ら考えてデザイン出来る人にとっては、最適な働き方なのではないでしょうか。
さいごに
さまざまな幸運があっていま、中学生のころの自分が思い描いていた理想の働き方がほぼ実現出来ているな、と思います。
オンラインのさまざまなコミュニケーションツールやクラウドサービスのおかげで、多くの仲間と一緒に働きやすい環境で働くことが出来ているし、海外とつながる仕事もできる。家族との時間も作れる。あとは、「これまで以上に成果を出して貢献していかねば!」と身が引き締まる思いもあります。
中学生の頃に思い描いていたのは、ちょうど今の30代の姿でした。では、この先の40代、50代、そしていつかこどもが巣立った後、シニアになってからどう生きていたいでしょうか。ロボット技術やAIの急速な発展で人間が働くこと自体、減っているかもしれません。どんな形にせよ、人間の働き方は場所や時間を問わない方へと変わっていくと思います。「こういう働き方であれば、これからもずっと長く楽しく働ける」と思える働き方を、会社とともに作り、発信していきたいなと思っています。
壽 かおり
シックス・アパート株式会社
広報 Six Apart ブログ編集長
1980年、奄美生まれ。ノルウェーOpera社のマーコム、B2Bマーケ担当を経て、2010年、CMS(コンテンツ管理システム)プラットフォーム「Movable Type」などを提供するシックス・アパート入社。2014年まで「Zenback」プロダクトマネージャー、2014年より同社の広報・マーケティング担当、オウンドメディア「Six Apart ブログ」編集長、エッセイ投稿サイト「ShortNote」運営を手がける。また、個人としても「Vivaldi」ブラウザの広報、数社のPR業務支援、ライター・ブロガー活動も。
個人ブログ: http://www.kaoritter.com/
壽 かおり Kaori Kotobuki (@kaoritter) | Twitter
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